仕事も趣味もしっかりと楽しむ【働く女子図鑑 #7】
「働くって楽しい」。いきいきと働く女性を取り上げる連載『働く女子図鑑』第7回目は、シェアオフィスのPR・セールスとして働く野村紗英子さん(33)です。
▲シェアオフィス PR&セールス 野村紗英子さん(33)
シェアオフィスのPRと営業を担当している野村さんの業務は、メディアの対応、営業、イベント企画などさまざま。
今の職場に出合ったことで「仕事=辛いこと」ではなくなったと野村さんは語ります。5社目のキャリアでようやく掴んだ「自分にぴったりな仕事」とは?
多種多様な人が集まる職場
PRと営業を担う野村さんは、自らの足で発信することを心がけているそう。
「メールや電話の営業にとどまらず、施設に合いそうな素敵な方や企業には、直接足を運んでオファーをしに行ったりもします。泥臭い作業も多いですが、人とのつながりが大事なお仕事で、本当に楽しいんです」
▲出社日のコーデ。営業やイベントの出席で外を歩き回ることが多いため、動きやすいアイテムを積極的に取り入れている
シェアオフィスを使っている人は、大手企業の役員からベンチャー企業の社員、起業家、フリーランス、中にはYouTuberや有名人で事業を手がける人など、多種多様な人がひとつのシェアオフィスに集まり、並んで仕事をしているそうです。
「シェアオフィスの仕組みですが、我々の場合はオフィスを使用するメンバーのみなさんに入館証となるカードキーを配布しています。そのため24時間出入り自由になっています。飲食店のある複合施設に併設されたシェアオフィスなので、夜、外食した後にまたオフィスに戻って仕事をする人も多いですね。
シェアオフィスのメンバー同士、協業や出資に繋がった事例も少なくありません。色んな出会いがあるので、私も働きながら多くの発見があって楽しいです」
「面白い人と働きたい」が原点
野村さんにとってシェアオフィスは5社目ですが、高校生の頃は広告業界で働くことを夢見ていたそう。そのため、1社目は制作会社で広告の仕事に携わっていたと語ります。
▲野村さんの1日
「17歳の時、日本を代表するクリエイティブディレクターである嶋浩一郎さんの本に出合ったのが、広告業界を志すようになったきっかけです。世の中にはこんなに面白いアイデアがあるのか、と感動しました。以降、広告業界で働く人たちのような面白い思考を持った人と仕事をしたいと思っていました」
しかし新卒で広告制作会社に入社したものの、早々に夢と現実のギャップを感じることに。
「憧れの仕事につくことができたのは嬉しかったです。でも手足を動かして広告をつくる制作会社では『好きだけど体が追いつかない』という困難に直面しました。モチベーションはあったのですが、想像以上に体力的に厳しい現場でした」
▲仕事終わり、外食をして帰宅することが多いという野村さん。三宿にあるイタリアンレストラン「Arrow」のパスタが最近のお気に入り
「チームでいい作品をつくりたい」というワクワクと現実の乖離に苦しんだといいます。
「高校までずっとバレーボールに専念していたのもあり、チームで何かを成し遂げる達成感の素晴らしさを知っていました。でも、仕事はスポーツとは違う。仕事はそんなに甘い話ではないと1社目で痛感しました」
知人の後押しで異業種に挑戦
高校生からずっと憧れていた業界。環境を変えてもう一度広告業界で挑戦しようとした野村さんは、別の制作会社に転職。プロジェクトマネージャーとしてキャリアを積んだあと、今度は自分のフットワークの軽さと好奇心が活かされそうな広報の仕事に挑戦することに。
「外資系ホテルで広報として働いたあと、複合施設に併設されたシェアオフィスのPRのポジションを見つけました。ちょうど知り合いがその会社に詳しく『とってもいい企業だからやってみなよ!』と背中を押してくれたのがきっかけです」
シェアオフィスでのポジションは、野村さんが高校時代から感じていたワクワクの原点「面白い人と仕事をしたい」が叶う場所でした。
▲仕事終わり、友人のブランドの展示会へ。普段からシェアオフィスのPRも兼ねて人が集まる場には積極的に足を運ぶ
「今の仕事は人との繋がりが大事です。たとえば面白そうなイベントには積極的に足を運び、主催者に挨拶し、キーパーソンを紹介していただいて関係性をつくります。
他にも、シェアオフィスを使ってくれる仲間がイベントをする際は、応援で足を運ぶことはもちろん、お手伝いをしたりもします。それくらい今の仕事ではフットワークの軽さを大事にしています」
アクティブな営業とPR活動だけでなく、イベント企画、広告物の制作、プレスリリースの準備、採用、契約内容の整理や、メンバー同士を繋いでビジネスのサポートを行うことも野村さんの仕事。
「時間との戦いですが、楽しく仕事ができています」と野村さんは語ります。
超アクティブ! 野村さんの週末の過ごし方
週末はひとりでいることがないという野村さん。
「夏場は暑すぎて15時前は外出せず、家事をして過ごします。準備をしたら美術館、ライブ、シェアオフィスで繋がった人のイベント、カフェなどに行きます。私は1回外出をすると、何件もいろんなところをハシゴしたいタイプです!」
▲SNSで見つけたアーティスト「SHOKKI」のアトリエにて器を購入。テーブルのアクセントになるお気に入りのアイテム
休日は仕事のお付き合いを兼ねたイベントへの出席やシェアオフィスのメンバーと出かけることも多いものの、今の職場なら「365日働くことも苦に感じない」と野村さんは言います。同時に、自由に働いて毎日を楽しめているのは夫のおかげだと強調しました。
「私が私として生きていけるのは、夫の理解とリスペクトがあるからこそ。夫はこれまでバリバリ働く女性をたくさん見てきたので、私が残業や会食で夜が遅くなることに理解を示して応援をしてくれます。お互い仕事を頑張りつつ、時間がある時に家で一緒にご飯を食べたり出かけたりできて、本当に人生が充実していると感じます。夫に感謝です」
▲今年の夏に夫婦で遊びに行った、北軽井沢にある「Tatehata House」。自然の中にあるおしゃれな宿泊先で、とてもいいリフレッシュになったそう
自分を失わずに働きたい
野村さんは働く上で、こだわっていることがあるそうです。
「私は結婚した後も旧姓で働いています。このことを母に初めて伝えた時は、生きてきた時代の違いもあって、すっごく怒られたんです。もちろん母が怒る理由もよくわかりましたし、その分私も長い間じっくり考えてきました。
でも今は3組に1組が離婚していて、生き方も多様な時代。働く上では誰かの妻でも母でもなく『野村紗英子』として責任を持って仕事をしたいと強く感じているので、旧姓で働いています」
30歳以降「自分らしく働く」を追求する中で野村さんが見つけた「働き方」。これからもシェアオフィスで色んな人の価値観に触れながら、自分らしい働き方を磨いていきたいと言います。
プライベートと仕事に明確な境界線を引かず、毎日楽しく全力で過ごす野村さん。さまざまな職場を通して自分と向き合ってきたからこそ見つけられたキャリアです。
これからは新しくできる施設の責任者として活躍したり、施設開発のコンサルなどができるようになったり、経験を積んでキャリアアップをしていきたいと言います。
「まだまだ今の職場では学ぶことが多そうです」野村さんは目を輝かせながら語ります。
ペ・リョソン
コラムニスト。NewsPicks Studios ライター/アシスタントディレクター。
1996年兵庫生まれのギリギリZ世代。20代前半は韓国とヨーロッパで過ごす。ファッションはパリジェンヌより、大胆な柄や色をさりげなく取り入れるミラネーゼ派。