「異彩を放つ」とは?
他者と比べて、際立った能力を持つことを「異彩(いさい)を放つ」と呼ぶことがあります。「際立っている」という意味ですが、この記事では「異彩を放つ」という言葉について詳しく見ていきましょう。意味以外にも、異彩を放つ人の特徴や類語、英語表現についても解説しますね。
まずは「異彩を放つ」の意味について。「異彩を放つ」は、普通とは異なる色彩や光を出す、または集団の中で際立っている、という意味を持ちます。「あの絵画は異彩を放っている」「あの選手は異彩を放つ存在だ」などと使うのが一般的。特徴や才能・技量などが他よりも秀でていることを表現するために用いられます。
「いさい」と言えば「異才」という言葉もありますね。これは、人並外れた能力やその持ち主を意味します。能力が秀でている様子を指すのであれば「異才」を使ってもいいのでは、と思うかもしれません。しかし「異彩を放つ」は色が際立つ様子に由来しているので、全く異なります。間違えないように注意しましょう。
異彩を放つ人の特徴
異彩を放つ人とは、一体どんな人なのでしょうか? よく見られる特徴について解説します。
1:独特なオーラがある
一流のスポーツ選手・芸術家・俳優といった、高い次元に到達した人はオーラにおいても異彩を放つことがあります。オーラとは内面からにじみ出るものであり、その人の苦労・経験・自信・意志などが関係するものです。
2:分け隔てなく人と接する
異彩を放つ人は、誠実に人と接することが多いです。異彩を放つような人は自分に自信があるので、誰かを卑下して自分の自尊心を満たす必要がありません。高い境地を目指す中で、さまざまなことを経験し、人間として成長したことも関係しているのでしょう。
3:着眼点が非凡である
異彩を放つ人は、誰も想像ができないような画期的な着眼点を持っていることがあります。天才的な数学者などには、これに該当するケースが多いです。
しかし、あまりにも画期的であるがゆえに、周りがそれに追いつけないことも。それで「ありえない」などと冷めた目で見られることがあります。天才であるがゆえの悩みといったところでしょうか。
4:忍耐強い
異彩を放つ人は、忍耐強い傾向にあります。才能があるからといって、成功するとは限りません。運も大切であり、それを確実につかむには地道な努力や準備が必要なのです。そして、その地道な努力を続けるには、忍耐力が重要な要素となります。それらを経て、世間から認められた人だけが真に異彩を放つ存在になるわけですね。
「異彩を放つ」の類語
次に「異彩を放つ」の言い換え表現を見ていきたいと思います。
1:鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく)
熟語をそのまま解せば、鶏の群れの中に一匹の鶴がいるということになります。鶏がたくさんいる中で、一匹だけ鶴がいれば目立つことでしょう。このことから、凡人の中に優秀な人が一人だけまじっている例えというわけですね。
2:他に類を見ない
今注目されているもの以外には、類似した事例が確認されないという意味です。このことから、非常に珍しいことを指します。
3:一味違う
「一味(ひとあじ)」は、微妙な加減や具合を意味します。したがって、加減・具合が違うということで、他とは異なる・際立っているという意味につながるわけですね。
「異彩を放つ」の英語表現
次は「異彩を放つ」の英語表現を確認しましょう。
1:brilliant
「brilliant」には、きらきら輝くという意味があります。このことから「素晴らしい、異彩を放つ」という意味もあるのです。
例文:
「a brilliant idea(異彩を放つ考え)」
「He was brilliant at understanding(彼は理解力が異彩を放っていた)」
2:conspicuous
「conspicuous」には「よく見える、目に付く」という意味があり、このことから「異彩を放つ」というニュアンスも含んでいます。
例文:
「stand conspicuous(異彩を放つ)」
「be conspicuous for one’s honesty(誠実さで異彩を放つ)」
3:stand out
「stand out」で、際立っている・目立つという意味になります。
例文:
「She stands out in a crowd(彼女は群衆の中でも異彩を放つ)」
生き方で異彩を放つ
一口に「異彩を放つ」と言っても、何で異彩を放つようになるかは人それぞれです。スポーツや芸術、小説など分野もさまざま。
さて、異彩を放つ一つのあり方として「生き方で異彩を放つ」ということがあるでしょう。厳密に言うと「他人と比較できない人生を歩む」ということです。
他人と同じような生き方をしていると、同じような経験をして、同じような考え方をし、同じようなスキルを身に付けることになるでしょう。結果的に「均質」的な人材ができるので、いくらでも「代替可能」になってしまいます。
しかし、何が幸せであり、何が成功であるかを決めるのは自分自身。一般的に定義される「幸福」や「成功」の具体的中身は相対的なものに過ぎず、状況や時代によって変わるものです。なんとなく周囲が考える「幸福」や「成功」を目指したが、自分が望むものではなかったし、さらにうまくいくこともなかった、という状況になってしまっては文句の言いようがありません。
自分は何を望むのか、自分には何ができるのか、自分は何をなすべきなのかを見定め、それを全うすべく一日一日を生きることが大切です。自分が信じた生き方をすることによって、他者とは異なる経験をし、他者には真似できないような能力や知見を身に付けられるかもしません。その結果として、異彩を放つ存在になっていくのではないでしょうか。
最後に
以上、「異彩を放つ」という表現について見てきました。異彩を放つようになるということは、他人にはないような優れた特徴・能力を持つということ。そのような存在には、そう簡単になれるものではありません。他者とは違うやり方で、地道に歩んでいくということになるのでしょう。
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