大企業を飛び出してみた【働く女子図鑑 #4】
「働くって楽しい」。いきいきと働く女性を取り上げる連載『働く女子図鑑』第4回目は、ITベンチャー企業で働く渡辺麻衣子さん(32)です。
▲ベンチャー企業 営業部/マーケティング部担当・渡辺麻衣子さん(32)
渡辺さんは、今年の春にITベンチャー企業に転職しました。それまでは新卒から勤めてきた大手人材サービス会社で営業の仕事をしていたといいます。前職では仕事を楽しむだけでなく成果も出し、順調に出世もしていたそうですが、なぜこのタイミングで転職を?
その理由について聞いてみました。
がむしゃらに働くのは20代まで
渡辺さんは前職の大手人材サービス会社で、営業の仕事にとどまらずチームのマネジメントも任されていました。
▲平日のコーデ。この日は退勤後、友人とディナーに。最近お気に入りのフェンディのピーカブーを持ってお出かけ
「20代までは『出世したい!』という思いでむしゃらに働いてきました。しかし30歳を迎え自分のキャリアを振り返った時に、新しいスキルを身につけることや、自分の強みをつくるようなことをもっと経験したいと思ったんです。人をまとめるマネジメントの仕事も間違いなく学びを得られる経験なのですが、30歳を過ぎてから『将来の自分のためになる経験』について深く考えるようになりました」
そこで渡辺さんが転職した先は、まだまだ成長過程にあるITベンチャー企業。前職と比べて会社の規模はかなり小さくなったものの、マーケティングという新しいスキルを得られること、そして「自分の手で会社を育てる」経験ができる環境に魅力を感じ、転職を決めたといいます。
「現在私が働いている会社では、ITサービスに関する情報を発信するメディアを運営しています。このメディアを活用して、あらゆるサービスを提供する企業と、普段の業務で悩みを抱える企業のマッチングを支援しています。私は持ち前の営業力を活かして広告営業をしながら、自社のメディアを拡散し、企業同士のマッチングを促すマーケティングについて考え実行しています」
▲渡辺さんの一日のスケジュール。平日の夜は週に2回ほど友人とのディナーや会食で出かけている
渡辺さんは、ベンチャー企業で働く良さについて「意思決定の速さ」と「裁量権があること」だといいます。自らの意見や考えを直接経営に反映させることは、大企業の場合経営者や役員、管理職でないとなかなかできない経験です。
「まだ成熟していない組織だからこそ、色んなことに挑戦できます。短時間でいかに自分やチームの考えを形にできるかを楽しみながら毎日仕事をしています!」
▲転職のタイミングで思い切って購入したボッテガ・ヴェネタのバッグ。夏にピッタリで、元気の出るカラーに一目惚れ。
何もしない週末は最高!
渡辺さんの休日の過ごし方について聞いてみました。
「数年前まではよく友人とランチやディナーに出かけていましたが、最近は家でゆっくりする時間も増えました。特に金曜日なんかは週末が始まるタイミングなのでいつも『何かしなきゃ!』と焦っていたのですが、最近気づいたんです。お風呂上がりにシートマスクをしながらストレッチをして、ゆっくり自分を癒やす金曜日が最高だってことに!」
▲皮膚科にも通いながら丁寧に肌を管理している渡辺さんがおすすめするシートマスク。
また、渡辺さんにとって休日は彼と過ごす大事な時間でもあります。疲れている日はお互いの家で映画を見たり、気が向いたら出かけたりと、マイペースに過ごしているそう。
「日常から抜け出して、彼の好きなグランピングに行ったこともあります。私はもともと虫が苦手で自然の中でのアクティビティにかなり抵抗がありました(笑)。しかし実際に訪れてみると、施設の清潔感とおしゃれさにびっくり! おかげでとてもいい思い出になりました」
彼と一緒にいる時間だけでなく、個々のプライベートの時間も大切にしているため、依存しすぎずにバランス良く過ごすことができているそうです。
▲グランピングにて。おしゃれな施設で自然を満喫
マイペースに過ごす休日が好きな一方で、旅行も大好きな渡辺さん。転職のタイミングで、3年ぶりの海外旅行に行ったそうです。気心の知れた友人と、行き先はハワイ。
▲ハワイ・ピルボックスにて。とにかく癒やされた旅だった
働くモチベーションは「自立」
努力家で、コツコツとキャリアを積んできた渡辺さん。新しい環境でチャレンジをする前向きな姿勢の裏には、渡辺さんが抱く「働く女性」としての強い思いがありました。
「結婚をしても子供を産んでも、何かを諦めたり誰かに依存しすぎたりせず、ひとりの人間として自立していたいという気持ちがあります。簡単なことではないとわかっているからこそ、しっかり稼げるスキルと経験が必要だと考えてきました」
ライフイベントは大事にしたいが、後悔のないようにこれからも仕事を頑張りたいと渡辺さんは強調します。
「よく女性の会話で『30歳までに結婚したい!』という声を耳にしますよね。私も20代の頃は同じように考えていました。でも、実際に30歳を迎えた時、語弊を恐れずにいうと『30歳ってこんなもんか』と思ったのです。なぜライフイベントの期限を漠然と決めてしまっていたのだろう… と。これから先は、大事な『タイミング』を逃してしまわないように注意しつつも、まずは自分が理想とする『自立』に向けてスキルを磨いていきたいと思っています」
▲仕事の充実はプライベートにも繋がる、と話します
結婚、出産、子育て、転職、転勤、住宅購入…。3年後、5年後、10年後にくるライフイベントに備えて「自立した自分」でいたい。将来の自分のための「自立の準備」は渡辺さんの働くモチベーションです。
「がむしゃらに働くのは20代までですが、いろんなことにチャレンジすることは引き続き大事だと思っています。挑戦を重ねながら、仕事で納得のいく成果を出していきたいですね。そうすることで、最終的に自分が望むライフを手に入れられると思います」
仕事とプライベート、どちらも手を抜くことなく充実させたい。新しい挑戦はまだまだ始まったばかりですが、目標を語る渡辺さんの表情はすでに充実感で溢れています。
ペ・リョソン
コラムニスト。NewsPicks Studios ライター/アシスタントディレクター。
1996年兵庫生まれのギリギリZ世代。20代前半は韓国とヨーロッパで過ごす。ファッションはパリジェンヌより、大胆な柄や色をさりげなく取り入れるミラネーゼ派。