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手取りには3つの意味がある
手取り、給与、所得。これらは収入に関連する言葉ですが、それぞれの意味はよく知らないという人が多いです。何かの際に、手取りはいくらかと聞かれ、どう答えていいかわからなかったということはありませんか?
収入に関することは、さまざまな場面でよく聞かれます。困ることがないよう、意味や違いを知っておきたいですね。
手取りが持つ意味は3つ
▷【手取り】読み方:てどり
1:給与などから税金その他を差し引いた、正味の受取金。実収入。→税込み
2:糸などを手で繰り取ること。手繰り。
3:(「手捕り」とも書く)素手で捕らえること。「川魚を手取りにする」
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
上記からわかるように、手取りにはさまざまな意味があります。この記事では、「1:給与などから税金その他を差し引いた、正味の受取金。実収入」にスポットを当て、紹介していきますね。
手取り、どのように計算する?
上記で紹介したように、手取りとは、給与などから税金や社会保険料を天引きしたあと、実際に手元に入るお金を意味します。そのため、生活のやりくりをするのは、会社員だと手取りがベース。給与ではありませんので、注意してください。
手取りの計算式は
手取りは、次のように計算します。
給与(基本給+各種手当)-控除(税金+社会保険料)=手取り
上記からもわかるように、手取りは常に給与の金額を下回ることになります。
給与から差し引かれる控除について
控除とは、金銭や数量を差し引くこと。控除の金額は、前年の収入や家族構成、住む地域、年齢などで変わります。給与から差し引かれる控除の内容は次の通りです。
・健康保険
・介護保険(40歳以上のみ)
・厚生年金
・雇用保険
・所得税
・住民税
いずれの控除額も、法改正などの影響を受けるとともに、個人の状況や徴収年度により金額が変わります。また、会社員は給与から天引きされますが、個人事業主やフリーランスは、自分自身で確定申告を行い、各自で納付しなければなりません。
手取りとは何が違う? 給与、所得、年収の意味をチェック
手取り以外にも、収入に関連する言葉があります。それぞれの意味を見ていきましょう。
給与は、会社から受け取る収入
給与は、労働の対価として会社から受け取る収入のこと。給与は、基本給に各種手当が加算されたものです。各種手当は、会社ごとに設定されるものですが、よくあるのは次の手当になります。
▷各種手当の例
時間外手当(残業手当)・休日出勤手当・深夜残業手当・役職手当・職務手当・家族手当・住宅手当・通勤手当・食事補助手当・資格手当・地域手当など
また、給与はお金だけを指すのではなく、現物支給も該当。たとえば、ボーナスとして受け取った自社製品があれば、それも給与と見なします。
所得は、収入から経費を引いて算出
所得とは、1年間の給与合計から、「給与所得控除」を差し引いた金額を指します。給与所得控除とは、個人事業主における「必要経費」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
会社員の場合、仕事で使用するものは基本的に会社が用意をしてくれます。そのため、個人の経費はないとされていますが、実際は、仕事用の靴やスーツなど、仕事のために購入しているものがありますよね。それを鑑み、一定の金額を「給与所得控除」として控除することが認められているのです。
手取りとの違いは、差し引く内容が異なるということ。手取りと所得の金額もまったく違いますので、混同しないよう注意してください。
年収との違いは?
1年間(1月1日から12月31日)に会社から支払われた基本給や各種手当、賞与などの総支給額を「年収」と呼び、控除される前の金額を指します。転職活動などで年収を聞かれた場合は、手取りではなく総支給額を答えるようにしてください。
手取りについて知っておきたいこと
ここからは、手取りに関して知っておきたいことを紹介します。疑問に思われやすいことですので、覚えておいてください。
基本給が同じでも、手取りには差がある?
同じ基本給だとしても、手取りには差が生じます。なぜなら、各種手当の支給には個人差があり、人によって支給される額が異なるからです。たとえば、資格手当は、資格保有者に対してのみ支給されますので、その時点で差が生じますよね。また、インセンティブがある場合も、手取りに差が出ます。
控除の内容や金額も、手取りに影響します。社会保険料は、基本給以外の手当を含めた金額をベースに算出しますし、税金は家族構成や前年課税所得により金額が変動。
このことから、基本給が同じであっても、手取りが完全一致することはほぼないと言えます。
新卒2年目は、手取りが減ってしまう?
新卒2年目で昇給したのに、1年目より手取りが減り、驚いたことがある人もいるでしょう。なぜ手取りが減るのかと言うと、新卒2年目から住民税の徴収が始まるからです。
住民税は、前年の課税所得により納税額が決まり、徴収がスタートします。したがって、大学最終年度の収入が一定以内であれば、新卒1年目は住民税の徴収がありません。
新卒1年目の所得にかかる住民税は、翌年の新卒2年目から徴収されます。そのため、新卒2年目は手取りが減ることが多いということです。
新卒2年目で必ず手取りが減るかと言うとそうではなく、該当しないケースもあります。しかし、手取りが減る可能性は高いため、そのことを意識し、お金の管理をするようにしてください。
参照:
三菱UFJ銀行|「給与」「所得」「手取り」の違いとは?社会人が知っておきたい給料の基礎知識
三菱UFJニコス|年収とは?所得、手取りとの違いや金額の計算方法を解説
手取りを含め、お金の情報を知っておこう
お金の情報はかなり多く、仕組みも複雑なことが多いため、よく知らないという人も。しかし、お金の情報を知っているかどうかで、さまざまなことが大きく違ってきます。
たとえば、何かの申請や申込みをする際、収入や所得について聞かれる機会がよくあります。この時、収入と所得の意味や違いを知っていれば、必要書類を適切に用意することができ、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
また、お金の情報を知っておくと、将来に対する漠然とした不安から解消されるというメリットもあります。お金に関して不安を持つ人は多いですが、不安を解消するためには、まずお金に関する正しい情報と知識を得ることが欠かせません。
お金について知らないことが多いと、生活だけでなく、人生において損をしてしまうかもしれません。お金について少しずつ知り、お金の管理や人生に活かしてくださいね。
最後に
手取りの基本知識を中心に、収入に関することを紹介しました。お金に関心があるものの、給与に何が含まれているのか、控除としてどんなお金が差し引かれているのか、よく知らないという人も多いです。少しずつお金について知り、お金の管理に活かしてくださいね。
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益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン