「浮き足立つ」の意味は?
浮き足立つは「うきあしだつ」と読み、「不安や恐れなどの感情を抱き、落ち着きがなくなる」という意味です。
ネガティブな場面で使う言葉で、「楽しい気分で浮かれる」「ワクワクしている」というポジティブな意味で使うのは間違いのため、誤用に注意してください。
ここでは、浮き足立つの正しい意味や間違った使い方、言葉の由来について解説します。
落ち着きがない様子を表す言葉
浮き足立つは、「恐れや不安を感じ、落ち着きがなくなる」といった意味があります。不安や緊張などネガティブな感情が湧き上がり、落ち着きがなくなって逃げ出したくなる気持ちを表す言葉です。
一例として、「周囲の人から非難されて浮き足立つ」「大事な場面で失敗してしまい、気持ちが浮き足立った」といった使い方をします。
「楽しくワクワクしている」のは誤用
浮き足立つは、「浮かれる」などの言葉のイメージから、楽しい気分を表していると誤解される場合があります。
本来の意味とは正反対の意味合いになるため、間違った使い方には注意が必要です。楽しくて落ち着かない様子を表す場合は、「浮き足立つ」ではなく「浮き立つ」「浮かれる」といった表現を使います。
たとえば、何年かぶりに会った人に対して、「久しぶりに会えるため、浮き足立ちました」と伝えたら、「会うことに不安や恐れを抱き、逃げ出したい気持ち」という意味になってしまいます。
久しぶりに会うことで、ワクワクしている気持ちを表したい場合は、「久しぶりに会えるため、気持ちが浮き立ちました」というのが正解です。
浮き足立つの語源
浮き足立つは、つま先立ちの状態を表す「浮き足」が語源です。
つま先立ちは不安定な状態であり、そのような状態で「立つ」ことから「落ち着きがなく、逃げ出したくなる」という意味を持つようになりました。そのため、「浮き足立つ」にはネガティブな意味合いがあります。
現代では「浮き足」を単独で使うことはほとんどなく、「浮き足立つ」という表現が一般的です。
「浮き足立つ」の例文
「浮き足立つ」の例文をみることで、正しい使い方がわかります。いくつかみていきましょう。
・重要な会議でプレゼンテーションをすることになり、何日も前から浮き足立っている
・会社の経営が危ないという噂が流れ、従業員は全員浮き足立っていた
・取引先とのトラブルを上司に報告しなければならず、気持ちが浮き足立っている
・次の試合の相手が優勝候補で実力に差があるチームとわかり、メンバーは浮き足立ってしまった
・大事な場面でいつも浮き足立ってしまうため、常に平常心を保てるようにしたいと思っている
・相手チームの攻撃を受けて浮き足立ち、その後は力を発揮できずに敗退した
「浮き足立つ」の類義語
「浮き足立つ」には、似た意味を持つ類義語がいくつかあります。
落ち着かない様子を表す「地に足がつかない」や、あることに心を奪われている状態を表す「気もそぞろ」などがあげられます。
類義語を一緒に覚えておけば語彙が広がり、「浮き足立つ」の理解もより深まるでしょう。
ここでは、「浮き足立つ」の類義語を3つご紹介します。
地に足がつかない
「地に足がつかない(ちにあしがつかない)」とは、落ち着きがなく、冷静さを欠いた様子を表す言葉です。「浮き足立つ」とはほとんど意味が同じですが、喜びでそわそわしている状態など、プラスの意味でも使われます。
(例文)
・新しい会社を立ち上げてから、なかなか地に足がつかない状態が続いている
・今日は合格発表があり、朝から地に足がつかない気持ちだ
気もそぞろ
「気もそぞろ(きもそぞろ)」とは、あることに心を奪われて落ち着かない様子を表します。そぞろは漢字で「漫ろ」と書き、「心が落ち着かない」「これといった理由がない」という意味の言葉です。
(例文)
・明日からの旅行が楽しみで、今から気もそぞろになっている
・彼は大事なプロジェクトに失敗してしまい、声をかけても生返事で、気もそぞろな様子だった
浮腰
浮腰(うきごし)とは、「重心が定まらない不安定な腰つき」という意味のほか、「動揺して態度が落ち着かない」という意味があります。
力が入らず不安定な腰の状態から、「動揺して落ち着かない様子」を表す言葉です。同じような意味の言葉に「逃げ腰(にげごし)」があります。
(例文)
・彼は自分の企画に自信を持っていたが、強い反対にあって浮腰になっている
・しっかりとした計画を立てず浮腰になっていたため、他社に後れをとってしまった
「浮き足立つ」の対義語
「浮き足立つ」には、以下のような対義語もあります。
・落ち着き
・冷静
・安定
・肝が据わる
「落ち着き(おちつき)」は、「態度や言動が穏やかで安定している」という意味です。
「冷静(れいせい)」は、落ち着いた態度、慌てたり感情的になったりしないことを表します。
「安定(あんてい)」は物事が落ち着た状態で、変化がなく一定していることです。
「肝が据わる(きもがすわる)」とは、「落ち着いていて、めったなことには驚かない」「度胸がある」という意味の言葉です。
「肝が据わる」の「肝」は「胆力」のことで、物事を恐れたり気おくれしたりしない力を表します。「据わる」は「どっしりと落ち着き、物事に動じない様子」という意味です。
これらの対義語も合わせて覚えれば、「浮き足立つ」の意味をより深く理解できるでしょう。
「浮き足立つ」は誤用に注意
「浮き足立つ」は、恐れや不安といったネガティブな感情から気持ちが落ち着かなくなることを表します。楽しい気分を表すときは使わないため、誤用に注意しましょう。
言葉の由来は、つま先立ちという意味の「浮き足」で、不安定な状態から転じて「落ち着きのない」という意味になりました。
「浮き足立つ」には類義語や対義語も多いため、一緒に覚えて正しく理解しましょう。