毎日新しいニュースや話題が飛び交い、職場では、新たに身につけなければいけない知識やスキルが増える一方。
でも、巷にあふれるインプット法は、単なる個人の思い込みであったり、ある特定の人たちの経験談でしかなかったり…。
そこで今回は、書籍『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)より、脳科学と心理学に基づく効果的なインプット方法についてご紹介。
書籍より一部引用・再編集して、全3回でお届けします。
2回目の今回は、YouTube動画でインプットすべき科学的理由について。
前回の記事>>手書きメモはこの3つを意識して! 読書における効果的な【インプット術】
YouTube動画でインプットすべき科学的理由
デジタルでのインプットに欠かせないのが、マルチメディアの環境。
インプットしようとする事柄について、文字だけでなく、ナレーション付きのイラストやアニメーションでわかりやすく解説されているものは数多くあります。
今やYouTube動画は、エンタメのためだけなく、学習やインプットのツールとしても老若男女に幅広く使われています。
この「聞く」と「見る」を総合したマルチメディアのインプットは、「聞く」だけのインプットよりも効果が高いことが科学的にも確認されてきています。
その効果について、脳科学的な視点から少し説明しておきましょう。
私たちの脳の主要機能に「ワーキングメモリー」というものがあります。長期や短期の記憶を現在の意識にホールドして整理したり組み合わせたりして、何らかの「コマンド」を意識の中で実行する働きのことです。
例えば、頭の中で「45+37」などの計算ができるのも、このワーキングメモリーが働いて、意識した数字に足し算を実行できるおかげです。
このワーキングメモリーは、どんな人でも容量が限られていて、最近の研究では、3つから5つくらいのものを意識にホールドするのが限界だとされています。
そのため、効果的なインプットには、ワーキングメモリーの容量をうまく使うことが大切です。
そこで効果的なのが、入ってくる情報を「聞く」「見る」など、いわば、違った「チャンネル」からのインプットに分散させること。
話を聞くだけで理解しようとしても複雑でお手上げだったのに、図解を使ってくれた瞬間、わかりやすくて理解できた。そんな体験は、誰しもがあるはずです。
例えば、チェスのナイトの動きについて、「前か後ろに2マス移動した後、右か左に1マス、または右か左に2マス移動した後、前か後ろに1マス移動できます」と耳で聞くだけではなかなか理解しにくいところ、下のイラストのようにナイトの動きの例を目で見ながら聞けば簡単に理解できます。
この現象は、「聞く」だけで情報をインプットしようとするとワーキングメモリーがパンクしてしまうものの、「見る」も使ってインプットをすると、情報処理の負荷が「聞く」と「見る」とに分散できて、ワーキングメモリーをより効率的に使うことができるということを示しています。
つまり、「読む」「聞く」「見る」のどれが一番効果的かということよりも、どのようにそれらをミックスした形でインプットできるかが重要なのです。
ワーキングメモリーへの負荷を分散して効果的にインプットするために、スマートフォンやコンピューターなどのマルチメディア環境で、ベストミックスのインプットを実現していきましょう。
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『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(星 友啓 著/あさ出版)
大量の情報があふれている現代において、「必要な情報をできるだけ早く、効果的に頭に叩き込みたい」と考える人は多いでしょう。
しかし、せっかく学んだことをすぐに忘れてしまったり、覚えたはずなのに身についていなかったり、なかなか実践できないという人も多くいます。
そんな人のために、スタンフォード大学・オンラインスクール校長が、脳科学と心理学に基づく効果的なインプット方法について紹介します。
インプットに関する情報はたくさんあふれていますが、その中には科学的根拠がないものも。本書では、最新の脳科学と心理学に裏打ちされた方法の中で、特に効果が高くて、すぐにでも実践できるものを厳選して解説しています。