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2025.01.29

自分の力を尽くしたあとは身を天命に任せ、どんなときも落ち着いている様「安心立命(あんしんりつめい)」の意味や活用法

安心立命(あんしんりつめい)は仏教用語が由来となっていますが、読み方は異なります。本記事では、安心立命の意味・使い方・類義語・対義語を紹介します。

安心立命とは?

安心立命は、「あんしんりつめい」と読みます。仏教に由来する四字熟語です。ここでは、安心立命の意味や、言葉の由来をみていきましょう。

言葉の意味

安心立命とは、自分の力を尽くしたあとは身を天命に任せ、どんなときも落ち着いているという意味です。心が安らかで、何事にも動じない状態を指します。「安身立命」と書くこともあります。

「安心」は心が落ち着いた状態を指し、「立命」はその身を天命に任せ、心静かにしていることを示す言葉です。「安心立命の境地に達した」といった使い方をします。

安心立命
人力を尽くしてその身を天命に任せ、どんな場合にも動じないこと。あんしんりつめい。
「その神からの授かりもの、解脱 (げだつ) と—の種子を」〈長与・竹沢先生と云ふ人〉

出典:小学館 デジタル大辞泉

仏教に由来する言葉

安心立命は仏教に由来する言葉で、仏教用語では「あんじんりゅうみょう」「あんじんりゅうめい」と読みます。古代中国の書物で禅宗の史伝の書とされる「景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)」にも記載されています。

仏教における「安心」は、信仰によって到達した究極における心の安らぎという意味です。

「立命」は儒教が由来で、俗世間の出来事に心を動かされず、天から与えられたことをまっとうするという意味です。

これらの言葉を組み合わせ、仏教の教えに従えば、ほかに心を動かされず、安らかに生きていけるという意味になります。

心の平安 イメージ
(c) Adobe Stock

安心立命の使い方・例文

安心立命の使い方について、例文をみながら確認していきましょう。

・チームメンバーは安心立命の境地になって試合にのぞんだ結果、心が落ち着いて実力を発揮でき、見事に優勝できた

・彼は安心立命を座右の銘にしており、どんなときも心を乱さず冷静でいることを心がけている

・どれだけ国の経済が発展して物質面で豊かになっても、人々の心が安心立命であるかどうかはわからない

・彼女はトラブルが起きたときも慌てず落ち着いて対応しており、安心立命の境地に達しているようにみえる

・彼は会社経営者として望むものを手に入れたようにみえるが、まだ安心立命の心境には至っていないと語った

安心立命の類義語

安心立命には、次のような類義語があげられます。

・安心決定(あんじんけつじょう)
・寂滅為楽(じゃくめついらく)
・泰然自若(たいぜんじじゃく)

それぞれの意味や例文をみていきましょう。

床に座りリラックスしている人の写真
(c)Adobe Stock

安心決定

安心決定は浄土教の言葉で、阿弥陀仏の救いを信じて疑わないという意味です。これが転じて、信念を得て心が定まることを指します。天命に任せて落ち着いているという意味の安心立命とは、類似する言葉といえるでしょう。

浄土教とは極楽浄土に往生することを説く教えであり、教えの要を説いた「安心決定鈔」は浄土真宗の聖典とされています。

〈例文〉安心決定の考え方を理解して阿弥陀仏の救いを信じていれば、心の迷いも消えるだろう

寂滅為楽

寂滅為楽は、安心立命と同じく仏教用語です。煩悩を脱して悟りの境地に入ってはじめて真の安らぎを得られるという意味があります。

言葉の由来は、仏教の根本思想を伝える経典「涅槃経(ねはんきょう)」にある「諸行無常、是生滅法、生滅滅己、寂滅為楽」という四句偈(げ)の最後の一句です。

「寂滅」は煩悩の消え去った究極的な悟りの境地を指し、そのような境地こそ無上の喜びであるということを指します。

〈例文〉寂滅為楽の境地に至れば、どんなつらいことも乗り越えられるに違いない

泰然自若

泰然自若とは、落ち着いていてどんなことにも動じないという意味です。「泰然」は落ち着いて物事に動じないという意味で、「自若」はどのようなときも慌てず、落ち着いている様子を表します。似たような言葉を組み合わせ、意味を強調している言葉といえるでしょう。

ポジティブな意味合いで使われる言葉で、褒め言葉として使うこともできます。

〈例文〉突然のシステム停止であたりは騒然としたが、彼は終始慌てず、泰然自若と対応していた

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安心立命の対義語

安心立命の対義語は、次のとおりです。

・疑心暗鬼(ぎしんあんき)
・右往左往(うおうさおう)

ここでは、安心立命の対義語を紹介します。

ダウト
(c)Adobe Stock

疑心暗鬼

疑心暗鬼とは、心の中に疑念が生じ、周りの何もかもが疑わしく思えてくる状況のことです。疑いの気持ちが止められなくなり、通常であれば何とも思わないようなことも疑ってしまう心理を表します。

おもに冷静さを欠いて混乱している状態を指し、ネガティブな意味で使われる傾向にあります。落ち着いている状態を表す安心立命とは、対極にあるといえる言葉です。

〈例文〉
・彼は一度詐欺の被害に遭ってから疑心暗鬼に陥ってしまい、自分に近づいてくる人を疑いの目で見るようになってしまった

・不運な出来事が続いて彼女は疲れ切ってしまい、あらゆることに対して疑心暗鬼になっている

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右往左往

右往左往とは、混乱してうろたえ、あっちへ行ったりこっちへ来たりすることです。また、混乱して秩序がないことのたとえとしても使われます。「往」には「行く」という意味があり、文字通り右に行ったり左に行ったりすることを指します。

落ち着きがないという意味で、安心立命とは正反対といえる言葉です。

〈例文〉
・彼は見知らぬ土地で道に迷ってしまい、約束した時間にたどり着けないと知って右往左往していた

・夫から同僚を連れて帰宅するという連絡を受け、妻は部屋を片付けなければと右往左往してしまった

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安心立命の由来を知っておこう

安心立命は仏教に由来する言葉で、心を安らかにしてどんなことにも動じないという意味です。同じく仏教由来の類義語に、安心決定や寂滅為楽などの言葉が挙げられます。

一方、安心立命の対義語といえるのは、「心が穏やかでない」という様子を表す疑心暗鬼や右往左往といった四字熟語です。

類義語・対義語を一緒に覚えれば、安心立命という言葉の意味について理解が深まるでしょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c) Adobe Stock

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