親の七光りの意味、語源は?
親の七光りという言葉、就職や就学などの人生の節目や、ドラマのセリフで耳にしたことはありませんか? 意味は知っていても、語源はよくわからないという人も多いのでは?
親の七光りの意味
親の七光りは、元々「親の光は七光」ということわざを省略したもの。親の持つ地位や権力が、子供に恩恵を与えるという意味を持ちます。地位や名声が高い人物がもつ強い権力や影響力は、子供の人生にも大きな影響を及ぼします。親の資金や人間観権などを利用して子供が得をしたり、成功を収めることが、親の七光りと呼ばれます。
具体的には、大企業に親のコネで入社することや、政治家が地盤を継いで政治家になること、芸能界で活躍している親の影響で子供もデビューする、といった状況が挙げられるでしょう。特に芸能界において、親子で活躍するタレントは「二世タレント」と呼ばれています。もちろん親の力とは関係なく、本人の努力によって成功を収めた人はたくさんいますよね。しかし、世間から注目を浴びる芸能界で、二世タレントは親の七光りだと勘違いされてしまうことも多いのです。
このように親の七光りとは、少々批判的な意味で使われるフレーズです。
親の七光りの語源
先述しましたが、「親の七光り」は元々「親の光は七光」という言葉でした。「七光」には、威光がさまざまな方面に及ぶという意味合いがあります。
『故事俗信ことわざ大辞典』によると、一番古いものでは1696年に「千年もおきたや親の七ひかり」(雑俳・住吉おどり)というように「親の七ひかり」という言葉が登場しています。
親の七光りの言い換え表現
親の七光りに、こんな語源があったなんて驚きましたね。さて、次は言い換え表現について見ていきましょう。少しニュアンスが違うものもあるので、細かく解説していきます。
親の光子に目鼻つける(おやのひかりこにめはなつける)
親の七光りと同様の意味で使われる、このことわざ。「目鼻をつける」は物事の大体の筋を決めるという意味です。つまり、親がたどってきた道のりを、子供がこれからたどる道筋にしてしまおうというニュアンスの表現ですね。
親の光は七所照らす(おやのひかりはななところてらす)
こちらも、親の七光りと同意義のことわざです。七光りを「七所を照らす」という表現に言い換えていますね。「ななところ」という読み方に注意しましょう。
乙子の光は七光(おとごのひかりはななひかり)
末っ子は特に親から愛され、その恩恵を被ることが多いという意味です。親の七光りとは、若干ニュアンスが異なりますね。「男の光は七光」ということわざから転じて、このことわざができたとも言われています。
使い方を例文でチェック!
親の七光りは、あまり良い意味で使われることはありません。どちらかというと批判的な意味で用いられることが多いため、誰かについて話題にするときの使い方には、気をつけたいところ。以下では実際に例文を挙げているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
彼女は二世タレントだが、親の七光りとは言わせない実力派である。
やはり芸能界で親子共に仕事をしていると、親の七光りだと思われてしまうことも多いでしょう。実際、親子で活躍する二世タレントはたくさんいます。しかし、当然のことながら親の力とは関係なく、自らの努力で今の人気を得ている人も大勢いるのです。
しっかり結果を残して、親の七光りではないことを証明したい。
「親の七光りだ」と言われてしまうと、自分自身を認めてもらえていない気がして寂しいですよね。しかし、そこでメンタルブレイクしてはいけません。その言葉をバネに「見返してやろう」という気持ちで仕事に励んでみましょう。必ず、あなたの努力を見てもらえる時がくるはずです。
そんなにお父さんに頼ってばかりいると、親の七光りと言われてしまうよ。
結局、親の持つ力に頼るか頼らないかは、自分次第です。活用できる部分を上手く使うのも、1つの秘訣なのかもしれません。しかし、自分自身が努力して成功を収めた経験は、かけがえのないものになるはずですよ。
親の七光りを英語で言うと…?
「親の七光り」の使い方、マスターできそうですか? 最後に「親の七光り」の英語表現を2つ紹介していきますね。
1:one’s parents’ coattails
英語の場合は、七光りをコートの裾で表現します。「She rode into the entertainment world on her father’s coattails(彼女は父親の七光りで芸能界に入った)」というように「コートの裾に乗って」という表現で親の七光りを表すのです。
2:through the influence of one’s parents
直訳すると「両親の影響を通して」となりますが、これで「親の七光り」を表現できます。throughの部分はthanks toに変えても良いでしょう。「He started working at this company through the influence of his parents(彼は親の七光りでこの会社に入社した)」というように使うことができます。
最後に
今回は、親の七光りについて解説しました。親の七光りという言葉は、決して良い意味で使う言葉ではありません。相手を不快な気持ちにさせてしまうこともあるので、使い方には十分気をつけましょう。
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