【目次】
・参与とは? 言葉の意味や関連語を解説
・参与は役職名としても使われる
・参与の意味や役職の特徴を覚えておこう
参与とは? 言葉の意味や関連語を解説
参与とは、事業に関わることを意味する言葉で、正しい読み方は「さんよ」です。「○○に参与する」「参与観察」などの形で用いられます。
また、参与に関連する言葉として、類義語や対義語がいくつかあります。参与はビジネスシーンで使われることが多いため、正しい使い方を理解しておく必要があるでしょう。ここでは、参与の意味や例文、関連語などをご紹介します。
参与の意味は「事業に関わる」など
参与の意味は、事業や計画に関わることです。事業に参加するという意味合い以外に、事業などに関する相談を受けるというニュアンスも含みます。また、後述する役職としての意味をもつのも特徴です。
これら以外には、歴史にまつわる用語としての意味もあります。王政復古の大号令が発布された際に、官職の役職名として参与が使われていました。
参与の使い方と例文
参与の主な使い方は、「参与する」と動詞の形で使うパターンです。事業や計画などに関わることを伝える際に用いられます。具体的な使い方は、以下の例文を参考にしてください。
・彼は国際的なプロジェクトに参与していました。
・専門家に参与を打診しましょう。
・部長自らが参与することが決まったようです。
また、参与を使った表現として「参与観察」が挙げられます。参与観察とは、文化人類学で用いられる手法の一つです。
ある集団や社会を調査する際に、調査をする人自らが集団や社会に所属し、ともに生活を送りながら観察したり、情報を集めたりする方法です。参与観察は、主に異文化社会について研究する際の手法として用いられます。
参与の類義語と対義語
参与の類義語には以下が挙げられます。
・関与
・参加
・参画
関与の意味は、何かに関係していることです。参与がポジティブなニュアンスで使われる一方で、関与はマイナスな意味合いで使われることもあります。例えば、「犯罪に関与する」などです。使える対象が幅広いからこそ、ポジティブにもネガティブにも用いられるのが特徴です。
参加とは、企画やイベントに加わることを指します。参画も事業や計画に加わるという意味があり、参与と同じように使うことが可能です。
類義語に対し、参与の対義語には「不参加」が挙げられます。不参加は、その字のとおり参加しないことを意味します。
参与は役職名としても使われる
事業に関わること以外に、参与は役職名を表す際にも用いられる言葉です。どのような地位をもつのかは組織によって差がありますが、一般的には部長クラスの権限をもつ人として扱われます。
参与を設置することで、部長や課長の人数が限られている場合でも、同等のスキルをもつ人を役職に就任させられます。なお、参与の適切な呼び方は「名前+参与」です。メールや宛名書きでは「参与 ○○様」と表記しましょう。
次項からは、参与の具体的な役割や給料、似ている役職との違いなどを説明します。
参与の主な役割
参与が担う役割は、主に経営層のサポートです。一般企業では経営層の下位に設置されることが多く、主に会社の業務管理を担います。つまり、参与を務められる人の条件には、経営者と同等のスキルを有していることが求められます。
参与の大きな特徴は、あくまで間接的に業務に関わることです。直接的に業務に加わるというよりも、客観的な視点にもとづいてアドバイスや補助業務を行います。
参与の給料や地位、部下の有無
参与の給料は、参与になる前に支払われていた給料と同程度の金額になるのが一般的です。例えば、直前に就任していた役職が取締役の場合は、取締役を務めていた頃と同じくらいの給料が支払われます。給料に加えて、前の役職での待遇がそのまま引き継がれることもあります。
参与は本部長や部長クラスとして扱われるのが基本です。専門的な知識が必要なため、管理職を経験した人が定年を迎えた際に、参与としてポストを与えられるケースが多いです。専門性をもとに特定の業務を行うことから、それなりの地位があると理解しておきましょう。
なお、参与は直接的に業務に関わることはないため、部下をもたないケースが多いのも特徴です。本部長や部長のように指揮するのではなく、独立したポジションとして業務に関わります。
参与と似ている役職の違い
参与に似ている役職として、以下が挙げられます。
・顧問
・参事
・理事
・主事
・部長
・会計参与
顧問とは、専門的なスキルや経験を活かしてアドバイスを行う役職です。参与との大きな違いは、経営に関する権限をもっているかどうかです。参与は経営に関する意思決定ができますが、顧問にその権限はありません。
参事の主な役割は、部長や課長の相談に乗ることです。また、これまでに培った人脈などを駆使して、調査研究や資料作成などを担当します。主な役割は参与と同じですが、参与の下位に設置されるケースが多いです。
理事は、組織や団体の事務をつかさどる人を指します。弁護士や会計士が選任されることが多く、参与よりも高い地位に就くのが特徴です。
主任に相当する役職の人が退官後に再雇用される際は、主事と呼ばれます。部長は部門を統括する人を指し、参与よりも序列が上であるのが一般的です。
会計参与は、会計業務を専門的に行う役職です。会計参与を務められるのは公認会計士や税理士のみで、取締役などと一緒に株主総会に出席したり、会計に関する書類を作成したりします。
参与の設置における課題
参与は企業の発展に関して重要な役割を担いますが、企業によっては参与が適切に機能していないケースもあります。特に、出世コースから外れた人を参与として設置すると、お飾り状態になってしまうことも。
また、参与のモチベーションの維持が難しいことも問題視されています。参与は部下をもたず、後輩の育成にも携われないため、やる気の低下につながるおそれがあります。
あるいは、参与が強い権力をもってしまい、社内の指揮系統が乱れることも少なくありません。現役の管理職よりも参与の権力が大きい場合は、参与の存在意義を検討する必要があるでしょう。
参与の意味や役職の特徴を覚えておこう
参与には、事業や計画に関わることという意味があります。「○○に参与する」や「参与観察」などの形で使うことが多いです。
また、参与は役職を表す言葉としても用いられます。参与は経営層のアドバイザー的存在で、専門的な知識をもとに業務管理を担います。参与はビジネスシーンで多用されるため、意味や役職の特徴を正しく理解しておきましょう。
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