そもそも空回りとは?
車のタイヤが泥のぬかるみにはまってうまく進まない時や、いくら頑張っても仕事が進まない時に「空回りする」という表現が使われます。人生において、物事がうまくいかず空回りするということはよくあるものです。有名人であっても、何かしら空回りした経験がある人は珍しくありません。
この記事では、空回りの意味・空回りしている時の特徴・空回りから抜け出す方法について解説していきます。
空回りの意味
空回りの意味は、主に3つです。1つずつ見ていきましょう。
1つ目は「車輪や機関が、うまく働かず無駄に回転すること」、「タイヤが泥のぬかるみで、空回りする」と書かれることがあります。
2つ目は「論理や行動が前進することなく、同じ状態を繰り返すこと」。「仕事が空回りする」と表現されることもあります。物事がうまく進まないというニュアンスですね。
3つ目は「取引所で、売買がないので相場が立たないこと」。例文としては「相場の調整が十分であるにも関わらず、相場が空回りしている」といった表現があります。
空回りしている時の特徴
空回りしている時に見られる、心理的な特徴をいくつか紹介します。
1:周りが見えていない
頑張りすぎている時は、次から次へと来る作業をこなしていく必要があるので、周りが見えにくくなりがちです。周りが見えなくなると、状況に応じて正しい判断を下すのが難しくなるので、空回りにつながります。
2:焦っている
「焦りは禁物」と言われるように、焦ることも空回りにつながります。「早く進めよう」と思う気持ちが強まれば強まるほど、ゴールに至るプロセスに目がいかなくなりがちです。結果、失敗する確率が高まります。
3:特定のやり方にこだわりがある
あまりにもこだわりが強すぎると、自分が正しいと思った以外の方法を受け付けられなくなります。他者の意見を聞くことができなくなり、視野も狭まり、空回りにつながっていくというわけです。
空回りから抜け出す方法
空回りを起こす一因は、心に余裕がなく、合理的に判断できなくなっていることにあります。焦ったり、視野が狭くなったり、切羽詰まったりしているので、余裕がありません。そのような状態では、深くじっくりと考えて最適解を見つけるというのは難しいものです。したがって、心に余裕を持たせることが重要になるでしょう。
しかし、心に余裕を持たせようと意識しても、焦っているためうまくできるとは限りません。不安がつきまとい、なかなかリラックスしにくいもの。そこで、心に余裕を持たせるための手段について説明します。
1:好きなことをする
なるべく普段から自分が好きなことをするよう、心がけてはいかがでしょうか。映画を見るのが好きだったら、映画館に行く。釣りが好きなら、池で魚を釣る。ケーキを食べたいなら、カフェに行く。好きなことをしている時は、心がリラックスして感性や思考力が研ぎ澄まされるものです。
現実逃避というわけではありませんが、気分転換は大事です。気分転換をうまく使い、心に常に余裕が持たせて、日ごろから合理的に判断できるようにしておきましょう。合理的に判断できるようになれば、「相手は何を考えているのか」「この選択肢を選ぶとどのような結果になるのか」といったように思考をめぐらせることが可能になるはずです。
2:読書をする
読書、特に古典などを読むのもいいかもしれません。古典には『論語』『般若心経』『徒然草』『方丈記』などたくさんの作品があります。何百年もの時間を経過してもなお、現代に受け継がれている作品には、時代を貫く「真理」が書かれているものです。それらを学ぶことで、感化され、自分を見つめ直すことにつながるでしょう。
もっとも、古典でなくてもかまいません。空回りしていることとは違う分野の本を読むことで、異なる視点を身に着け、それによって突破口が見つかる可能性もあります。教養が大事とされるのは、それがあるからでしょう。アップル社創業者で、かの有名なスティーブ・ジョブズは、日本の禅から影響を受けたことが、洗練された製品作りにつながったと言われています。
3:相談する
自分だけでは全く思いつかないような視点を、他人が持っていることがあります。自分だけで考えるのではなく、他人の意見も聞くことで、新しい解決策が見つかるかもしれません。相談できる人は、なるべくたくさん作っておいた方がいいでしょう。また、相談した方がいいのかどうか、判断できる感性を普段から磨いておくのも大切です。
4:逃げる
あらゆる手を尽くしても解決策が見つからなければ、「逃げる」という手段もあります。自分が置かれている環境によっては、手を尽くしても空回りを解決できないこともあるでしょう。例えば、標準的な能力な人が、突然、経営者となって「成果を出すように」と言われても、なかなか難しいものがあります。能力的に対応できない人にとっては、いつまでたっても「空回り」の状態でいる可能性が高いかもしれません。
もっとも、物事は時間をかければ解決できる可能性もあります。いったん出直して、力を蓄えてから再起を図るという道もあるでしょう。
そもそも逃げるということは、絶対悪ではありません。もし、自分に問題がなくても周囲の状況によって「空回り」している状況に追い詰められているならば、解決策は限られてきます。程度や逃げ方にもよりますが、空回りを解決する手段として逃げることがあってもいいでしょう。
最後に
空回りしている時というのは、本人にとっては非常に苦しいものです。色々試してもうまくいかないし、気持ちも沈みます。物事も正しく判断できなくなりがちです。
しかし、「人間万事塞翁が馬」「災い転じて福となす」という言葉からわかるように、人生はどうなるかはわからないもの。悪いことばかりではありません。好転することもあるのです。
空回りから抜け出すには、常に正しく判断していかなければなりません。そして、正しく判断できるようになるには、趣味などを通じて、普段から心に余裕を持たせることも大切です。読書などによって、自分を見つめ直し、物事を相対化することも重要と言えます。もっとも、原因が自分の置かれている環境そのものである可能性もあるので、それも念頭に入れておきましょう。
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