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ことわざ「縁の下の力持ち」の意味
「縁(えん)の下の力持ち」は、他人のために陰で苦労や努力をすることや、そのような人のたとえとして使われることわざです。
表舞台に立たず、人目につかないところで人を支えること、人を表します。
「縁の下の力持ち」の由来
大阪・四天王寺の経供養という法要で披露された「椽(えん)の下の舞」が由来といわれています。
この法要が舞台上ではなく、誰にも見られない庭で非公開に演じられたことから、陰ながら努力することや人物を表す言葉として使われるようになりました。
「京都いろはかるた」の「え」の一句としても用いられています。
「縁の下の力持ち」を言い換えると? 類語や四字熟語を紹介
簀子の下の舞
「簀子(すのこ)の下の舞」は、「縁の下の力持ち」と同じく、陰ながらに誰かの助けになっている人や、知れず他人のためになることを指す言葉です。
簀子は舞台の天井のことで、演者が簀子の下で舞を練習していたことが由来とされています。
名脇役
舞台や映像作品などで、主役を引き立てつつも主役以上の存在感を感じさせる脇役のことを指す言葉です。
作品を盛り上げる役でもあるので、比喩で「リーダーではないけど組織の円滑な運営になくてはならない人」という使われ方をすることもあり、こちらのほうがより「縁の下の力持ち」に近い言葉のように感じますね。
内助之功
「内助之功(ないじょのこう)」は、家庭内で妻が夫を支え、夫の仕事を陰からサポートすることを指します。
一般的に妻が夫を支える際に使われる言葉ですが、男女関係なく使うこともでき、慎ましやかに人をサポートすることができる人を称賛するときに用いられます。
「縁の下の力持ち」は褒め言葉? 例文を紹介
◆使う場面や相手に注意!
「縁の下の力持ち」は、褒め言葉として使われることも多いですが、使い方によっては失礼になってしまうこともあるので注意が必要です!
気を付ける点は「表舞台で活躍している人」や「仕方なくやっている人」には使わないこと。
「縁の下の力持ち」は人目につかない「縁の下」で支えることを言います。目立つ活躍をしている人や、表舞台に立っている人には使いません。
また、仕方なく陰のサポート役をしてくれている人に「縁の下の力持ちだね」と声をかけることは、皮肉にとられてしまうこともあるので注意です。
人を評価する言葉でもあるので、自分より立場が上の人に使うのも避けたほうがいいでしょう。
◆例文
無事にコンサートを開催できるのは、縁の下の力持ちとして頑張ってくれたスタッフのおかげだ
コンサートや舞台は、演者だけでなく照明やステージを作り上げる人たちの力が必要不可欠ですよね。
スポットライトが当たることはないけれど、その人たちが居なければ成り立たないもの。見えないところでステージを作り上げるスタッフさんたちは、まさに「縁の下の力持ち」といえます。
このプロジェクトが無事に成功したのは、部下が縁の下の力持ちとなってくれたからだ
どんな仕事にも必ず「縁の下の力持ち」がいます。プレゼンや商談には出なくても、リサーチや分析、書類作成をしてくれる人など、いろんな人のサポートがないと仕事は成り立ちません。
自分だけの手柄ではなく、「サポートしてくれた人がいてこそ、成果を得ることができる」という気持ちは忘れないでおきたいですね。
表立って活躍するよりも、縁の下の力持ちとして働くほうが私には合っている
自分が輝くよりも、人を輝かせるほうが向いているという人も多いはず。スポーツ選手のコーチやタレントのマネージャー、営業事務などの仕事も「縁の下の力持ち」的な存在かもしれません。
「縁の下の力持ち」の英語表現
an unthankful task
直訳すると「感謝されない仕事」。ネガティブに聞こえますが、人目につかないところでの努力やサポートを指すことを考えると、非常に分かりやすい表現かもしれません。
unsung hero
「unsung」は「賞賛されない」「褒められない」という意味。「賞賛されないヒーロー」と訳すことができます。やや皮肉めいて聞こえますが、「力持ち」を「ヒーロー」に言い換えるのは面白いですね。
power behind the scenes
「behind the scenes」で「舞台裏」となり、直訳すると「舞台裏の力」です。「縁の下の力持ち」とかなり近い表現です。
「縁の下の力持ち」はどんな種類の仕事? いなくなるとどうなる?
「縁の下の力持ち」といわれる人が向いている仕事や、会社で「縁の下の力持ち」的存在にあたる仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
◆「縁の下の力持ち」の人に向いている仕事
カスタマーサポートやコールセンター、コンサルタント、コーディネーターなどの仕事が向いていると思われます。
困っている人をサポートしたり、活躍できるようアドバイスをしたりと、あくまでも仕事は裏方ですが、必ず必要とされる存在です。
誰かのために「どうすればもっとよくなるか」を考えて動く必要があるので、やりがいも大きい仕事といえますね。
◆「縁の下の力持ち」はどんな仕事?
例文を紹介した際に出た仕事とは別に、一般的な企業においてはどのような仕事が「縁の下の力持ち」になるのでしょうか。
基本的には、事務職などのバックオフィス系の職種が該当します。
〈バックオフィス系の職種例〉
・経理
・総務
・人事
・法務
・IR
◆「縁の下の力持ち」がいなくなるとどうなる?
例えばカスタマーサポートがなければ、サービスや商品に不具合があっても解決することができず、お客様は不満をもったまま泣き寝入りとなってしまうかもしれません。経理がなければ給料はもちろん、通勤費などの経費も処理ができません。
利益をもたらす営業や企画だけでは会社が立ち行かなくなり、その商品やサービスをうける消費者である自分たちにも影響が出ます。
「縁の下の力持ち」は、社会全体を支えてくれているとても大切な存在といえます。
最後に
ことわざ「縁の下の力持ち」を解説しました。改めて意味を知ると、「縁の下の力持ち」といわれる人や仕事がどれほど重要かが分かりますね。
使う相手や場面によっては失礼な言い回しになってしまうこともあるので、会話に用いる際は注意して使うようにしましょう。
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