マクロビってどんな意味?
マクロビとは、主に玄米や雑穀、旬の野菜、海藻などを摂取する食療法のこと。正式には、「マクロビオティック(Macrobiotique)」と言い、「macro(長い)」「bio(生命)」「tique(術)」という3つの言葉で成り立っています。ハリウッドスターやモデルなどが取り入れていることから、海外発祥のように思われがちですが、実は日本人である桜沢如一(さくらざわゆきかず)が提唱した食事法です。
マクロビは、日本に古くからある食文化や、東洋の考え方を取り入れたもので、のちに海外へ伝わりました。そして、現代では欧米を中心に広まったマクロビが、逆輸入される形で日本へと浸透しているのです。
マクロビの基本の考え方
マクロビは、ただ単に体に良いものを食べるということではなく、健康的な暮らしや幸せな生き方を手に入れることが大切とされています。ここでは、マクロビを理解するための基本の考え方を見ていきましょう。
身土不二(しんどふじ)
「身土不二」とは、「身体(身)と環境(土)は切り離せない(不二)」という意味。日本人は日本で採れたものを、欧米人は欧米で採れたものをというように、自分の住む土地で根付いた旬のものを食べるという考え方です。明治時代の軍医・石塚左玄らが提唱しました。
地産地消ということもできますね。地元で育った旬の食材を食べることで、心身ともに健康になれそうです。身近な食材を選ぶことで、無駄な運送費や過剰な梱包などを省き、エコロジーにもつながります。
一物全体(いちぶつぜんたい)
「一物全体」とは、「1つのものを丸ごと食べる」という意味。例えば、野菜なら皮から葉、種まで。魚なら骨や内臓、尻尾まですべて調理します。お米であれば、きれいに精製された白米よりも、ぬかの残った玄米がベスト。
通常なら捨ててしまいがちな野菜の皮や穀物の皮には、他の部分に入っていないビタミンや食物繊維が含まれています。これらを丸ごと食べることで、バランスよく栄養を取り入れられると考えられているのです。
陰陽調和(いんようちょうわ)
「陰陽調和」とは、食材を陰性と陽性に分けて、食のバランスをとることです。摂取する食品に含まれるミネラル成分のうち、ナトリウム分の多い陽性食品、カリウム分の多い陰性食品として、バランスよく食べることを重視します。
マクロビの基本の食べ方
マクロビと聞くと、なんとなく健康に良さそう、ヘルシーな食事というイメージがありますが、具体的にどのような決まりがあるのでしょうか? マクロビで食べられている食材や調理法をチェックしていきましょう。
主食・副菜
マクロビは、玄米ごはんを主食とし、きんぴらごぼうやひじきの煮物などの野菜を使ったおかず、お味噌汁が基本の食事となります。おかずを食べすぎず、食事の半分をお米などの穀物にすることがポイントです。
特に、ビタミン・ミネラルが豊富な玄米が推奨されています。パンの場合は、加工された小麦粉を原料としたものより、全粒粉のパンがおすすめです。ゆっくりとよく噛んで食べることで食べ過ぎを防止し、胃腸の負担を減らしましょう。
食べてはいけない食材はある?
ストイックなイメージのあるマクロビですが、実は禁止されている食べ物はありません。ただし、お肉や卵、乳製品、精製された白砂糖、化学調味料などはできるだけ使用を避けたいものとされています。
特にお肉などの動物性タンパク質は、体内への吸収がされにくく、食べると胃腸に負担がかかりやすいのだとか。そのためマクロビでは、お肉の代わりに大豆やひよこ豆、お麩などを使って調理されることが多いですね。
また精製された白砂糖は、血液中に素早く届き、血糖値を急激に上げインシュリンをたくさん発生させることから、体に負担がかかりやすいことも。そこでマクロビでは、メイプルシロップなどの血液中にゆっくりと吸収される多糖類を使って甘みを出します。
おすすめマクロビレシピ
マクロビの基本を覚えたら、さっそくマクロビごはんを作ってみましょう。野菜を選ぶときは、陰性・陽性を意識する、できるだけ無農薬で旬の野菜を選ぶ、砂糖や化学調味料不使用の調味料で味付けするのがポイントです。
◆1:デリ風カボチャサラダ
【材料(4人分)】
・カボチャ:1/4個
・アーモンド:30g(できれば塩・油不使用)
・新玉ねぎ:100g
・豆乳マヨネーズ:大さじ2
・胡椒:少々
【作り方】
1. カボチャの種をとる。大体2cm角に切る。新玉ねぎをうす切りする。
2. カボチャを竹串が通るまで蒸す。新玉ねぎは水に5分さらしてざるにあげる。
3. アーモンドを細かく刻む。
4. カボチャが蒸しあがったら、アーモンドと玉ねぎ、豆乳マヨネーズ、胡椒を加えてよく混ぜる。完成。
マクロビでは、副菜にアーモンドやくるみなどのナッツ類を使用します。ナッツ類には、不溶性の食物繊維やビタミンB群が含まれており、便秘解消や脂肪燃焼の効能があると言われています。ただし、カロリーが低い食材ではないので適量をとることが大切です。また、マヨネーズは卵・砂糖不使用の豆乳マヨネーズを使うことでヘルシーにいただけます。
◆2:豆乳クリームシチュー
【材料(2人分)】
・里芋:90g
・無調整豆乳:200ml
・塩:小さじ1/4
・黒胡椒:少々
・コンソメ顆粒:小さじ1.5
・蒸し野菜:カブ・人参・しめじ・ブロッコリーなど
【作り方】
1. 蒸した里芋の皮を剥く。豆乳と一緒にブレンダーに入れて滑らかにする。
2. お好みの野菜を蒸す。
3.[1]を鍋に移して、塩・黒胡椒・コンソメを加えて加熱する。底が焦げないようによくヘラでかき混ぜる。
4. 器に[3]を入れて、蒸した野菜をトッピングする。
里芋はジャガイモに比べると低カロリーでカリウム、食物繊維が豊富に含まれています。カリウムは、余分なナトリウムを体外排出するので、むくみや高血圧の予防に効果が。寒い日には、里芋、人参など陽性の食材を食べて、体を温めましょう。
最後に
マクロビとは、主に玄米や野菜、海藻などを摂取する日本で生まれた食事法。前述したように、絶対にこの食材は食べてはいけないという決まりはないため、他の食事法に比べると実践しやすいでしょう。食生活を改善したい、体に良いものが食べたいと思ったときは、マクロビの考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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