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2023.07.02

「二足の草鞋を履く」って良い意味なの? 意味や例文、英語表現を解説

「二足の草鞋を履く」とは、両立できないような2つの職種や役務を同一人が掛け持つこと。仕事で二足の草鞋を履くことは、今まで批判的に捉えられていました。しかし、働き方が多様になってきた今、ポジティブな意味で使うこともあるそう。本記事では、使い方や英語表現について見ていきましょう。

「二足の草鞋を履く」ってどんな意味?

「二足の草鞋を履く」の読み方は「にそくのわらじをはく」です。個人の経歴に関する話の中で見たという人もいるかも。あまり良い意味では使われてこなかったことわざですが、正確な意味はわかりますか? まずは意味から確認していきましょう。

床に固められた草履
(c)Shutterstock.com

「二足の草鞋を履く」とは、同一人が両立できないような2つの職種を兼ねるという意味です。例えば、パイロットをしながら一般的な会社員として働くという場合。両立が難しい2つの職種を担っていることから「二足の草鞋を履いている」と表現することができるでしょう。1人が2足の草鞋を同時に履くことはできないことから、このように言われています。

「二足の草鞋を履く」の語源は江戸時代にあると言われています。賭博を専業とする「博徒(ばくと)」が、罪人を取り締まる「捕吏(ほり)」の役務を兼ねていたことが由来なのだそう。

つまり、本来同時に行ってはいけない役務を1人の人間が行っていたということですね。このような由来も関係して「二足の草鞋を履く」は、少々ネガティブなニュアンスで使われたりします。どっちつかずで中途半端な立場だと、捉えられてしまうこともあるようです。

しかし、副業の概念が広まりつつある現代社会では、「二足の草鞋を履く」のマイナスイメージが少しずつ薄れてきているようにも感じられます。つまり、一概に否定的な表現ではないということなのです。

使い方を例文でチェックしよう

では、「二足の草鞋を履く」の捉え方が少し変わった今、このことわざはどのように使われているのでしょうか? 例文を4つ挙げますので、参考にしてみてください。

パソコンの前で指差ししながら仕事をする
(c)Shutterstock.com

1:日中は会社に出勤し、夜は作曲家として音楽を作る夫は、まさに二足の草鞋を履いた生活をしている。

まずは、元来の意味通りの例文から紹介していきます。相反する職業や、両立が大変な仕事を兼ねて生活している人をこのように表現することができるでしょう。

仕事を掛け持ちするほど、生活が苦しいという比喩の意味で「二足の草鞋」と使うこともあります。

2:二足の草鞋を履くようなやり方では、いつまでたっても成長しないぞ。

否定的なニュアンスを含む例文には、このようなものが挙げられます。副業について、本来優先してやらなければいけないことを疎かにしているという見方を持つ人もいるのは事実。その気がなくとも、傍から見たら片手間にやっているように見えてしまうこともあるようですね…。

3:子育てと仕事で、二足の草鞋を履くのは大変でしょう。

元来、「二足の草鞋」は異なる2つの職種を指すものでしたが、最近では家事と仕事など職種以外のことも対象となってきています。仕事とプライベートの両立が難しいという意味で「二足の草鞋を履くのは大変」と言うこともありますが、ここでは否定的な意味は含んでいません。

4:サラリーマンの中には、二足目の草鞋を探す人も多い。

これはどちらかというと、前向きなニュアンスで使われているケースでしょう。「二足目の草鞋」とは、収入のある仕事のことだけではありません。個人としての趣味や関心のある分野への追求、つまり本職とはまた別に、自分自身がやりたいことも含まれているのです。人生を豊かにするために、二足目の草鞋は持っておいた方が良いという考え方もあるようですよ。

「二足の草鞋を履く」の英語表現

「二足の草鞋を履く」の英語表現には、以下のようなものが挙げられます。こちらもぜひチェックしてみてください。

靴下を履く
(c)Shutterstock.com

1:have one’s fingers in two pies(二足の草鞋を履く)

1番フォーマルな言い回しでしょう。両立が困難である仕事を兼務することを意味しており、「二足の草鞋を履く」とほぼ同義です。「have one’s finger in many pies(色々なことに首を突っ込む)」というフレーズが元になっているそう。どちらかというとネガティブなニュアンスで使います。

2:wear two hats(2つの役割を兼務する)

異なる2つの職業や、肩書き、地位などを兼任するという意味。hatsは帽子を表す英単語ですが、ヨーロッパや欧米では職種ごとに異なる帽子を被ることから転じて、「職業、肩書き」の意味でも使います。「wear more than one hat」も同じ意味の表現でしょう。

3:do double duty(2つの仕事を掛け持つ)

「wear two hats」と同じく、2つの職務や機能を兼務することを言います。「仕事を掛け持ちする」と訳することもできるでしょう。1人で2役をこなすという状況に使える表現です。

二足の草鞋を履くことは、良いことなのか?

本業とは別に何かを掛け持つことに対して、否定的な意見を持つ人もいます。ではやはり二足の草鞋を履くことはやめた方がよいのでしょうか?

二足の草鞋を履くことのデメリットとしては、どちらかが疎かになってしまうことや片方にダメージが出た時に、もう一方にも影響する恐れがあることが挙げられます。それを無責任な行為だと捉える人も少なくないでしょう。しかし副業は、相乗効果による仕事のスキルアップ、そして自身の可能性を広げる機会に繋がることもあります。仕事だけでなく、家事や趣味を両立させたい人も同じです。

二足の草鞋を履くことは、人生を豊かにする方法ではないでしょうか? 多様性が広まる現代社会では、働き方も少しずつ変化してきているように思います。二足の草鞋を履くことを、善し悪しで捉えるのではなく、様々な生き方の1つとして考えてみてはどうでしょうか?

最後に

今回は「二足の草鞋を履く」について解説しました。二足の草鞋を履くことに対して、肯定的な意見を持つ人もいれば否定的な意見を持つ人もいます。あなたが本業の他に何かやりたいことを見つけた時、両立することを反対する人もいるかもしれません。しかし、自分の人生を豊かにできるのは自分しかいないのです。

やりたいことをやらずに後悔するくらいなら、一度思い切ってチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか?

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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