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「命あっての物種」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? この表現は、何よりもまず命が大切であるという考えを示しています。どんなに大きな夢や目標があっても、生きていなければ成し遂げることはできません。このことわざは、危険な状況を避けるべき場面や、無理をしすぎる人への助言として使われることが多いようです。
ここでは、「命あっての物種」の意味や由来、具体的な使い方について詳しく見ていきます。
「命あっての物種」とは? 意味と由来を解説
「命あっての物種」の意味と背景を知ることで、より深い理解につながるでしょう。
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「命あっての物種」の意味とは?
「命あっての物種」は、「いのちあってのものだね」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
命(いのち)あっての物種(ものだね)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
何事も命あってできることで、死んでは何にもならない。
この言葉は、「どんなに価値のあるものでも、命を失えば意味がない」という考えを表しています。
健康や安全を第一に考えることの大切さを示す際に使われることが多く、特に危険な状況にある人を気遣うときや、無理をしている人を諭す場面で用いられることが多いでしょう。
「命あっての物種」の「物種」とは?
「物種」とは、物事の根源を意味する言葉です。大義名分はともかく、まず命があってこそ成り立つという考え方を示しています。
この言葉は、理屈よりも生存を重視する庶民の実用的な知恵として、長く残っているともいえるのかもしれませんね。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
「命あっての物種」の使い方と具体的な例文
日常生活や仕事の場面で、このことわざがどのように使われるのかを具体的に考えてみます。
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「無理をしすぎるのはよくない。命あっての物種だよ」
目標を達成することに集中しすぎるあまり、健康を犠牲にしている人に対して使われます。努力することは大切ですが、体を壊してしまえば続けることができなくなるかもしれません。
「大雨の日に無理して出かけなくてもいいよ。命あっての物種だから」
悪天候や災害時には、無理に外出するよりも安全を確保することが最優先であるという考えを伝えています。交通の乱れや危険な状況を避けるよう促す際に使えるセリフですね。
「仕事は大事だけど、体を壊したら意味がないよ。命あっての物種なんだから」
忙しく働く人に対して、無理をしないように注意を促す表現です。特に、過労気味の人や、休むことを後回しにしがちな人に向けて使われることが多いでしょう。
「命あっての物種」の英語表現とは?
「命あっての物種」に対応することわざは、英語でも存在します。以下に紹介しましょう。
“While there’s life, there’s hope.”(生命のある限り、希望もある。)
“It’s not worth risking my life for.”(命をかける価値はない。)
“While there’s life, there’s hope.”は、英語のことわざでもあります。「命あっての物種」という考え方は、共通していますね。
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「命あっての物種」の類語や言い換え表現は?
「命あっての物種」に近い考え方を持つ表現を知ることで、より広い文脈で使えるようになりますよ。類語や言い換え表現を3つ紹介します。
死んで花実(はなみ)が咲くものか
どれほど立派な目標があっても、命を落としてしまっては意味がない、という教訓を含んだことわざです。命があればこそ、努力が実を結ぶ機会があるという考えが込められています。
何かに挑戦する際、無理をしすぎてしまいそうなときに、冷静な判断を促す言葉として使われることがあります。
死んでの長者(ちょうじゃ)より生きての貧乏
裕福な暮らしを手に入れたとしても、命を落としてしまえば何の意味もない、という考えを表すことわざです。多少の困難があったとしても、生きていることが何よりも大切であるという価値観を示しています。
命に替える宝はなし
どれほど価値のある財産や地位であっても、生命ほど大切なものはないという意味を持つことわざです。何かを守るために無理をするよりも、自分の安全を最優先にするべきだという考え方を伝えています。
最後に
「命あっての物種」ということわざは、古くから伝わる大切な考え方の一つです。どんなに大きな目標や夢があっても、命を守ることができなければ、それを実現することはできません。
現代でも、災害時の避難や、仕事や健康のバランスを考える場面で意識されることが多いでしょう。無理をしそうになったときや、大切な人に安全を伝えたいときに、ぜひこの言葉を思い出してみてください。
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