時短&自己肯定感UP! 片づけはキッチンから行うこと!
健康志向や物価高騰の流れから、自炊をする人も増えています。そこで調理時間に差がつくのは、キッチンにあるのモノの総量。
「モノが多ければ、調味料や食材のありかわからなくなり、いつもゴソゴソ。さらには調理道具を探しすうちに、醤油びんに手が当たってこぼしたり、不安定な場所で食材を切ってひっくり返したりと、料理がストレスフルな作業になってしまいます。
でも、必要最低限のモノしかないキッチンなら、調理は流れるようにスムーズ。時短調理も可能になります」(「」内以下・西崎彩智さん)
片づけが苦手な人にとって、キッチンは片づけ体質になるための絶好の練習場。その5つの理由を解説していきます。
1.キッチンは片づけモチベーションがもっとも高まる場所
キッチンは家の中で最も使い、出入りする場所です。クローゼットと比較してみましょう。クローゼットは、朝と夜のせいぜい2回しか開閉しません。しかし、キッチンは何度も出入りし、冷蔵庫の扉は頻回に開閉します。
ここが目に見えてきれいになれば、モチベーションが上がり、気持ち良く過ごすことができるのです。
2.キッチンが片づくと、同居人も変化に気づく
同居している家族やパートナーがいる人にとって、キッチンが片づいていることは大きな意味を持ちます。住んでいる人にとっても、キッチンはよく出入りする場所。
あなたが主導権を握り、キッチンを片づけたら、同居する人からきっと 「キレイになったね」「スッキリして使いやすい」などと言われるはず。そういう小さな賞賛の言葉に、人はやる気が出るのです。
3.キッチンには大きいモノから小さいモノまですべて揃っているので、その仕組みを他の部屋でも応用できる
小皿、ティースプーンから、大きな鍋や平たいお皿、ホットプレート……キッチンには大小のモノが混在しており、いずれも用途も頻度も違う。これらを機能的に片づけられる“仕組み”を作ることができれば、それを他の部屋にも応用できるようになるのです。
4.キッチンのモノは数字で管理しやすい
キッチンにあるモノの多くは、賞味期限や消費期限が明記されており、取捨選択がしやすい。これが、モノを捨てるのが苦手な人の練習になるのです。
また、毎日使うものと、使わない者の線引きがしやすく、収納場所の区分もしやすいです。こういうことの積み重ねが、判断の練習になっていく。これが洋服や本とは大きく異なる点です。
5.家族など同居人に影響が広がりやすい
一緒に住んでいる人が、溜め込む性分だと、自分も引きずられてしまい、いつの間にか散らかっている状態に慣れてしまったなんてことはありませんか? “目が慣れる”ことにより、汚部屋が当たり前になってしまうのは避けたいもの。
キッチンは、滞在時間が長く、頻繁に目に入る場所です。ここが片づいてれば、キレイな状態に慣れ、そちらの方が心地よくなっていくもの。それがやがて同居する人、それぞれのエリアに波及していくのです。
以上が、キッチン片づけのメリット。ここからは実践編に入ります。
冷蔵庫に入れるのは、総量の7割
家が片づかない人は、奥底から何が出てくるかわからない、恐怖の冷蔵庫になりがちだと西崎さんは言います。
「冷蔵庫の片づけるまえに、まずは庫内の写真を撮影しましょう。そして、賞味期限が切れたもの、開封して時間が経過したものは、どんどん捨てていくのです」
食べきっていないジャムや瓶詰、開封したまま放置している餅やそうめん、賞味期限が切れたナンプラーなど海外の調味料、お土産で買った漬け物やチーズなどの乳製品などはよく発掘される食材だそう。
「鉄則は、これらを、まだ食べられると戻さないこと。賞味期限が切れたり、開封から3日以上経過したものは、ためらわずにゴミ箱へ。加えて、冷凍庫も徹底的に見直しましょう。
私の受講生さんの中には、保冷剤が100個以上出て来た人もいました。これも直近で使う3個を残してすべて捨ててください。冷凍焼けした肉や魚、いつ入れたかわからないご飯も、迷わずポイです」
賞味期限期限内の食べられる食材を残したら、庫内を拭いて食品を戻すときにもコツがあります。それは、生鮮食品などすぐに調理するものや、日常的な調味料は目線が届くところに配置すること。
そして、冷凍食品は立てて収納するのもポイント。これにより、冷蔵庫内の循環がよくなり、食品が使われないまま堆積することが防げるのです。
「片づけ終えたら、最初に撮影した写真と見比べてみてください。別人の冷蔵庫になっていることがわかるはずです。“冷蔵庫がここまで片づいたんだから、キッチンはもちろん、家じゅうの片づけは簡単”とあなたの自信にしてください。これが大切なのです」
このビフォー・アフターの写真をSNSにアップし、“いいね”賞賛を得るのも、自信をつける一つの手。
「冷蔵庫の片づけは、1時間もあれば終わります。ここで“捨てる”練習を重ねることはあなたの強みになる。それに冷蔵庫の片づけは奥深いです。自分の献立の傾向や買い物、そして収納のクセもわかりますから」
例えば、チーズが安売りしていると大量に購入してしまう、ご飯が1口でも余るとラップにくるんで冷凍するけどそのまま忘れる、などなど。
「一事が万事のように、冷蔵庫で見えてきた傾向は、家全体にも当てはまることなのです。冷蔵庫の片づけができたら、パントリーの片づけをしましょう。ここも賞味期限が明記されているので捨てやすいです」
床と台の上に「モノを置かない」を徹底する
冷蔵庫とパントリーで捨てる練習をしたら、古かったり使わなかったりする食器を捨て、1年以上使っていない調理器具を処分します。
西崎さんは、ひとつの家庭にキッチンバサミが10、似たようなフライパンが15、おたまが大小20など、“同じものの堆積”を見て来たそうです。
「使うのは1つなのに、現状把握ができなかったり、いつか使うかもと思っていたり、“捨てたら罰が当たる”などの強迫観念から、取って置いていたという人が大多数です。
でも、食材を捨てる練習をしているから、これらのモノの処分にあたってもそんなに心が痛まないはずです」
モノが減れば、収納スペースができ、床や台の上にモノを置かなくなり、グッと機能的になります。シンクも使いやすく、モノが洗いやすくなり衛生面でもいい効果が。
「あなたの健康状態も良くなるはずです。モノの総量が減れば、キレイな状態を維持することは難しくないのです。どこに何をしまえばリバウンドしないか、『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』で解説していますので、ぜひ参考に」
最後に「家が散らかっている人は、何年も使っていないパン焼き器かジューサーがキッチンにありますよ。あと何十枚ものエコバッグ、45リットルのゴミ袋1つ分のビニールの買い物袋が見つかったケースも」と西崎さん。
大切なのは、キッチンにある、今使わないものを、捨てること。これを行うことで、家全体はキレイになっていきます。
年末の大掃除、あれこれ手をつけたくなりますが、キッチンのモノの総量を減らすことから着手しましょう。そこから、2024年のすがすがしい生活と未来が広がっているはずです。
西崎さんの最新刊
『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)1,430円
1万人の個別相談実績を持つカリスマ「お片づけ習慣化」コンサルタントに学ぶ、絶対にリバウンドしない片づけのメソッド。片づけを「人生をリスタートさせるはじめの一歩」ととらえ、まずは片づけられない原因を徹底解明。その上で「賞味期限により〈捨てる〉〈捨てない〉が明確」「大小さまざまなモノがあるので他の部屋にも応用可能」「なにより家族が変化に気付きやすい」という理由から、片づけのスタートをキッチンに置き、家全体に応用できる片づけノウハウを伝授。
アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock
お片づけ習慣化コンサルタント・西崎彩智(にしざきさち)さん
株式会社Homeport代表取締役。1967年生まれ、岡山県出身。片づけを起点にママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して生きる力を養える「親子deお片づけ」を主宰。小中高と学校から講演の依頼も多い。昨今は、男性育休取得推進義務化の流れから企業による依頼も多く受け、「男性向け片づけ研修」の開催にも力を入れている。