物欲がない心理とは?
人によっては、日頃から「何か買いたい」という気持ちが全く湧いてこない人もいることでしょう。最近ですと、20代・30代で男女問わず、物欲がない人が増えているそうです。この記事では、そんな物欲がない人の心理や特徴、物欲がないことのメリット・デメリットについて解説しましょう。
まず、物欲がない人の心理について解説します。
1:今に満足している
今の生活に満足しているので、もう十分だという心理です。欲しい物も既に手に入れたので、これ以上買う必要がないわけですね。例えば、資産家が財産を寄付したり、自身のコレクションを展示する私立美術館を建てたりすることは、これに該当します。
また、物よりもボランティア活動やアウトドアといった体験に興味関心があるケースも考えられるでしょう。
2:精神的な満足を求める
物質面での満足よりも、精神面での満足を望みます。スピリチュアルな世界にのめりこみすぎて、物質(現実)に魅力を感じなくなっている場合もあるようです。
確かに満足や幸福は、個人がどう思うかによるところが大きいのですが、現実から離れすぎてしまうと客観的に物事を見ることができなくなってしまいます。
度が過ぎると、カルトなどにのめりこんで多額の献金をしてしまった、家族との仲が悪くなったということにもつながりかねません。
3:自分に否定的な感情を抱いている
ウィンドウショッピングなどで素敵と思う洋服やバッグを見つけても、「自分には似合わない」「自分にはこんな高価な物を身につけるだけの資格がない」と思ってしまう心理です。
このタイプの人は普段から自責感情が強く、また自己肯定感情も低い傾向にあります。恋愛や人間関係についても、行動する前にあきらめてしまうことも。
4:無気力
物欲自体がなくなったのではなく心が疲れたりして無気力になり、物を選ぶ気力がない心理です。満足しているから「物をほしい」と思わないのとは違います。本当は物欲があるのかも。
一時的ならまだしも、ずっと無気力な状態が続くのであれば、うつや病気などの可能性があるので専門医に相談してみましょう。
物欲がない人の特徴について
次に、物欲がない人に見られる特徴について説明しましょう。
1:物よりも体験にお金を使う
いろいろ体験したいと思っている人は、物よりもサービスにお金を使う傾向があります。具体的には、高級時計や家電、車といった物を買うよりも、海外旅行に行く・レストランで料理を堪能する・サブスクリプションでアニメを見るなどのいわゆる「コト消費」に向かうわけですね。
これは国内の消費の成熟化が関係しています。十分に物があり、物を所有することの価値が以前よりも薄れると、所有では得ることのできない体験・経験に価値を見出すようになったからです。
2:倹約家である
節約志向が強い人は、お金を使うことにためらいを感じてしまうので物欲が弱い傾向があります。また、どれほど節約できたか・どれほどお金を貯めることができたかなどに一種のゲームのような楽しさを見出す人もいるので、物欲がないのですね。
3:ミニマリストである
ミニマリストの人は「いかに最小限の物で暮らせるか」と考えるので、なるべく物を減らしたいと思っています。そのため、家の中に家具が数個あるだけといったケースも。物に気を使いたくないという心理があるのでしょう。
物欲がないことのメリットとデメリットについて
物欲がないと、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
メリット
物欲がないと、お金を使う機会が減るので貯金につながります。ちょっとしたお金持ちの人には、うまく貯金している人も少なくありません。また、物が少ないので、家の中もすっきり。整理整頓に費やす時間が減るので、時間にも余裕が生まれます。
何よりも「欲しい」という欲望にとらわれることがないので、ストレスも生じません。少なくとも物質面においては、満足していると言えるでしょう。
デメリット
物欲がない人は物をすぐには買わないのでスルーしてしまい、あとで「買っておけばよかった!」と後悔することがあるかも。買わないで後悔するというのは、買ったことで満足したかもしれない可能性が残ります。こういう時は、買って後悔した方がいいかもしれませんね。
また、物欲がない人は最新・流行の物にも興味があまり向きません。そのため、話題についていけなくなる可能性があります。ただし、知り合いが物欲のない人ばかりだと、その心配はほぼないでしょう。
最後に
以上、物欲がない人の心理や特徴などについて見てきました。
物欲がない状態というのは、何かに執着することがないので、基本的にはいいことです。お金を使う機会が減るので貯金できますし、お金を稼ぐために働く時間を減らせます。物がないから、つまらないというわけでもありません。
昔はどちらかと言えば、物欲がないことは良いとされていました。仏教では「もっと、もっと」という際限のない欲があることは、正しい道ではないと言われます。欲に対して警戒感を持っているわけです。
あの老子も「知足者富(足るを知る者は富む)」と説いています。満足することを知り、物欲にとらわれないで生きることが幸福につながるというわけですね。
日本の歴史を見ても、江戸時代の寛政の改革・享保の改革・天保の改革(評価は分かれる)ではいずれも倹約が奨励され、国の政策レベルでお金をなるべく使わないことを実施した時期もあったのです。
今は資本主義の論理で社会が動いていますので、経済を回すという意味で物欲があるのは良いこととされ、消費が奨励されます。ただ、そうなったのは日本の歴史で比較的最近のことに過ぎないということを念頭に置いておきましょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com