捨てる神あれば拾う神ありの意味とは?
「捨てる神あれば拾う神あり」とは、自分に愛想をつかして相手にしてくれない人もいる反面、親切に助けてくれる人もいるものだとすることわざです。困ったことがあっても、くよくよするなという意味で使われます。「捨てる神あれば助ける神あり」と表現することもあります。
捨てる神あれば拾う神あり
出典:小学館 デジタル大辞泉
自分に愛想をつかして相手にしてくれない人もいる反面、親切に助けてくれる人もいるものだ。困ったことがあっても、くよくよするなということ。捨てる神あれば助ける神あり。
具体的な使い方について、エピソードと共に見ていきましょう。
エピソード1.解雇されたが転職先がすぐに見つかった
勤務先が業績不振で、解雇対象に自分の名前も挙げられてしまったAさん。精神的に大きなダメージを受けますが、とはいえ、いつまでも落ち込んではいられません。転職活動を行い、次の職場を見つけることが必要です。
頑張って活動をした結果、転職先が無事に見つかりました。このようなときは、「捨てる神あれば拾う神あり」と表現できるでしょう。ここでは「捨てる神=元の職場」「拾う神=転職先」です。
転職先のほうが給与や待遇がよいこともあるかもしれません。長々と落ち込まずにすぐに活動したことで、「拾う神」を引き寄せたともいえますね。
エピソード2.振られてばかりの人生だがパートナーに出会えた
惚れっぽくすぐに人を好きになるものの、告白しては断られてばかりのBさん。お付き合いをするところまで進んでも、短期間で「やっぱり合わない」と一方的に振られることが続いていました。
かなりの強心臓の方でも、あまりにも振られることが続くと、恋愛に対して億劫になってしまうかもしれません。Bさんはそのように落ち込んでいるときに「お付き合いしてください」と告白されましたが、「何か裏があるのでは…?」と疑ってしまったといいます。
しかし、お付き合いを始めてみたところ、何から何まで理想的で、気持ちが安らぐまさに運命の人だったとか。このような場合では、「捨てる神=今までの失恋の相手」「拾う神=運命の人」といえます。「捨てる神あれば拾う神ありだね。生涯のパートナーと出会えて幸せだよ」と、過去の恋愛に思いを馳せて表現できます。
捨てる神あれば拾う神ありと類似することわざ
「捨てる神あれば拾う神あり」と似た意味で使われることわざには、次のものがあります。
・渡る世間に鬼はなし
・禍福は糾える縄の如し
・沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり
・月夜も十五日 闇夜(やみよ)も十五日
それぞれの意味やニュアンスの違いについて、例文を通して見ていきましょう。
渡る世間に鬼はない
「渡る世間に鬼はない」とは、世の中には無情な人ばかりがいるのではなく、困ったときには助けてくれる情け深い人もいるという意味の言葉です。
・それは災難だったね。しかし、渡る世間に鬼はないというから、助ける人も出てくるよ
・渡る世間に鬼はないと楽観的に生きてきたけど、こうまで意地悪な人ばかり出会うと、人間自体が信じられなくなるよ
禍福は糾える縄の如し
「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」とは、幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくることを意味する言葉です。
・よいことばかりは続かないよ。禍福は糾える縄の如しだ
・禍福は糾える縄の如しというが、こう悪いことばかり続くと落ち込んでしまう。
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沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」とは、長い人生のうちには悪いときもあればよいときもある、悪いことばかりが続くものではないことを指す言葉です。
・沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありというから、気長に事態が好転するのを待つほうがいいよ
・寝坊したうえに電車が遅延していた。ようやく学校に着いたら臨時休校だった。沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありというけれど、浮かぶ瀬なんてなかったよ
月夜も十五日 闇夜(やみよ)も十五日
「月夜も十五日 闇夜も十五日」とは、明るい月夜もあれば暗い闇夜もあることから、人生には良いことも悪いこともあるという意味で使われます。「捨てる神あれば拾う神あり」と同じく、困ってもくよくよするなと励ますときにも使えるでしょう。
・いいことばかりは続かないよ。月夜も十五日 闇夜も十五日っていうでしょ
・今は苦しいかもしれないけれど、月夜も十五日 闇夜も十五日というから、もう少し我慢してみれば?
捨てる神あれば拾う神ありの反対の意味の言葉
「捨てる神あれば拾う神あり」は、気落ちするなと励ます意味でも使われることわざです。反対に、悪いことばかり、信頼できない人ばかりといった意味で使われることわざを紹介します。
人を見たら泥棒と思え
「人を見たら泥棒と思え」とは、人を軽々しく信用してはいけないことを示すことわざです。
・「人を見たら泥棒と思え」と、警戒しすぎるのはどうだろうか。あまり疑ってかかるのも失礼な気がする
明日は雨他人は泥棒
「明日は雨他人は泥棒」も、人を簡単に信用するなという意味で使われます。
・「明日は雨、他人は泥棒」の心構えで用心してください。簡単に信用していると、いつか痛い目を見ますよ
適切なシチュエーションで使おう
「捨てる神あれば拾う神あり」は、落ち込んでいる人を励ますときや、冷たい人もいれば優しい人もいると実感したときなどにも使われます。使いにくいと感じるときは、何が「捨てる神」で、何が「拾う神」なのか意識してみるとよいかもしれません。
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