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「比翼連理」の意味
「比翼連理(ひよくれんり)」は、仲睦まじい男女、夫婦の様子を表す言葉です。転じて、男女間の深い契りを指す言葉でもあります。
「比翼連理」の由来
「比翼連理」は、男女の睦まじさを表す「比翼」と「連理」の2つの言葉を組み合わせてできた言葉です。
中国の詩人・白居易(はくきょい)による作品『長恨歌(ちょうごんか)』が由来とされており、『長恨歌』は唐の6代皇帝・玄宗(げんそう)と楊貴妃(ようきひ)との悲恋の物語です。
仲睦まじい夫婦になりたいという願いが込められた「天にあっては願わくば比翼の鳥となり、地にあっては願わくば連理の枝とならん」の一節から、「比翼連理」という四字熟語になりました。
「比翼の鳥 連理の枝」とは
なぜ「比翼」と「連理」が男女の睦まじさを表す言葉となったのか、『長恨歌』の一節「天にあっては願わくば比翼の鳥となり、地にあっては願わくば連理の枝とならん」に登場する「比翼の鳥」と「連理の枝」について解説します。
比翼の鳥
「比翼の鳥」は、雄と雌それぞれが、目と翼を片方ずつしか持っていない中国の伝説上の鳥のことです。
“一目一翼”の鳥であるため、空を飛ぶためには雌雄が一対となって協力し合わなければなりません。雄雌が一体となって空を飛ぶ様子から、仲睦まじい男女の様子、男女間の深い愛情を指すようになりました。
連理の枝
「連理の枝」は、2本の樹木から伸びる枝が絡み合い、1つに連なる木となったとされる古代中国に伝わる伝説上の植物です。
2つの並んだ樹木が1本の大木に見える様子から、夫婦や男女の深い契りを意味するようになりました。
この木が登場するのは、中国の『捜神記(そうじんき)』という奇怪な話を集めた志怪小説集です。
春秋戦国時代、宋の国にいた仲睦まじい夫婦が悲運を遂げ、同じ墓に入ることも許されず隣同士の墓に埋葬されてしまいます。それぞれの墓から木が生え、枝と根が絡みつき1本の木のようになったことから、死してもなお強い結びつきのある夫婦の愛情深さの証として「連理の枝」と呼ばれるようになったとされています。
「比翼連理」は同性にも使う? 使い方・例文を紹介
「比翼連理」は、男女の仲が睦まじいことを意味し、基本的には夫婦や婚約間近など、深い関係にある男女に対して使う言葉。結婚式のスピーチなどでも用いられます。
そのため、ビジネス間のパートナーや仲の良い男女の同僚などには使いません。
「比翼連理」を使った例文
付き合いの長い友人カップルの比翼連理な様子はとても微笑ましい
「比翼連理」は、ただ仲睦まじい様子を指すというよりも、深い縁があり長い付き合いのある男女の関係性に対して使うことが一般的です。付き合いたてのカップルには少し重い言葉なので、長年の付き合いや婚約の話が出ているカップルに使うことが多いです。
結婚30年を迎える上司は、比翼連理で理想の夫婦だ
夫婦仲の良さや絆の深さを表すときにぴったりの言葉です。特に上司や目上の人など、かしこまった場面では「仲の良いご夫婦」や「おしどり夫婦」よりも「比翼連理」の方がTPOに合うのではないでしょうか。
「比翼連理」の類語
◆おしどり夫婦
仲睦まじい夫婦の例えとして日常生活でもよく使われる言葉です。
雌雄の差が大きく、見た目にも夫婦ということが分かりやすいことや、雌が卵を産み落とすまで、雄は雌のそばから離れない習性があることが由来とされているようです。
◆偕老同穴(かいろうどうけつ)
「同穴」は“死んで同じ穴に葬られること”を意味し、夫婦の仲が睦まじく、契りが固いことを表します。
◆琴瑟相和(きんしつそうわ)
人と人の仲、特に夫婦が仲睦まじいことのたとえとして使われます。
「琴」は小型の琴、「瑟」は大型の琴を指し、音がよく調和することからできた言葉です。
「比翼連理」の英語表現
◆intimate relationship
「intimate」は「親密な」という意味があり、「intimate relationship」は「男女の深い仲」を指します。
例文:Yuko and Takashi ave such intimate relationship.
ユウコとタカシは比翼連理の仲だ。
◆close friendship
親交という訳になり、「水と魚のように、離れることができない親密な関係」を意味する「水魚の交わり」ということわざの英語表現としてもつかわれます。深い友情や縁を指すことが多いですが、夫婦仲の良さにも用いられることがあります。
例文:In Asia, my close friendship with him continued.
アジアでも、私と彼の親しい関係は続いた。
「比翼連理」に関連するアニメ・ゲームを紹介
『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』
『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)は、2009年に発売された、秋葉原を舞台にタイムリープなどが起こる想定科学アドベンチャーゲームです。
2011年にゲームソフトを原作としてアニメ作品も放送され、2013年には劇場版も公開されるほど高い人気を誇っています。
ゲームソフトはいくつかシリーズが発売されており、その中に『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』という作品があります。「比翼連理」の“連”が“恋”になっていますね。
タイトルの通り恋愛を軸に物語が展開していくゲームで、他シリーズの作品をプレイしていなくても楽しめる内容となっており、ファン向けのお楽しみ要素に重点を置くファンディスク的な立ち位置の作品といわれています。
『STEINS;GATE』にはノベライズ版もあり、ノベライズ版には『STEINS;GATE 比翼連理のアンダーリン』という作品もあります。
最後に
男女の仲睦まじさを表す四字熟語「比翼連理」。漢字を見ただけではどういった意味なのか分かりにくい言葉ですが、由来を知ることで理解が深まったのではないでしょうか。
日常生活で使うことは少ないかもしれませんが、結婚式やお見合いなど、かしこまった場で使われることは多いので、しっかりと意味を知っておきたいですね。
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