筋肉痛の時にストレッチは〇or✕?
どうして筋肉痛になるの?
運動の後、数時間~数日経ったころに生じる筋肉の痛みが筋肉痛(遅発性筋肉痛)。……なのですが、実は筋肉痛の正確なメカニズムはまだ解明されていません。普段あまりしないような運動や、自分の筋力に合っていないトレーニングなどをすることで、筋肉が過度な収縮を繰り返し、ダメージを受けて炎症を起こした結果、傷ついた筋線維を修復しようとするときに痛みが生じる──これが筋肉痛なのだという考えが現時点では一般的です。
筋肉痛になりやすい人・動きって?
筋肉痛になりやすい人には、ずばり習慣的に体を動かしていないという特徴があります。また運動習慣がない人と、普段から運動をしている人を比べると、前者のほうが痛みが長引くことが多いようです。
ちなみに、筋肉痛を起こしやすい動きは「エキセントリック収縮」といって、例えば山を登る時よりも降りる時、バーベルを上げる時よりも下げる時のように、筋肉が伸びる動きに制限がかかると筋線維や周辺の結合組織に炎症が起こって痛みが生じやすくなります。
ストレッチしていいのはいつから?
筋肉痛を予防するために、運動の前後にストレッチをするのは効果的です。では、すでに筋肉痛になってしまっている場合はどうでしょう?
これは筋肉痛の程度にもよりますが、ダメージを受けた筋線維をストレッチによって伸ばしすぎてしまうと、より傷つけて、逆効果になるケースも考えられるので注意が必要です。痛みが強いときは、運動はもちろんストレッチも休むようにして、2~3日は体を安静にしましょう。
ここからは、筋肉痛になりやすいパーツのストレッチのやり方をご紹介。筋肉痛の予防や、回復後の運動として参考にしてみてください。
パーツ別・上半身のストレッチ:3種類
前腕(手首~ひじ)のストレッチ
STEP 1:あぐらで座り、両手を体の前に伸ばして、手のひらを床につく
▲お尻のお肉を手で外にかき出すようにして、左右の座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せると、骨盤を立てやすくなります。下腹部をリラックスさせて、脚の力は抜きましょう。
STEP 2:手の指先を体のほうに向ける
▲手の向きを変えます。指先を体のほうに向けたら、手のひらをしっかりと床につけましょう。前腕の伸びがツラい場合、手の位置を体に近づけ、反対に伸びが足りない場合は体から離します。〈回数:呼吸を5~10回〉
二の腕のストレッチ
STEP 1:両腕を頭上に伸ばし、頭のうしろでひじを曲げる。右手で左ひじをつかんで押し下げる
▲右手の重さを使って左腕を押し下げ、ストレッチをします。左腕は頭のうしろにダラリと垂らし、指先が肩甲骨に触れるような意識でおこなうと◎! 反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5~10回〉
肩に痛みがある場合、下からひじを押し上げる方法もあります。
▲左腕を頭のうしろに垂らしたら、右手でひじのあたりを下から押し上げます。
お腹や腰まわりのストレッチ
STEP 1:あぐらで座り、両手の指先を床につく
▲骨盤を立て、背筋を伸ばして座りましょう。肩を外側にまわし、左右の肩甲骨同士を中央に寄せて胸を開きます。
STEP 2:【息を吸いながら】胸を前に突き出す
▲手の指先で床を押し、胸を前に突き出します。あごを上げ、のど~胸、お腹など体の前面に心地よい伸びを感じましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】背中を丸める
▲吐く息に合わせて、腰~背中、首を丸めて体をアルファベットの“Cの字”にします。あごを引いて首のうしろも心地よく伸ばし、体の背面のストレッチをしましょう。〈回数:STEP 2~STEP 3を呼吸に合わせて5回〉
パーツ別・下半身のストレッチ:2種類
前もものストレッチ
STEP 1:両脚を前に伸ばして座り、左ひざを曲げる
▲腰が丸まらないように、左右の座骨に均等に体重を乗せて骨盤を立てて座ります。右のかかとは前に押し出し、左のかかとはお尻の横にセットしましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】上体をうしろに倒す
▲両手を体のうしろにつきます。手の指先は、お尻に向けましょう。ポイントは、左ひざが床から浮かないこと! ひじを曲げたり、手の位置を体から離したりして、左前ももが心地よくストレッチされる姿勢をキープします。反対側も同様におこないましょう。〈回数:呼吸を5~10回〉
足の甲~すねのストレッチ
STEP 1:正座の姿勢からスタート。右ひざを立てる
▲右足の裏は、左太ももの横につきます。手の指先を床について、体のバランスを取りましょう。
STEP 2:上体をうしろに倒す
▲手を体のうしろについたら、上体を軽く倒します。手の指先は、お尻に向けましょう。腰が反りすぎないように注意!
STEP 3:【息を吸いながら】左ひざを床から持ち上げる
▲左足の裏をお尻で踏み、足の甲を床につけた状態で左ひざを持ち上げます。左ひざは、無理のない高さでOK。足の甲~すねといったひざ下前面が、心地よくストレッチされる姿勢を保ちましょう。反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5~10回〉
筋肉痛を早く治すための過ごし方
ツラい筋肉痛は、少しでも早く治したいですよね。ここでは、筋肉痛の回復を助けるのに役立つ方法をあげていきます。
・体を温める
痛みを感じる部位への対処法に、冷やす方法があります。ですが、運動後しばらくして起こる遅発性筋肉痛の場合、筋肉の緊張によって生じている血行不良が痛みの原因になることもあるので、患部のほかにも全身を温めるようにするといいでしょう。
・休息を取る
筋肉痛を早く治すためには、休息が必要です。体を温めることもそうですが、睡眠をしっかり取って筋肉の修復を促しましょう。
・運動はお休みする
筋肉痛は筋肉の成長に効いていると言われることもありますが、痛みが出ている状態での無理な運動や伸ばしすぎるストレッチは、修復中の筋線維をさらに傷つけて怪我の原因になるケースも考えられます。2~3日は運動を休み、体の様子を見てから再開しましょう。
※ 痛みがない部位の軽い運動やストレッチは、無理のない範囲でおこないましょう。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。