「ご協力お願いします」とは協力を求める言葉
「ご協力お願いします」とは、協力を求める言葉です。なお、名詞の前につく「ご」は、文章によって丁寧語や尊敬語に変わりますが、この場合は相手に対して「ご協力」を求めているため尊敬語の「ご」です。
「ご協力お願いします」は何に協力を求めるかによって、禁止や強制、ビジネスなどのニュアンスを持ちます。それぞれのニュアンスを例文を通して感じ取っていきましょう。
禁止のニュアンスを持つ例文をご紹介
何かの行為を禁止する場合、「~してはいけない」という表現では強すぎる印象を受けます。頭ごなしに禁じているように受け取られるため、場合によっては相手からの反感を買うことにもなるかもしれません。
しかし、禁止する行為を述べ、その後に「ご協力お願いします」と付け加えればどうでしょうか。頭ごなしに禁じているというよりは、対等な立場で協力する・協力される関係を築くことができます。例えば次のように使用することがあります。
・フラッシュは焚かないようご協力お願いします。
・場内は分煙です。指定のスペース以外では喫煙しないよう、ご協力お願いします。
強制のニュアンスを持つ例文をご紹介
何かの行為を強制する場合、「~しなさい」という表現では相手は命令されたように感じてしまいます。とはいえ「~してください」という表現も、「ください」はついているものの命令であるのは変わりないため、反感を招くかもしれません。
しかし、実施してほしい行為を述べ、その後に「ご協力お願いします」と付け加えるとどうでしょうか。命令しているというよりは、お互いのために良いことをしているニュアンスが生まれ、反感を受けにくくなります。例えば次のように使用します。
・ごみの分別にご協力お願いします。
・スマホをお切りいただけますよう、ご協力お願いします。
ビジネス的なニュアンスの例文をご紹介
実際のところ、「ご協力お願いします」というフレーズは、プライベートで使うことは滅多にありません。家族や友人との間で何かのお願いをするときは、「~して」「~してね」で事足りるため、協力を願うような事態にはならないからです。
つまり、「ご協力お願いします」というフレーズ自体、幾分、ビジネス的なニュアンスがあるといえます。いくつか例文をご紹介するので、ビジネスライクなニュアンスを感じ取って下さい。
・ご理解いただき、何卒ご協力をお願いします
・ご不便をおかけしますが、当分の間、メールでのご連絡ができません。電話での対応にご協力お願いします。
目上の方には「ご協力お願いします」を言い換えよう
「ご協力お願いします」には、相手への尊敬を示す「ご」や相手にへりくだった様子を伝える謙譲の「お」が含まれるため、非常に丁寧なフレーズといえます。しかし、目上の方に対しては充分といえないため、さらに丁寧な言い方に変えることが必要です。
「ご協力お願いします」と同じ意味でより丁寧な表現としては、次のものが挙げられます。
・ご協力のほど、よろしくお願いします
・ご協力を賜りますようお願い申し上げます
・ご協力いただけると幸いです
・お力添えをお願いいたします
それぞれの使い方を例文を通してご紹介します。
ご協力のほど、よろしくお願いします
「ご協力をよろしくお願いします」という言葉では、相手に協力を強制的に命令しているニュアンスがあります。「お願いします」とへりくだってはいるものの、協力しないという選択肢がなく、否応なく協力しなくてはいけない印象です。
しかし、「ご協力のほど、よろしくお願いします」のように「ほど」を付け加えると、協力することに婉曲的なニュアンスが生まれます。「協力できれば協力してほしい」といった印象になるので、言われた側も命令されたような気持ちになりにくいでしょう。
・交通渋滞緩和のため、公共交通機関のご利用をおすすめしています。ご協力のほど、よろしくお願いします。
・アンケートの締め切りは本日です。ご協力のほど、よろしくお願いします。
ご協力を賜りますようお願い申し上げます
さらに丁寧に協力を願うならば、「ご協力を賜りますようお願い申し上げます」という表現を使えます。「賜る」は目上の方に何かをいただくという意味で、「ご協力」という尊敬を示す名詞と組み合わせて、へりくだった思いを表現します。
例えば、次のように使うことができます。
・お持ち帰りにならないチラシは、入口の回収箱に入れてください。ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
・公演中はマスクの着用をお願い申し上げます。ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
ご協力いただけると幸いです
「ご協力お願いします」では、「協力しない」という選択肢がありません。目上の方に協力をお願いするときは、「協力しない」という選択肢も提示しつつ、「協力してくれたら嬉しい」と控えめにお願いすると良いでしょう。
・弊社サービスについての率直な感想をお聞かせください。ご協力いただけると幸いです。
・節電のため、店内の照明の明るさを少し落としております。ご不便をおかけしますが、ご協力いただけると幸いです。
お力添えをお願いいたします
「協力する」という言葉は、普段からよく使う言葉です。友だちに協力する、兄弟で協力するなど、どちらかといえば対等なニュアンスがあります。
目上の方に使うときは、「ご協力」ではなく「お力添え」と言い換えると、尊敬している気持ちをさらに表現できます。
・思うような文章が書けません。お手間をおかけしますが、お力添えをお願いいたします。
・いつもご迷惑をおかけしますが、今回もお力添えをお願いいたします。
状況を見て「ご協力お願いします」を使い分けよう
「ご協力お願いします」は丁寧な表現ですが、強制や禁止などの強いニュアンスでも使われるので、状況を見て使い分けが必要です。特に目上の方に使うときは、「お力添えをお願いいたします」のようにへりくだった表現を用いましょう。