目次Contents
この記事のサマリー
・「出生地」とは「生まれた場所」のこと。
・「出身地」とは別物。「東京生まれ、大阪育ち」なら、「出生地」は東京、「出身地」は大阪です。
・戸籍に記載される「出生地」は、市区町村名が基本。実家や現住所と混同しないよう注意。
「出生地」と聞いて、すぐに「ここ!」と答えられますか? 日常会話では、なんとなく使っている言葉「出生地」ですが、いざ履歴書やビザ申請などで正式に記入しようとすると、「出身地と何が違うの?」と戸惑うことも…。
この記事では、「出生地」の正しい意味を押さえつつ、「出身地」との違いや英語表現まで、迷いやすいポイントを丁寧に解説します。
「出生地」の読み方と意味
「出生地」は「しゅっしょうち」と読みます。「生まれた場所」を指しますよ。
辞書には、以下のように記されています。
しゅっしょう‐ち〔シユツシヤウ‐〕【出生地】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
出生した土地。しゅっせいち。
「出生地」を記入する必要がある場合、都道府県単位なのか、市区町村単位なのかは、書類の指示に従う必要があります。例えば、アメリカ合衆国への短期渡航に必要なESTA(エスタ)申請の際には、「出生した市区町村と出生国」を記入します。

出身地との違い|混同しやすい2つの言葉
「出身地」=「出生地」と思い込んでいた、という人も少なくないかもしれません。
「出身地」は、「生まれ育った土地」や「長く住んでいた場所」を指します。念のため、辞書で確認しましょう。
しゅっしん‐ち【出身地】
その人が生まれた土地。また、育った土地。「有名な俳優の―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「出身地」は、「生まれた土地」も意味しますが、「育った土地」も指します。具体的には、「東京生まれ、大阪育ち」の人が履歴書に「出身地」を書く場合は「大阪」、「出生地」は「東京」と書きます。
戸籍・行政文書における「出生地」の扱い方
「出生地」は戸籍や各種申請書で問われることがあり、その扱いは制度によって定められています。ここでは戸籍法や実務上のルールをもとに、誤記を防ぐ知識を紹介します。
戸籍での「出生地」記載
戸籍では、出生届(しゅっしょうとどけ)を提出する際に「出生地」を記入します。これは、実際に赤ちゃんが生まれた場所、つまり「出産が行われた地」を意味します。記載には通常、市区町村名が用いられ、例えば「東京都渋谷区」や「北海道札幌市中央区」などが該当します。
この「出生地」は、「現住所」や「本籍」とはまったく別の情報です。混同すると誤記につながるため要注意です。

里帰り出産や自宅出産の場合の「出生地」は? 実例で解説
母子手帳には「出生の場所」として病院名が記載されることがありますが、戸籍上の「出生地」は、出産が実際に行われた場所の市区町村名で記されます。
例えば、「普段は東京に住んでいるけれど、実家のある名古屋で里帰り出産をした」という場合、出生地は名古屋となります。これは、「どこで生まれたか」という事実そのものに基づくため、自宅出産や助産院での出産も同様に、その所在地の市区町村が「出生地」になります。
履歴書・ビザ申請での「出生地」の書き方|迷ったときの実用ガイド
「出生地」をどの程度まで詳しく書くべきかは、提出する書類の種類によって異なります。書類ごとに求められる情報が異なるため、判断に迷う人も多いかもしれません。ここでは、よくある混乱ポイントを整理しながら、記入ミスを防ぐための実務的な書き方をわかりやすく解説します。
履歴書や就職活動での「出生地」記載ルール
履歴書に「出生地」を記載するケースは減ってきているものの、企業側から記入を求められる場合もあります。その際は、一般的に「都道府県名」や「市区町村名」までを記載するのが適切とされています。
例えば、「東京都港区」や「福岡県福岡市」など、常識的な範囲での表記が一般的です。
ビザ・ESTA申請時の「出生地」書き方と注意点
米国渡航時に必要なESTAやビザ申請では、「出生地」の記載が求められることがあります。このときにもっとも大切なのは、パスポートに記載された表記と統一することです。
英語表記では“Tokyo”や“Osaka”などの都市名で書くのが基本。誤ってや“Asia”などの広域地名を記入してしまうと、情報の不一致と見なされ、申請の承認が遅れるリスクもあります。
公式ガイドラインを確認し、誤りのないよう丁寧に記入しましょう。
「出生地」の英語表現は?
「出生地」は英語で、“one’s birthplace”と表現しますよ。覚えておきたいですね。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「出生地主義」と「血統主義」|国籍制度とのつながり
国籍の決まり方には、大きく分けて「出生地主義“」と「血統主義」の2つの考え方があります。
「出生地主義」は、父母の国籍を問わず、その子が生まれた場所に基づいて国籍が付与される制度で、アメリカやカナダなどが代表的な採用国です。一方、日本やドイツのように「血統主義」を採用している国では、親の国籍によって子の国籍が決まります。
この違いは、海外での出産や、子どもの国籍取得を考えるうえで非常に重要なポイントになります。法務省や各国の大使館が公開している最新の制度情報や手続きガイドも、あらかじめ確認しておくと安心です。

「出生地」に関するFAQ
ここでは、「出生地」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「出生地」と「出身地」はどちらを履歴書に書けばいいですか?
A. 相手が求める情報に従いましょう。
Q2. 「出生地」は都道府県まで書けばいいですか?
A. 書類によって異なります。
履歴書では都道府県で十分な場合が多く、ビザなどは市区町村まで必要なケースがあります。
Q3. 「出生地主義」と「血統主義」って何が違うんですか?
A. 「出生地主義」は「どこで生まれたか」で国籍を判断、「血統主義」は「親の国籍」で判断します。
詳しくは、各国の制度を確認しましょう。
最後に
「出生地」「出身地」は、自己紹介時や多くの場面で話題に出てくる言葉です。子供の頃より引っ越しの経験などが多いと、どこが自分の出生地なのか、わからなくなることもあるでしょう。
「出生地」や「出身地」の調べ方などを知っていると、公的文必要事項の記入など、いざという時に便利ではないでしょうか。
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