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実は知らないことだらけ!「台風」にまつわる天気の雑学
働く私たちにとって、今や「天気」は切っても切れない、毎日の関心事! だからこそ、いつでも、だれとでも、会話のきっかけがつかめるようになる天気の話は知っておいて損はなし。今回は、「台風」にまつわる天気のお話を天気予報士の杉江勇次さんの解説付きで紹介します。
▲天気予報士・杉江勇次(すぎえ・ゆうじ)さん
1968年生まれ、千葉県出身。1995年に気象予報士の資格を取得し、1996年にウェザーマップに所属。主な出演番組に、日本テレビ系『ズームイン!!サタデー』『news every.サタデー』など。
台風が超巨大なCDみたいな形をしているって知ってました?
台風って、積乱雲が縦に長く高く渦巻いている竜巻のようなもの… と思っているかもしれないけど、実は違うんです! みんなが勘違いしがちな話だから、きっと盛り上がりますよ。
台風はその直径の長さに比べると、高さはかなり薄っぺらい!
「よくある台風の直径は約1000km。そして、その台風の眼を取り囲む雲の高さは約10km。そう、台風の直径は、その厚みの約100倍にもなるんです! この比率にそっくりな円盤が、ズバリCD。(12cm盤で、直径12cm・厚さ0.12cmとまさにピッタリ!)
厚みのある巨大な竜巻のようによくデフォルメされがちな台風ですが、本当はCDのように薄っぺらいフォルムだったんです。といっても、もちろん超巨大なものなんですけどね…」(杉江さん)
台風は正月休みなく発生しているんです!
今年ひとつ目の台風がやってきたと思ったら、「もう“7”号!?」って思ったことないですか? 日本の台風シーズン以外でも台風は発生中。年末年始も関係ありません!
観測史上最も早い台風は、1月1日午後3時に発生!
「日本のニュースでは、突然に台風“7”号などが現れますが、その場合の1〜6号は日本にあまり影響を及ぼさないので報道されなかっただけ。1月1日を基準に、1号・2号… と発生しています。2019年の“元日の台風”は気象予報士の間でも話題に!」(杉江さん)
勘違いしがち! 台風の予報円は台風の大きさではない!
よく見る台風の進路図。この予報円は何を表している? と質問すると「この円の大きさのように台風は大きくなっていくんですよね?」と多くの人が不正解…! 台風の時期には、ぜひこのクイズを使ってみて。
台風の中心が70%の確率で入る、と予想される範囲が予報円!
「白地に黒線で描かれた円が“予報円”。これは台風の大きさや強さではなく、進路の可能性の幅を表したものです。ちなみに、黄色の円は強風域、赤色の円は暴風域、赤線は暴風域に入る危険がある暴風警戒域を示しています」(杉江さん)
台風は沖縄に“上陸”できない!?
気象庁の定義に従うと、台風は沖縄を“通過”しかしないんですよ。僕も気象予報士の勉強を始めて知った知識。天気予報ってまだ知らないことだらけ!
台風が“上陸”できるのは、北海道・本州・四国・九州だけ!
「気象庁は、台風の“上陸”を『台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合』、台風の“通過”を『台風の中心が小さい島や半島を横切って短時間で再び海上に出る場合』と定義。あくまで島である沖縄本島の上を通っても、それは“通過”なんです」(杉江さん)
2023年Oggi1月号「天気の雑談力」より
イラスト/mollydomon 構成/旧井菜月
再構成/Oggi.jp編集部