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2023.11.25

依存と好きの違いって? 健全なパートナーシップを築くためのポイントを解説【専門家監修】

「依存」とは、相手に頼り切ってしまう状態。「好き」とは、心がひかれること。一緒にいることで相手を頼りに思うことは、悪いことではないはず。ネガティブな状態に陥ってしまう「依存」と、健全なパートナーシップの違いを、キャリアコーチの菊池啓子さんに解説をしてもらいました。

「依存」と「好き」の違いを理解する

恋愛において、「依存」と「好き」は密接に関係しています。好きだからこそ、一緒にいたいと思い、相手を頼りにする気持ちが出てきますよね。でも、「依存」というと、なんだかネガティブなイメージがつきまとってしまいます… 。好きという感情から依存に陥ってしまうケースは少なくありません。

好きな人と健全なパートナーシップを築くために。まずは、「依存」と「好き」の違いを理解しておきましょう。

女性とハートマーク

1:依存とは

「他に頼って存在、または生活すること」。ポイントは、相手に頼り切ってしまっていること。相手がいないと不安になったり、相手の存在がなければ生きていけないと感じたりします。

相手に尽くすことで、心の充足を得ようとすることも。相手が自分で決めるべきことやるべきことを、自分を犠牲にしてまで尽くします。先回りしてやってあげる・教えてあげるという行動に出てしまうケースも…。相手がそれを負担だと感じれば、関係性も悪化。いわゆる「重い」と言われてしまう状態です。

また、相手側が尽くされることが当たり前となり、甘えから要求がエスカレート。自分を犠牲にして、それに応えていくという関係性は、「共依存」。お互いにとって健全な状態ではなくなります。

2:好きとは

「心がひかれること。気に入ること。また、そのさま」。相手に対する好意や愛情。好きという感情は、相手との距離が近づくほど強まります。相手から好意を返されたり、相手から愛情を感じたりすると、「好き」という感情はさらに強まることに。一緒にいることで心地よさや幸せを感じるため、離れがたい気持ちになるのも自然なことです。

3:「健全な依存」もある

「好き」が高じて「依存」になるのは、良くないこと… 。そんな風に思うかもしれませんが、実は「依存」の関係でも、健全なものがあります。

健全な依存の大前提は、「お互いが自立をしている」こと。自立とは、「他の力を借りなくても、何かに従わなくても、自分の力で物事を決めたり行動したりできる」こと。精神的に自立した人同士が、一緒にいて協力することで、お互いの長所を活かし補完し合うことができます。

そして、ふたりで一緒に取り組むことで相乗効果を発揮し、ひとりではできないようなことも成し遂げることも可能。お互いをかけがえのない存在だと感じ、お互いを思いやり、お互いの成長に欠かせない。そんなパートナーシップを、「相互依存」と言います。

今のパートナーとの関係性は? 依存度を診断

「依存」と「好き」の境目は自覚しづらいことがあります。次の4つの質問で、パートナーとの関係性を診断してみましょう。

脳みそ

1:自分の時間や予定を優先できますか?

相手の都合に合わせて、自分のための時間を削ったり予定をすぐに変更したりしていませんか? 「一緒にいたい」という気持ちも大切ですが、自分の生活や人生を犠牲にするのはNG。本当に心が通じ合っているのであれば、お互いの都合を尊重することができるはずです。

2:相手の機嫌に大きく左右されていますか?

相手の機嫌は相手のもの。機嫌が悪くなるのも良くなるのも、実はその人の都合でしかありません。常に相手の機嫌を取る、もしくは取らされるような状態は、自分の心が疲れてしまいます。自分を大切に扱えてこそ、本当の意味で相手の癒しにつながるのです。

3:相手と一緒にいる自分の状態を、客観的に捉えられますか?

周りが見えないほどの情熱で、ふたりだけの世界に浸っているとしたら、注意が必要かもしれません。ふたりでいることでそれぞれに与える影響や、周囲との関係性など、一歩引いてふたりの関係性を客観視する習慣を持ちましょう。

4:「嫌われたらどうしよう… 」という不安につきまとわれていませんか?

常に不安に襲われて、嫌われたくないと自分を犠牲にして相手に尽くし過ぎてしまうことは、依存の状態に近いかもしれません。ポイントは「常に」「いつも」思っているのかどうか。心が不安定になる関係性だったとしたら、自分にとって信頼できる人に相談を持ち掛けてみましょう。

「依存」と「好き」のバランスをとる

「依存」と「好き」のバランスをとるためには、3つのポイントを意識していきましょう。

天秤を持つ手

1:自分の気持ちや感情を客観的に見つめる

自分の気持ちや感情を客観的に見つめることが大切です。相手への気持ちが、好きなのか、依存なのかを冷静に判断するために、まずは自分の感情や欲求を正しく認識しましょう。

一緒にいることで、「好き」という心地よい状態を実感できることはありますか? 不安やイラつきなどのネガティブな感情や、我慢や犠牲などの被害者意識が多かったとしたら、どのような状態を求めているのかを、自分に問いかけてみましょう。

2:相手の気持ちを尊重する

先回りをしすぎたり、良かれと思ってのことだとしても、手を出しすぎたりしていませんか? 「自分の気が済むために、相手に尽くしている」としたら要注意。相手はそれを求めていないかもしれません。

相手も、自分と同じように、自分の人生を生きています。勝手に察して動くのではなく、相手の気持ちを尊重することも大切です。相手に依存することで、相手の人生を犠牲にしてしまわないようにしましょう。

3:自分の人生を大切にする

優先すべきは、「自分の人生」です。他人に頼り、他人に寄せていく人生は、自分で選んだりコントロールが効かない分、結果として不満を抱えがちになります。

相手との時間を大切にし、共に過ごすということも幸せにつながりますが、自分の時間を大切にしましょう。また、自分にとって大切なこと優先順位など、価値観を明確にして自分の決めて選んでいくことが重要。自立できるからこそ、お互いを尊重しあえる「相互依存」のパートナーシップを築くことができます。

最後に

「依存」も、悪いことばかりではありません。目指すところは、パートナーとして、お互いを尊重し協力して良い人生を共に過ごしていける「相互依存」の状態。そのためにも、まずは自分自身を大切にしていきたいですね。自立した大人同士だからこそ、「好き」を上手に育てていきましょう。

TOP画像/(c)Adobe Stock

キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん

2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。

Twitter:@lotus_kikuhime 

ライター所属:京都メディアライン 

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