【目次】
・参事はどんな役職? 仕事内容などを解説
・参事に似ている職務の意味
・参事と接する際に注意すべきことは?
・参事は部長や課長クラスの立場のこと
参事はどんな役職? 仕事内容などを解説
参事の意味は、ある分野に特化した事務や業務を担う人や、その役職です。本来は国会や地方公共団体などの公務員が就く役職名でしたが、現在では民間企業にも普及しました。民間企業に広まった背景には、役職定年制の導入が関係しています。
基本的な知識として、主な役割や民間企業に広まった理由、地位や年収などを見ていきましょう。
参事が担当する仕事内容とは
参事の役割は、特定分野に関する知識や経験にもとづいてアドバイスをしたり、調査や研究を行ったりすることです。また、部長や課長などに対する助言も担当します。過去に築いた人脈を活用し、資料作成や取引先との調整を担当するのも特徴です。
一般的には部長や課長クラスの人と同じ年代であることから、組織におけるアドバイザー的な立ち位置として活躍するケースも多いです。なお、職能資格を示す肩書きとしたり、役職名にしたりと、組織によって扱い方が異なります。
参事が民間企業に普及した背景
参事が公的機関以外にも広まったのは、役職定年制の導入が関係しています。役職定年制とは、管理職に就いていた人が50代後半を迎えた頃に、管理職から退かせる制度です。これによって、若手の育成や組織の活性化、人件費のコストカットなどが期待できます。
一方で管理職から外された人は、平社員として働くモチベーションを維持できなかったり、処遇が悪くなったと周囲に思われたりするでしょう。役職定年制にはこのようなデメリットがありますが、参事を設置することで課題を解消できると考えられています。
例えば、管理職ではなくなった人が参事に就任した場合、管理職としての業務は行えませんが、今までと近いスタイルで働くことが可能です。特定のポジションを付与されることで、処遇が悪くなったというイメージも払拭できるでしょう。
【組織別】参事の役割や立場
参事の役割や立場は組織ごとに違いがあります。ここでは、以下の組織別に参事のあり方を見ていきましょう。
・国会
・公的機関
・労働金庫、協同組合
・民間企業
国会における役割は、国会議員の補佐です。具体的には、事務部門として国会議員のサポートを担う公務員が参事と呼ばれます。管理職に相当する人だけではなく、係員も含めた常勤の事務職員も当てはまります。
地方公共団体などの公的機関では、部長や課長と同等の扱いを受けるのが一般的です。部下をもたず、部や局などに所属して業務に関わるのが基本です。都道府県によっては、職能レベルの肩書きとして参事が用いられることもあります。
労働金庫や協同組合における参事とは、業務を行う職員のことです。協同組合では、理事会で選任された参事が支配人レベルの権限をもつこともあります。
民間企業では、役職として扱うのではなく、能力や資格を有する人を参事として設置するケースがよく見られます。
参事の地位や年収
参事の地位は企業が定める基準によって異なりますが、管理職と同等の扱いになることが多いです。具体的には、係長や主任よりも序列が上であり、部長や課長と同じくらいの立場が与えられます。
とはいえ、参事は管理職に該当しないため、部長や課長のような権限はもっているわけではありません。部長や課長が部下の育成や組織のマネジメントを行い、参事はそれらのサポートを担うイメージです。
管理職クラスと同等の扱いになることから、参事の年収は平社員より高い傾向があります。ただし、役職手当がつかない分、部長や課長の年収には及びません。
参事に似ている職務の意味
会社における職務や役職は多数あるため、それぞれを区別するのが難しいでしょう。例えば、参事に似ている職務には以下が挙げられます。
・部長
・参事官、参与
・主事、主任、主幹
いずれもビジネスシーンで多用される言葉のため、違いを正しく理解しておくことが重要です。ここでは、参事に似ている職務の意味をわかりやすく説明します。
部長
部長の役割は、経営者側の視点をもって部門や部署を取りまとめることです。参事と部長の違いは、参事が職能資格の名称であるのに対し、部長は役職名を意味する点です。
例えば、役職である部長は就任できる人数が決まっています。一方で、職能資格には定員が設けられていません。
また、業務の内容にも明確な違いがあります。部長は組織のマネジメントや生産性の向上、新規事業の立ち上げなどを行うのに対し、参事はスキルを活用して部長や課長のサポートを行うのが特徴です。
参事官、参与
参事官とは、以下のような日本の中央省庁において事務を担当する職員のことです。
・内閣官房
・内閣法制局
・会計検査院
・人事院
組織ごとに職務などは異なりますが、基本的には企画書・提案書を作成したり、重要事項の統括整理を行ったりします。参事と字面が似ていますが、両者は働く組織に大きな違いがあります。
参与とは経営層の下位に設置される役職で、会社の業務全体を扱うのが特徴です。参事と比較すると、参与のほうが高い地位に位置付けられるケースが多いです。
主事、主任、主幹
主事とは、ある仕事を主として担当する人のことで、一般的には参事の次に位置付けられます。参事と共通するのは、社内における職能資格として扱われることが多い点です。なお、役所や学校では、統率者の指示にもとづいて業務を管理する人が主事と呼ばれます。
主任とは、技術やノウハウを駆使し、中心的存在として事業や業務を行う人です。物事の中心となって行動する必要があり、責任をもってやり遂げることが求められます。
また、主幹も主任と同様に、中心となって業務を取りまとめる人を指します。ただし、主幹は管理職であることが多いですが、主任は管理職とは限りません。主任と主幹を比較すると、主幹のほうが序列が上であると覚えておきましょう。
参事と接する際に注意すべきことは?
参事は管理職ではないものの、それなりの地位が認められています。かつては部長や課長を務めており、優れたスキルや経験を有している人のため、敬意をもって接することが重要です。
また、参事にメールを送る場合は敬称に注意しましょう。例えば、「参事」に「様」をつける二重敬語はよくある誤用です。適切な宛名は以下を参考にしてください。
・○○参事
・参事 殿
・参事 ○○様
参事は部長や課長クラスの立場のこと
参事とは、部長や課長に対して助言したり、調査や研究業務を担ったりする人を指します。管理職クラスに位置付けられますが、管理職としての権限はもたず、あくまでサポート的な役割を担います。
本来は公務員の役職名として認知されていましたが、役員定年制の導入に伴い、民間企業にも普及しました。参事の役割や似ている職務との違いなどを理解しておきましょう。
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