毎日新しいニュースや話題が飛び交い、職場では、新たに身につけなければいけない知識やスキルが増える一方。
でも、巷にあふれるインプット法は、単なる個人の思い込みであったり、ある特定の人たちの経験談でしかなかったり…。
そこで今回は、書籍『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)より、脳科学と心理学に基づく効果的なインプット方法についてご紹介。
書籍より一部引用・再編集して、全3回でお届けします。
3回目の今回は、スクショはやめたほうがいい理由について。
前回の記事>>YouTubeは勉強に有効? それとも… スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が回答!
スクショはやめたほうがいい
マルチメディアを使ったインプットについて気をつけるべきことをお話ししておきましょう。
メモをとる習慣についてです。
「スクリーンショット」(スクショ)や「ChatGPT」が使える今の時代、メモをとることは不要になってしまったような気もします。
オンライン動画やオンラインイベントでは、気になった重要点をスクショで「カシャ!」。
メモをとる十分な時間もないし、記録ならば写真が一番間違いない。さらに、YouTube動画やオンラインの記事などでも、ChatGPTなどの生成AIツールを使えば、一瞬で要約が出せます。
それらを画像として残しておけば、内容のまとめを簡単に記録しておくことができます。
【スクショ記録】も【GPT要約】も、学んだ内容を後から見直したり復習したりするのに、非常に正確で効率的な記録法であると言えるでしょう。
しかし、情報の「インプット」という目的からすると、十分な注意が必要です。
【スクショ記録】も【GPT要約】も、それだけでは効果的なインプットにつながるどころか、インプットの質を下げてしまいかねないのです。
これらは、どう活用するかが大変重要です。
詳しく解説していきます。
まず、「グーグル効果」(Google effect)を押さえておきましょう。
何かを「ググって」調べたとき、その内容はいつでもまた「ググれる」。そう思ってしまうと、調べたものを記憶しようとする気持ちがなくなってしまい、結果としてせっかく調べたことが記憶に定着しません。
こうした現象は「グーグル効果」と呼ばれてきました。「グーグルでいつでも調べられるからいいや」と思って記憶に留まりにくくなるというわけです。
同様に、「完全にスクショで記録した」「GPTでいつでも手軽に内容を見返すことができる」と思うことで、学んだ内容を記憶するモチベーションが下がってしまう可能性があります。
【スクショ記録】や【GPT要約】の「グーグル効果」には、十分な注意が必要です。
より根本的には、【スクショ記録】や【GPT要約】は、注意して使わないと、インプットする内容に対する脳のエンゲージメントを奪ってしまいかねません。
しっかりと理解して記憶に留めておくためには、インプットする内容を自分の脳で咀嚼することが必要であるのに、ワンクリックで情報が記録されてしまうと頭を使う必要がありません。
一方で、メモやノートをとることは、記録を残しておくこと以上に、学んだ内容をしっかりと頭に入れて脳を動かす働きがあり、効果的なインプットには欠かすことができないのです。
にもかかわらず、【スクショ記録】や【GPT要約】をすると、つい安心してしまい、メモやノートをとらないことがしばしばあります。
そのことで、私たちは自分の脳のゴールデンタイムを逸してしまっています。
もちろん、【スクショ記録】や【GPT要約】を、記録用に使うこと自体は全く悪いことではありません。
例えば、後々になって一度インプットした情報にアクセスしたいとき、スクショや要約がデジタルに残っていれば、簡単に検索できたりもするでしょう。膨大な関連情報の中から、全て人力で目を通して探すのは骨が折れます。
しかし、【スクショ記録】や【GPT要約】を使った場合や、もともと録画や写真などで学んだ内容の記録がある場合でも、脳をエンゲージする手軽な方法としてノートをとる習慣は併用するほうがいいでしょう。
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TOP画像/(c)Adobe Stock
『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(星 友啓 著/あさ出版)
大量の情報があふれている現代において、「必要な情報をできるだけ早く、効果的に頭に叩き込みたい」と考える人は多いでしょう。
しかし、せっかく学んだことをすぐに忘れてしまったり、覚えたはずなのに身についていなかったり、なかなか実践できないという人も多くいます。
そんな人のために、スタンフォード大学・オンラインスクール校長が、脳科学と心理学に基づく効果的なインプット方法について紹介します。
インプットに関する情報はたくさんあふれていますが、その中には科学的根拠がないものも。本書では、最新の脳科学と心理学に裏打ちされた方法の中で、特に効果が高くて、すぐにでも実践できるものを厳選して解説しています。