ビジネスシーンでは、英語がもとになっているカタカナ表記の言葉が登場することがあります。「アセット」もその中のひとつ。アセットと聞いてパッと意味が出てこない… という方も少なくないのではないでしょうか? 当記事では、アセットの意味や関連語などについて解説していきます。
アセットとは?
最初に、アセットの基本的な意味を確認しましょう。
意味
アセットとは、英語の「asset」をカタカナ表記にした言葉です。意味は、「資産」「財産」。このほかにも「役に立つもの」「利点」といった意味もあります。広義ではこれらの意味ですが、シーンによって若干意味が異なることも。例えば、ビジネスシーンにおいては企業のノウハウを、IT分野においては開発に使用する画像のことなどをさします。詳しくは、次項で紹介しましょう。
シーン別のアセットの意味とは?
アセットの基本的な意味はわかりましたか? 続いては、ビジネスシーンやIT分野など、シーン別のアセットの意味を解説しましょう。「資産」という意味から派生して、より限定的なものをさすので、一つひとつチェックしてみてください。
ビジネスシーン
ビジネスシーンでアセットが使われる時は、「企業が蓄積したノウハウ」「強み」をさすことが多いです。例えば、「他社に頼るよりも、まずは当社のアセットを活用しましょう」といった場合、このアセットは、「会社が蓄積してきたノウハウ」をさします。
IT
IT分野でアセットが使われる時は、「資産」にあたるデータをさします。例えば、ゲーム開発においては、開発に用いる画像(テクスチャ)や効果音、3Dモデルデータなどのことをアセットと言うのです。
デザイン
チラシやポスター、ウェブデザインなど、様々なグラフィックデザインができるソフト「Adobe Illustrator」。Adobe Illustratorでは、ライブラリに保存する画像のことをアセットと言います。別のデザインをする時に再利用できたり、クラウド上に保存しておけば、ほかの端末でも共有ができたりするのです。蓄積されるという性質から、アセットと呼ばれているのかもしれませんね。
広告
広告におけるアセットは、広告を構成する画像やテキスト、リンクなどのことです。ちなみにGoogle 広告では、広告として表示される見出しや説明文など(=アセット)を複数設定しておけば、自動的に最適な広告を表示してくれる機能がありますよ。
軍事
軍事におけるアセットは、装備品などのこと。具体的には、戦車や航空機、艦艇、レーダーなどです。
アセットの関連語を紹介!
アセットは、そのほかの言葉と組み合わせて使われることがあります。カタカナ語が並びますが、いざこれらの言葉を聞いた時に混乱しないよう、しっかり覚えておきましょう。
アセットマネジメント
アセットマネジメントとは、英語の「asset」と「management」を組み合わせた言葉です。「asset」は「資産」という意味でしたね。一方で「management」とは、「管理」という意味。つまり、アセットマネジメントは、「資産をうまく管理・運用すること」です。
ただし一般的にアセットマネジメントは、「個人や企業が持つ資産を、代行して管理・運用する業務のこと」をさします。
ちなみに、この代行業務を行う会社のことを、アセットマネジメント会社と言いますよ。アセットマネジメント会社の例としては、投資信託運用会社や信託銀行、投資顧問業など。アセットマネジメント会社は、株式や債権、不動産などの資産を預かり、投資利回りを最大限にするという役割を担っています。
アセットアロケーション
アセットアロケーションのアロケーションとは、英語の「allocation」のこと。「allocation」は、「割り当て」「配給」といった意味の英語です。アセットアロケーションとは、「資産を金融商品や不動産などに割り当て、運用すること」をさします。
「分配投資」や「資産配分」などとも呼ばれますよ。アセットアロケーションの目的は、資産をバランスよく分配することで、リスクを最小限に抑えることです。
ヒューマンアセット
ヒューマンアセットという言葉を聞いたことがなくても、何となく意味がわかるのはないでしょうか? 「ヒューマン(human)」とは、「人の」という意味ですから、ヒューマンアセットがさすのは「人的資産」。企業においては、資本金や商品などもアセットにあたりますが、人材も重要なアセットです。
利益を上げたり、組織力を強化したりするために、人材も企業のアセットととらえて管理することを「ヒューマンアセットマネジメント」と言います。ちなみに、利益を上げられる人材にすることを「アセット化」と言うこともあるようです。
類語や言い換え表現は?
続いて、アセットの言い換え表現を紹介します。アセットとともに意味を覚えて、語彙を増やしてみてくださいね。
1:資産
英語の「asset」を訳すと、「資産」という意味でしたね。資産はアセットをそのまま日本語訳した言葉ですので、言い換え表現として一番使いやすい言葉かもしれません。
2:リソース
リソースとは、英語の「resource」が語源です。意味は「資源」「財源」「供給源」。ビジネスシーンにおいてリソースは、経営資源のことを言い、具体的には、会社の設備や土地、運営資金、顧客情報、ノウハウ、人材などのことをさします。リソースもビジネスシーンではよく使われる言葉ですので、この機会にしっかりと意味を覚えておきたいですね。
3:財産
財産も、アセットの言い換え表現として使えます。あらためて、意味をおさらいしておきましょう。財産とは、金銭や土地、有価証券など、金銭的に価値のあるもののこと。「人材も当社の重要なアセットだ」は、「人材も当社の重要な財産だ」と、言い換えることができます。
最後に
ビジネスシーンでは、カタカナ語がよく使われますが、意味を曖昧に覚えているという方も中にはいるでしょう。しかし、「何となく」で意味を覚えていると、ミスコミュニケーションが起こってしまう可能性があります。当記事を参考に、アセットの意味をしっかりおさえて、適切に使えるようにしてくださいね。
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