そもそも「手取り」とは?
テレビなどを見ていると、著名人が収入を聞かれて曖昧に濁すおきまりの流れみたいな文化も見受けられますね。実際、特に同世代の収入が気になる人は多いのではないでしょうか。しかし、面と向かって聞くのは気が引けるところ…。そもそも、その収入が給与なのか手取りなのかによっても金額は異なります。
そこで、本記事の前半では、まず「手取り」と「給与」の違いを解説します。記事の後半では、企業規模、役職、年代別に手取りの平均を紹介しましょう。本記事で紹介している平均値は、あくまでも公式に発表されている数値からおおよそで算出した手取りの金額です。ですので、「私は平均より少ないからダメな人間だ…」などと決め込まず、参考程度に見ていきましょう。
「手取り」の意味
それではさっそく、「手取り」の意味からおさらいします。「手取り」とは、「所属する会社や組織の職員の勤務に対して支給される給料から、税金などを差し引いた実収入」のことです。
つまり、自分で自由に使えるお金ということですね。「実収入」や「実収」、「実入り」などと言い換えることもできます。
「手取り」と「給与」の違い
お金周りの用語は、なんだかどれも似ていて混乱しがち。ちなみに、「手取り」と「給与」の違いを知っていますか? 「手取り」とは、「所属する会社や組織の職員の勤務に対して支給される給料から、税金などを差し引いた実収入」のこと。ですが「給与」は、「所属する会社や組織の職員の勤務に対して支給される給料」そのもののことをさします。
注意しなければならないのは、求人サイトなどで提示されている金額は、給与であるということ。実際の手取りは、給与から税金などもろもろの金額が差し引かれた残りとなりますので、気を付けなくてはなりません。
企業規模によって手取りは変化するの?
「手取り」と「給与」の違いはマスターできましたか? 知らずにいると、計画と異なることになるかもしれませんので、しっかり押さえておきましょう。続いては、具体的に手取りの平均額について紹介します。
結論から言うと、企業規模によって得られる平均金額は異なるようです。現在では給与や就業地、年齢などを入力して手取りをシュミレーションできるサイトがありますが、本記事では、おおよその手取りの平均金額を算出して紹介します。
三菱UFJニコス株式会社が手取りについて解説している記事では、給与のおよそ75%から85%が手取りになると紹介しているので、気になった人はぜひご覧ください。本記事では、厚生労働省が発表している給与平均額を80%で計算しています。
【参考】『令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況』
大企業
いわゆる大企業と呼ばれる規模では、男女計で271.7千円が手取りの平均値として算出されました。男女別でも紹介しましょう。男性は300.7千円、女性は、216.8千円となります。
中企業
続いて、中企業です。中企業の男女計平均手取り額は、239.8千円となります。ちなみに、男性は262.4千円、女性は202.0千円です。
小企業
最後に、小企業をチェックしましょう。小企業では、223.9千円が男女計の平均手取り額です。男性だと242.8千円、女性は188.0千円が平均値になります。
【役職編】手取りの平均額
企業規模別の手取り額をみて、どのように感じたでしょうか。こんなに違うんだ! と驚いた人もいらっしゃるかもしれませんね。続いては、役職別の手取り平均額を算出してみましょう。ちなみに、今回取り扱っているのは、「一般労働者のうち雇用期間に定めがない労働者」になります。
非役職
はじめに、係長や課長などの役職がない場合の平均手取り金額を紹介します。男女計で、221.9千円。男性は236.9千円、女性は199.1千円が平均の手取りになります。
係長クラス
会社によって、呼び方は異なるかもしれませんが、ここではいわゆる係長に相当するクラスの平均的な手取り金額を紹介します。男女計で294.2千円が、平均的な手取りになるようです。男性は301.3千円、女性は267.7千円と算出されました。
課長クラス
課長クラスは、381.0千円が男女計の平均的な手取りの金額です。男性は387.6千円、女性は337.6千円となります。給与でみると、非役職者から係長クラス、課長クラスとクラスが上がるごとに約100万円ほど給与も増額されているのが特徴的です。しかし、そこから税金などを引いたと想定し、手取りを80%で計算すると、給与が増えても手取りは給与ほど大幅に変化しないという結果になりました。
部長クラス
最後に部長クラスも見ていきましょう。男女計は462.3千円、男性は468.6千円、女性は397.7千円という結果になりました。
【時代推移編】手取りの平均額
ここまでは、令和3年度の平均的な手取り額を企業規模や役職に分けて紹介しました。最後に、時代を遡ってどのように推移してきたかを見てみましょう。そうすることで、今後の手取りがどのように変化していくのかを予想することができるかもしれません。
分かりやすいように、年と男女計の手取り平均額を列挙しますので、ぜひ違いを見比べてみてください。
・2001年 244.6千円
・2002年 242.0千円
・2003年 241.6千円
・2004年 241.2千円
・2005年 241.6千円
・2006年 241.4千円
・2007年 240.8千円
・2008年 239.2千円
・2009年 235.6千円
・2010年 236.9千円
・2011年 237.4千円
・2012年 238.1千円
・2013年 236.5千円
・2014年 239.6千円
・2015年 243.2千円
・2016年 243.2千円
・2017年 243.4千円
・2018年 244.9千円
・2019年 246.1千円
・2020年 246.1千円
・2021年 245.9千円
ここ20年の推移はこのようになりました。2001年から、2007年までは、240万円台をキープしていましたが、2008年から2014年は、240万円台を切っていますね。その後、現在に至るまでは、少しずつではありますが上昇傾向にあるようです。このように、数十年単位で推移を見てみると、減少しては上昇する緩やかな波を描いていることが分かるのではないでしょうか。
最後に
本記事では、手取りの平均額について、詳しく見ていきました。冒頭でも述べた通り、数字はあくまでも平均であり、おおよその金額です。ひとりひとりの状況によっても変わってきいますので、あくまでも知識として参考にしてみてくださいね。
執筆/京都メディアライン
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監修/株式会社SMILELIFE project 池田啓子さん
生命保険や金融商品の販売をせずに、「フィーオンリー」のFPサービスを通じて、お客様の立場に立ったライフプランニング相談業務を行っています。