「形骸化」とは?読み方などの基礎知識を解説
「形骸化」の読み方は<けいがいか>です。「この制度は形骸化してしまった」というように、ニュースや新聞などでよく使われます。形骸化は、自分で日常会話として使うことはあまりないものの、会社における業務改善など、ビジネスシーンで使うことがあります。
はじめに、形骸化や「形」「骸」「化」それぞれの意味、使い方・例文、類語・言い換え表現、対義語表現を確認していきましょう。
形骸化とは実質的な意味を失い、形だけが残ること
形骸化とは、本来の意味を失ってしまい、形だけが残ることです。形としては残っているものの、成立したときに求められていた本来の姿ではなくなってしまった状態を指して、「形骸化した」などと表現します。
形骸化は、なんらかのトラブルや問題が起こったときによく使われる言葉です。日常生活では、昔からの慣習や決まりごとなどで、本来の姿ではなく形だけが残った状態を感じやすいでしょう。
「形」「骸」「化」それぞれの意味
「形」「骸」「化」それぞれの漢字の意味は、以下のとおりです。
形……外に現れた姿。かたち。ありさま。
骸……骨組みだけ残った体。魂のぬけた体。なきがら。
化……前と違った姿や状態になること。
また、「形骸」の意味は、「外側のみを残し、実質的な意味が失われているもの」です。あわせて、意味を失って、骨組みだけが残った形になることを表します。
形骸化の使い方・例文
それでは、形骸化の使い方を簡単な例文でチェックしましょう。
・交通安全のルールが形骸化されてしまった。
・業務改善のために作ったはずの制度だが、もはや形骸化している。
・失敗の一因は、作業ルールの形骸化だ。
・その慣習は形骸化したといわれるようになって久しい。
このように、なんらかの目的をもってルールや制度を作ったものの、その有用性が失われてしまったときなどに、形骸化と表現します。
形骸化の類語・言い換え表現
形骸化の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・有名無実化(ゆうめいむじつか)
……名目上は存在しているが、実質的には何の意味ももたないこと。
・官僚化(かんりょうか)
……会社やチームがうまく機能しないこと。
・死文化(しぶんか)
……条文はあるけれど、すでに効力を失っている文章。
・形ばかりの
……内容はともかく体裁だけは整っていること。
・名ばかりの
……形式は整っているものの、実質がともなわないこと。
このように、本来の状態ではないことを表す言葉は多くあります。それぞれの言葉で少しずつ異なる意味があるため、あわせて確認しておきましょう。
形骸化の対義語表現
一方、形骸化の対義語表現は以下のとおりです。
・活性化
……社会や組織の勢いをよくして活発にすること。特定の機能が活発になること。
たとえば、「地域の活性化を促進する」「組織を活性化させる」「停滞しているプロジェクトの活性化を狙う」などと使います。
活性化はプラスに働いた状態を、形骸化はマイナスに働いた状態を指す言葉です。また、意図的に盛り上げて機能や動きを活発にしようとすることも、活性化と表現します。
ビジネスシーンにおける形骸化とは?
ビジネスシーンにおいても、社内のルールや制度などが形骸化することがよくあります。つまり、目的があってルールなどが制定されたものの、期待される機能を果たせないでいる状態です。この場合、本来の目的が失われたまま、ただルールを維持するために守らなければならない状態になってしまいます。
働き方改革や業務改善など、会社をより良い方向に進めようとしているにもかかわらず、制定したルールなどの形骸化によって逆効果になってしまうことも多いです。
それでは、なぜ形骸化してしまうのか、社内制度の形骸化を防止するためのポイントを確認しましょう。
会社における業務改善などが形骸化する理由
会社における業務改善などが形骸化してしまう理由は、以下のとおりです。
・やらされ感が強いこと
・時代や環境などが変化すること
会社における業務改善は、従業員のやらされ感が高くなってしまう場合があります。たとえば、制度の目的が理解されないままで、やらなければならないことが増えたと感じてしまうような状態です。また、実質的に一部の従業員にしか恩恵がない制度や、実態にあわないまま型通りの決まった方法を押しつけられている状態なども、形骸化しやすいです。
ルールや制度の制定当初の状況とは変化したことで、ルールや制度が現時点の状況とあわなくなってしまうこともあります。
社内制度を形骸化させないためのポイント
社内制度の形骸化を防止するためには、以下のポイントに注意が必要です。
・ルールや制度の目的を周知する
・一部の従業員だけではなく、従業員全体に恩恵があると感じるような運用に変える
・状況にあわせて修正していく
・制度を見直し、旧制度を新しい制度に一新する
ルールや制度の目的を周知して従業員に浸透させることで、与えられた職務の意味が理解できて従業員のやらされ感が減らせます。全体に恩恵があると感じる運用にすること、型通りの方法を押しつけるのではなくて状況にあわせて運用することなども効果的です。また、時代や環境などが変化したことで現在の状況と合わなくなっている場合には、新しい制度に一新することも検討しましょう。
形骸化という言葉を正しく理解しよう
形骸化とは、実質的な意味を失ってしまい、形だけが残ることです。なんらかの目的をもってルールや制度を作ったものの、その有用性が失われてしまったときなどに形骸化と表現します。
ビジネスシーンでは、働き方改革や業務改善などで形骸化を感じることが多いです。会社をより良い方向に進めようとしているにもかかわらず、形骸化によって逆効果になってしまうことがあります。形骸化させないためのポイントを理解したうえで、状況にあわせて対応することが重要です。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などをあわせて確認し、言葉をしっかりと把握できるようになりましょう。
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