“平年値”とは過去30年間の平均のこと
気象庁では、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新しています。今使われている平年値は、1981年~2010年の30年間の値を平均したものです。
1935年に世界気象機関の前身である国際気象機関(IMO)で、平年値の統計期間が30年間と定められました。
平年値の統計期間の長さについては古くから議論されていて、10年間の統計で十分なものや50~80年程度必要なものもあるとされていますが、平均値の安定性など考慮して30年間の統計が採用されています。
今年、“平年値”が変わる!
そう、平年値は10年ごとに改定されるので、2021年の今年は平年値が変わります。今回の改訂で使用されるデータは1991年~2020年のデータで、今の私たちの実感(夏の猛暑がとても大変、冬に雪が少ない)により近づくことになりそうです。
新しい平年値は今年の3月にすでに公表されていて、5月19日から使用開始予定です。
具体的にどのくらい変わる?
日本の平均気温は1980年代後半から急速に上昇しており、新平年値も現平年値に比べて全国的に0.1〜0.5度程度高くなります。地球温暖化の影響や、地点によっては都市化も影響していると考えられます。
また、降水量は夏の西日本や秋と冬の太平洋側の多くの地点で10%程度多くなり、降雪量は多くの地点で少なくなります。今年は記録的に早い開花となったサクラについても、全国的に新平年値は1〜2日早くなりました。
5月以降に聞くニュースでは、平年値が更新され、より近年の傾向を反映されていることを頭の片隅にいれておくとよさそうですよ。
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気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。