「万障お繰り合わせの上」とは?基礎知識を解説
「万障お繰り合わせの上」とは、なんらかの集会などがある場合に相手の参加をうながすために用いる言葉です。<ばんしょう おくりあわせのうえ>と読みます。
イベントの案内状やビジネスのメールなどで、定型文として使われている表現です。ただし、使い方や送り先によっては失礼にあたる可能性があるため、しっかりと確認しておきましょう。
それでは、万障お繰り合わせの上の詳しい意味や目上の人や出欠の自由があるときに使えるのかどうか、例文、返事の例を解説します。
意味は参加できるように予定を調整すること
万障お繰り合わせの上とは、「さまざまな予定を調整して参加してもらえるようにうながすこと」を意味する言葉です。イベントの主催者が招待状を出すときなどに慣用句として多く使われています。
「万障」という漢字は、直訳すると「よろずの差し障り」「あらゆる不都合な事情」という意味です。また「繰り合わせ」とは、「時間などをやりくりしてうまく都合をつけること」を指します。つまり、「あらゆる不都合な事情があっても、やりくりしてうまく都合をつけて参加してください」という、相手に対して参加するように強く依頼する表現なのです。
万障お繰り合わせの上は目上の人に使える?
万障お繰り合わせの上は、かしこまった表現で相手の参加をうながしたいときに使えます。会議や総会などの案内状を出すときによく用いられる慣用句です。取引先や顧客といった目上の人に対しても、参加を依頼したいときには万障お繰り合わせの上という表現を使えます。
基本的には話し言葉として使われることはほとんどなく、ビジネス文書に記載することが多いです。
出欠の自由があるならば別の言い方にしよう
先述したとおり目上の人に使用可能であるものの、参加するように強く依頼する表現でもあります。「予定や事情があったとしても、うまく予定を調整したうえで出席してください」と強く参加を要望する言葉であるため、相手の意思次第で出欠の自由があるときには失礼に感じる人がいます。
出欠の自由があるならば、「ぜひお越しください」「お待ちしております」といったような別の言い方にしたほうが良いでしょう。
万障お繰り合わせの上の使い方・例文
万障お繰り合わせの上の使い方を、例文から確認していきます。万障お繰り合わせの上が使われるシーンは、スケジュールをすでに調整している会議や優先度の高いイベントである上司の送別会、社長が参加する重要な会議などです。
参加が決まっている場合には、目上の人に対してもそれほど気にせずに使えます。また、参加するように強くうながしたいときであれば積極的に使用できます。
万障お繰り合わせの上を使った例文は、以下のとおりです。
・今回の会合は、当社の将来の方針を決定する重要なものです。万障お繰り合わせの上、ご参加ください。
・このたび、社長も参加する新年会を開催する運びとなりました。万障お繰り合わせの上、ご出席くださいますようお願い申し上げます。
出席・欠席の際の返事例
万障お繰り合わせの上を使った案内状などが自分に届くことがあります。「さまざまな予定や事情があるでしょうが、うまく調整して出席してください」という意味の言葉であるため、欠席は可能なのかと不安に感じるかもしれません。
基本的には、参加をうながす慣用句として使われているだけであって、出席を強いるために用いられることはほとんどないです。欠席の際には、その理由をぼかしつつ「申し訳ありませんが、どうしてもスケジュールの調整ができないため欠席いたします」などと返事をしましょう。
また、出席する場合であれば、「喜んで出席いたします」などと返事をします。
万障お繰り合わせの上の言い換え可能な類語表現
万障お繰り合わせの上と言い換えられる類語表現の例は、以下のとおりです。
・ふるって
・ぜひ
・伏してお願い申し上げます
これらのほかに、「お待ちしております」なども言い換えられます。万障お繰り合わせの上よりもやわらかいニュアンスにしたい場合には、「伏してお願い申し上げます」以外の表現に言い換えましょう。
それでは、類語表現の意味を確認していきます。
ふるって
「ふるって」とは、「自ら物事に積極的になるさま」のことです。万障お繰り合わせの上のような参加を強くうながすニュアンスはなく、「出席は自由であるものの積極的に参加してほしい」と相手に呼びかけるときに使います。言葉のニュアンスは万障お繰り合わせの上よりもカジュアルなイメージです。
なお、ふるってを漢字で書く際は、「振るって」ではなく「奮って」と表記しましょう。
ぜひ
「ぜひ」も万障お繰り合わせの上と言い換えられます。ぜひとは、あることを実現したいとの強い要望や意志を表す言葉です。
強制ではないものの、相手が出席してくれることを強く望むと伝えたいシーンで使えます。「ぜひご出席ください」「ぜひご参加ください」などと使いましょう。
なお、ぜひの意味のうち、「良いことと良くないこと」を表す場合の漢字表記は「是非」を使います。
伏してお願い申し上げます
相手の参加をうながす際に、伏してお願い申し上げますという言葉にも言い換え可能です。伏してお願い申し上げますには、万障お繰り合わせの上と同様に、相手の参加を強くうながすニュアンスがあります。使用する場合は、「お忙しいところ大変恐縮ですが、ご参加いただきますよう伏してお願い申し上げます」などと伝えましょう。
万障お繰り合わせの上の使い方を理解しよう
万障お繰り合わせの上は、イベントの主催者が招待状を出すときなどに、よく慣用句として使われています。「さまざまな予定を調整して参加してもらえるようにうながすこと」という、強い要請を表現する言葉です。
使用するシーンや相手によっては失礼に感じる人がいるため、使い方には注意しましょう。また、もしも万障お繰り合わせの上という言葉で参加をうながされた場合にも、スケジュールがあわなければ欠席可能です。その場合には、欠席の理由をぼかしつつ「申し訳ありませんが、どうしてもスケジュールの調整ができないため欠席いたします」などと返事をしましょう。
言葉の意味や注意点、類語表現などを理解して、言葉を正しく使えるようになりましょう。
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