Z世代のリアルな生活に迫る【働く女子図鑑 #3】
「働くって楽しい」。いきいきと働く女性を取り上げる連載『働く女子図鑑』第3回目は、大手IT企業の人事部で働く黒崎成美さん(25)です。
▲大手IT企業 人事部・黒崎成美さん(25)
黒崎さんはIT企業の人事部で働いて2年目。入社した時からフルリモートで、コロナが収束した今も出社は1ヶ月に1回程度だそうです。
起業したばかりの同級生の彼とは同棲して1年半。お互いの生活と仕事を支え合いながら都内で暮らしています。
社内だけでなく私生活でも周囲から「しっかりしている」「年齢を感じさせない」と言われるほど、責任感が強く物事をテキパキとこなす黒崎さん。今回は黒崎さんの日常を通して、働くZ世代のリアルな生活に迫ります。
フルリモートで充実した平日を過ごす
黒崎さんの人事部での役割とは。普段の仕事内容について聞いてみました。
「人事部というと、採用や新卒社員の研修、評価などの業務を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、私がやっていることは社員の『働く』を支える仕事です。担当領域は『給与』。社員の大事な給与を計算するシステムの運用を担当しています」
▲今年の黒崎さんのベストバイはモニター。資料作成時にデータを見比べることが多いため、2画面になってかなり快適に仕事ができているそうです。
人事部で実際にしている作業は?
具体的にどのような作業があるのでしょうか。
「給与・人事・服務制度や法律が変わる時、システムもあわせて改修しなければなりません。そんな時、私がエンジニアに向けて『開発要件』を作成します。どのように改善してほしいかをまとめたものです。
開発要件通りに無事改善してもらったあとは、システムに問題が残っていないかテストをし、慎重に結果を確認します。問題がなければ全ての部署に周知するために資料を作成します。急に使い勝手が変わったら社員も驚きますからね」
出社日のコーデ&スケジュールを拝見
▲出社日のコーデ。歩いても座っても快適な、ゆったりとしたワンピースが多め。
入社以来ずっとリモートワークだったという黒崎さん。時間を有効に活用できリモートワークが充実しているそうです。
「最近は朝8時に起きてジムに行き、1時間運動をしています。家に戻ったらシャワーを浴びて、9時半に業務を始めます。お昼休みの1時間は、お腹が空いていなかったらお昼寝の時間にあてる日もあります。
事務作業がほとんどなので、フルリモートで毎日の仕事が完結します。こんな働き方、コロナ前だとありえなかったでしょう。個人的にリモートワークは最高だと思っています(笑)!」
▲黒崎さんの1日
家だとなかなか集中できないという人もいる中、黒崎さんは圧倒的に在宅派。リモートワークが快適とはいえ、若手なら対面で上司や同僚に相談したくなることもあるのでは。
「在宅勤務だと相手の顔が見えず相談しづらいという声もよく聞きますが、私は躊躇なくチームに連絡しますね。少しでも疑問に感じることがあれば、すぐに上司に相談して解決します。
仕事においていつも心がけていることが2つあります。1つ目は妥協しないこと、2つ目は責任を持って仕事をすること。リモートで問題なく報連相、問題解決ができる環境と仕事内容なので、私は性格的にも業務内容的にもリモートに向いていると自分で思います」
毎週末は美容のメンテナンスデー
黒崎さんにとって週末は、美容のメンテナンスの日でもあります。ネイル、ヘアサロン、まつげサロン、皮膚科…。週に1度は何かしらのサロン・病院に行くそうです。
「一見美容コストがかなりかかっているように見えますが、私の場合はミニモというサロンモデルを募集するアプリを使ってコストを抑えています。このアプリで予約をすると、新人のネイリストさんや美容師さんの練習台になるかわりに、安く施術を受けられるのです。
もちろんサロンや人によりますが、私の場合ネイルはオフ込みで3,000円くらいです。普通に受けたら最低6,000円はかかるので、かなり助かっていますね」
▲ミニモで予約したネイル店で。オフ込みで3,000円程度。
カーシェアを利用している人がとても多い
彼とのお出かけの日はおしゃれスポットを散歩したり、ショッピングをしたりして過ごすそうです。少し遠くまで行くときは、カーシェアサービスを使ってドライブすることも。
「同世代だとカーシェアを利用している人がとても多いです。やっぱり都内で車を持つのはまだ私の年齢だと経済的に厳しいので(笑)。手軽に借りることができるので、しばらくはカーシェアで十分だと感じています」
▲山梨県PICA Fujiyamaにて。
同棲中の彼との役割分担は?
また、同棲中の彼とどのように役割を分担しているのか聞いてみました。一緒に暮らして1年半、ここまで二人三脚でうまくやってこれた理由とは。
「家賃と生活費は折半しています。食料の買い出しと料理は私、彼には洗濯をお願いしています。掃除や洗い物は気づいた方がやるように。… もちろんはじめはうまくいきませんでした。
ある日夕飯の準備でスーパーに行った帰り道、重い荷物を持ちながら“なんで自分だけがいつもこんな重いものを持たなきゃいけないのか?ちょっと不平等じゃないか”と感じたことがあって。料理は好きですし、買い物も私がする方が早いというのは頭ではわかっていたのですが、買い出しのせいですごくストレスが溜まっていったんです。
同棲を解消しようかと真剣に迷ったほどです(笑)。『そんなことで』と思う人もいるかもしれませんが、本当に辛かったのです」
買い物をネットスーパーにしたらストレスが激減
▲料理は黒崎さんが担当。1週間分のレシピを発信するYouTuberの動画などを参考に自炊。
年齢は一緒。お互い毎日多忙で、収入にも差がない2人。平等に役割を分担したつもりでも、やってみると想像以上に自分の担当に負担があったと黒崎さんは振り返ります。一体どう解決したのでしょうか。
「すごく簡単な方法で解決しました。買い物をネットスーパーで済ますようにしたんです! 私のストレスは料理をすることではなく、2人分の食材が入った重い荷物を運ぶことでした。彼と一緒にスーパーに行くことも考えたのですが、時間が合わないため現実的ではなかったんです。そこで『ネットスーパーで1週間分買えば良いじゃん!』と思いついたんです」
▲黒崎さんの誕生日記念で行った旅行にて。栃木県・鬼怒川の橋にて。
何でも落ち着いて問題と向き合う黒崎さん。常にストレスや悩みの種を明確にし、その後にじっくり解決方法を考えることが黒崎さん流の困難の乗り越え方です。それ以来はストレスを溜めることもなく、楽しく過ごしているそうです。
「未来の自分」のために勉強中!
黒崎さんは最近、週末の時間を使って中小企業診断士の資格の勉強をしているそうです。キャリアアップを見据えてのアクションだといいます。
「中小企業診断士の勉強では経営を網羅的に理解できるので、本業だけでなくこれから先のキャリアにも生きると思っています。いまはいくらでも横断的に働ける時代、国家資格を取ることで将来副業にも活かせます。
いまの職場は幅広く人事の仕事を学べるチャンスがまだまだたくさんあるので転職は考えていませんが、いつか副業にチャレンジするなどして自分の視野を広げたいですね」
▲昨年末に行った沖縄旅行にて。
今後のキャリアのために既にアクションを起こしている黒崎さん。一方で気になる彼との将来についても聞いてみました。
「結婚や出産は姉が経験しているのもあり、私自身とても憧れています。今の彼とは結婚も視野に入れて同棲をしていますが、全く急いでいませんしタイミングすら考えていません。お互い目標に向かって頑張っているからこそ、一緒にいて楽しいのだと思います。将来何か大きなことを達成した時に、二人のご褒美として結婚があったらいいのでは、くらいに私は思っています」
東京生まれ東京育ちの黒崎さんは、今後も変わらず都内で働き続けたいと話します。
「いつか地方に転勤するのもいいと思いますが、いまは東京での暮らしをもっと楽しみたいですね。仕事ではバックオフィスとしてのスキル・知識を身につけていきながら、自由な時間を使って機会の多い東京で色んな経験をしたいです」
これから黒崎さんが東京でどのような経験をしてキャリアアップしていくのか、気になります。
ペ・リョソン
コラムニスト。NewsPicks Studios ライター/アシスタントディレクター。
1996年兵庫生まれのギリギリZ世代。20代前半は韓国とヨーロッパで過ごす。ファッションはパリジェンヌより、大胆な柄や色をさりげなく取り入れるミラネーゼ派。