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2024.12.10

イタリア料理ブームが生んだ言葉「イタメシ」|バブル期の流行と面白さを再発見

「イタメシ」とは、イタリア料理のこと。「イタ」は「イタリア」の略です。「イタめし」や「イタ飯」と表記することもあります。この記事では、「イタメシ」の意味や関連表現を紹介します。

「イタメシ」という言葉を耳にしたことはありますか? 現在ではあまり聞かれませんが、1980年代から1990年代にかけて、使われた言葉の一つでした。この言葉には、当時の生活や価値観、さらには時代の空気感が凝縮されていたりします。

「イタメシ」という言葉を手がかりに、昭和の時代へとタイムスリップしてみましょう。

イタメシって何?

「イタメシ」は昭和を生きる人々にとって、イタリア料理を指すだけでなく、特別感や華やかさを象徴する言葉でした。バブル期における外食文化の高まりとともに生まれ、その響きには少しだけ“オシャレ”で“贅沢”なニュアンスがあったのです。まずは、意味や由来を確認していきましょう。

(c) Adobe Stock

イタメシの意味

「イタメシ」は、パスタやピザを中心としたイタリア料理のこと。「イタ」は「イタリア」の略です。「イタめし」や「イタ飯」と表記することもあります。この言葉はカジュアルな場面で気軽に使われ、日常の会話に溶け込んでいました。

表面的に料理のジャンルを示すだけでなく、「ちょっと気取った外食」をイメージさせる言葉として親しまれていました。

イタメシの由来は?

「イタメシ」という言葉が広まった背景には、1980年代から1990年代のバブル経済期が密接に関係しています。海外文化が急速に身近なものとなった時代に、イタリア料理はその象徴的な存在となりました。

手軽に食べられるパスタやピザが人気を集める一方で、「イタメシ」という言葉は、時代のトレンドを反映した新しい表現として定着しました。今では、「イタリアン」と呼ばれることが多いですね。

会話でのイタメシの使い方は?

イタメシという言葉がどのように会話に使われていたのかを知ると、当時の生活や価値観がより鮮明に浮かび上がってきます。食事のスタイルや流行語としての役割を垣間見てみましょう。

ピザ 食事
(c) Adobe Stock

「今夜、イタメシ行こうよ!」

イタメシという響きには、食事以上に「ちょっとした非日常感」が込められていたのかもしれません。気軽さの中に、おしゃれな雰囲気をまとった食事の提案として、若者同士の会話で広く使われていました。中でもデートや特別な時間を演出する場面で頻繁に登場していたようです。

「最近の若者、イタメシって言わないんだよな」

時代の流れとともに言葉も変化します。当時はしゃれた言葉だった「イタメシ」も、今では少し懐かしさを感じさせる響きに…。一方で、こうした発言からは、世代間の価値観や文化のギャップを垣間見ることもできるのではないでしょうか。

「イタメシ屋のピザって、美味いよね」

イタメシという言葉は、日常的な親しみもあわせ持っていました。特にピザやパスタといったイタリア料理の定番メニューが、いつの間にか日本の食文化に深く根付いていったことを象徴する表現でもあったのでしょう。

イタメシの関連表現

「イタメシ」という言葉が流行した時代、他にも独特の表現や言葉が数多く存在していました。それらを紐解くことで、昭和の食文化や価値観にさらに深く迫ることができるでしょう。

スパゲッティ
(c) Adobe Stock

スパゲッティ

イタリア料理の麺類のことを現在では「パスタ」と呼ぶことが多いですが、昭和の時代には「スパゲッティ(スパゲティとも)」と呼んでいました。

ちなみに、「パスタ」とはイタリア料理に用いる小麦粉を練って作った麺類の総称のこと。スパゲッティはパスタの一種で、1.2mm以上の太さの棒状または2.5mm未満の太さの管状に成形したもののことを指しますよ。

スパゲッティ・ナポリタン

「スパゲッティ・ナポリタン」は、日本で独自に発展した洋食の一つで、「イタメシ」を代表する存在です。名前は、イタリア語の「paghetti」とフランス語の「napolitain」(ナポリ風)に由来する和製語。現在の形は戦後、横浜のホテルニューグランドの料理長がGHQの軍食をヒントに考案されたものです。

特徴的な具材として、タマネギ、ピーマン、マッシュルーム、ウインナーソーセージなどが使われ、ケチャップで味付けするのが一般的です。日本独特のアレンジが加わったナポリタンは、家庭料理や喫茶店の定番として今でも広く親しまれていますね。

ミートソーススパゲッティ

肉を主材とする「ボロネーゼ(Bolognese)」は、昭和の時代、「ミートソーススパゲッティ」と呼ばれることが多かったです。「spaghetti with meat sauce」が由来となり、このように呼ばれていたようですよ。

ちなみに「ボロネーゼ」とは「ボローニャ風の」という意味を持ちます。

昭和生まれのおじさんが使う、他にもある面白い言葉

「イタメシ」という言葉だけでなく、昭和の文化や時代背景を映し出すユニークな言葉が数多く存在します。ここでは、その中から2つ紹介しましょう。それぞれに当時の価値観やライフスタイルが色濃く反映されており、現代とは異なる言葉遣いの魅力が詰まっていますよ。

「ハイカラ」

「ハイカラ」という言葉は、明治から使われていた言葉で、洋風の文化やおしゃれなスタイルを指す表現として親しまれました。時には「都会的で洗練された人」を褒めるニュアンスとしても使われました。今ではほとんど耳にしない言葉ですが、当時の人々にとっては新しい時代を象徴したような言葉でした。

「ドライブイン」

昭和の時代、家族や友人と車で遠出をする際に欠かせなかったのが「ドライブイン」。高速道路のサービスエリアとは少し違い、地元特産の料理やユニークな建築が特徴の道路沿いにある休憩スポットでした。ノスタルジックな雰囲気が残る場所として、今でも一部では根強い人気があります。

最後に

言葉は、その時代の文化や価値観を映し出す鏡のようなもの。「イタメシ」という言葉には、昭和世代のおしゃれに対する憧れや、バブル経済期の華やかな空気が色濃く刻まれているようです。今では使われなくなった表現かもしれませんが、振り返ってみると、当時の人々がどんな価値観を大切にしていたのかが垣間見えるようですね。

昭和の言葉を知ることで、私たちが歩んできた道や文化の変化を再認識できる機会になるのではないでしょうか。新たな視点で時代を感じるきっかけとなれば幸いです。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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