日本の夫婦共働き世帯の割合は?
かつて、結婚すると家庭に入り、家事や子育てに専念することが当たり前とされていた日本の女性。しかし現代では、夫婦共に働く「共働き」を選択する夫婦の割合が増え、専業主婦世帯の倍以上となり、共働きが主流の社会となりました。実際に、日本の共働き夫婦の割合はどの程度なのでしょうか?
共働き世帯の割合やそれぞれの働き方について、公的機関が発表したデータを踏まえて紹介します。
共働き世帯の割合の推移は?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2024年2月19日に発表した「専業主婦世帯と共働き世帯−労働政策研究・研修機構」によれば、2023年の専業主婦世帯は517万世帯。共働き世帯は1,278世帯となり、1996年に両者の数が約900万世帯と同率になって以降、過去約20年間、双方の差は開き続けています。
専業主婦世帯は年々加速度的に減り続け、共働き夫婦が徐々に増えている、ということになります。
夫婦ともに正社員の場合は?
総務省が発表した「平成29年 就業構造基本調査」によれば、「夫婦とも正規雇用」の割合は32.1%となっています。最も多いのは、「一方が正規雇用・一方が非正規雇用」の58.4%。そのうち、大半が「夫が正規雇用・妻が非正規雇用」の組み合わせだそうです。
また同「令和4年 就業構造基本調査」によれば、働いている人を雇用形態別に見た場合、男性は「正規の職員・従業員」が2340万人(男性有業者に占める割合63.9%)、女性は「正規の職員・従業員」が1272万人(女性有業者に占める割合42.0%)となっており、正規雇用の男女比は大体2:1となっている現状が見えてきます。
フルタイムの共働きの割合は?
続いて、総務省が発表した「平成30年 労働力調査年報」のデータを参考に考えてみたところ、週35時間以上働く人をフルタイムとすると、週35時間以上働いている人の総数は4324万人。
そのうち、2人以上の世帯で、世帯主とその配偶者が週35時間以上働いている人の数は、919万人となりました。
共働きの世帯収入はどれくらい?
総務省「家計調査報告家計調査報告−月・四半期・年−」によれば、2020年の二人以上世帯(勤労者世帯)の1ヶ月の平均実収入は、1世帯あたり607,586円。2019年は589,026円、2018年は565,271円なので、徐々に金額が上昇しています。
夫婦が共働きするのは家計のため? その理由とは?
共働きを選ぶ夫婦が増加しているのはなぜなのでしょうか?
家計のため
夫婦2人が二馬力で働けば、その分世帯収入が増えるのは自明の理。貯金もできますし、生活費に余裕も出てきます。また万一、どちらかが怪我や病気で一時的に働けなくなっても、全てがゼロになってしまうわけではないので、家族のリスクヘッジとしても機能しますよね。
キャリアのため
女性が重要なポジションを任され、キャリアを築いていく社会的機運が今まで以上に高まっています。
例えば男女共同参画の推進に向け、日本政府は2023年6月に重点方針「女性版骨太の方針2023」案を発表。東京証券取引所に上場する大手企業の役員について、2025年をめどに女性を1人以上、2030年までに女性の比率を30%以上にすることを目指す、という内容で、女性がより重要な役職を担うことが求められているのです。
これまで築いたキャリアを、家庭の都合だけであきらめるなんてもったいない。女性も男性も、家庭と仕事を両立させ、社会に共に貢献していく未来像が求められています。
役割に囚われない生き方が主流になっているから
社会全体で「結婚=家庭に入る」という前提が希薄になり、今までその女性が担ってきた仕事やボランティアなどの社会的責任を、結婚後も続けることが当たり前になったことも、共働きが増加している理由のひとつ。結婚という契約をする際、専業主婦か共働きかを選択しなくては…という考え方自体が、社会的コンセンサスが得られなくなったとも言えるでしょう。
働きやすい環境が整った
男性の育休が話題になりつつある昨今ですが、大手企業を筆頭に、多くの職場で女性が産休・育休を取得できる環境が整えられています。日本の育休制度は世界でも非常に長く、育休後職場に復帰してこれまで通りに働くことができる環境のほか、時短勤務やパートなどで子育てと両立しながら働ける選択肢があることも、理由の一つでしょう。
共働きの家事分担のコツ
専業主婦・主夫であれば、収入を得る人と家の中のことをする人というように、ひとまずは明確に線引きをすることができます。しかしながら、共働きの場合は何を基準に家事を分担するべきか、難しいところ。どのように分担すればいいのでしょうか? ちょっとしたコツを紹介します。
家事分担について話し合う
女性は家事をするもの、というイメージがかつては強かった日本ですが、共働きの場合女性が家事を一手に引き受けると、負担が大きくなってしまいます。働き方や職種、勤務時間の長さ、収入の違い、休日、家事が得意か不得意か、持続可能性などを考慮して、家事分担の割合を決める必要があります。
〈家事分担の基準の例〉
・在宅時間の割合で決める
・収入の割合で決める
・得意不得意の項目で決める
・平日・休日で分ける
家事分担は、家にいる時間が長い方が多めに家事を担当するなど、在宅時間を目安に分担を決めたり、ビジネスライクな2人なら、収入の割合に合わせて配分を決めたりする手も。他にも、それぞれ得意な家事を得意な方が担当したり、平日はどちらが家事をして休日はもう一方が家事をするなどで分けるのもひとつのやり方です。
家事の内容を共有する
パートナーが洗い物をしたあとは、流し台や床がびちょびちょのまま、トイレ掃除では便器しか掃除をしておらず、蓋や床は汚れたまま… といった経験はありませんか? 家事分担に関しては、夫婦でたびたび意見の相違が生じることもあります。その理由は、それぞれの家事の内容をきっちりと共有できていないから。
「洗い物」というざっくりとしたものではなく、お皿を洗う、流し台の水滴を拭う、床を拭くという項目全てが「洗い物」という家事に含まれていることを共有し、認識を一致させれば、揉めることも少なくなります。
家事代行サービスを利用する
無理して家事をせず、家事代行サービスを利用するなども視野に入れてみるのはいかがでしょうか?
どちらかが体調不良だったり仕事が忙かったりすると、その分パートナーへの家事負担が増えてしまいます。普段よりも家事が増えてキャパオーバーになってしまうようであれば、第三者に家事をお願いするのも賢い選択です。
家事分担については、どの夫婦も少なからず頭を悩ませている問題だと思います。大切なことは、夫婦でしっかり話し合って納得のいく家事分担を決めること。そして、ときには効率的なサービスを利用するなどして、賢く分担していきましょう。
【参考】
労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯」
総務省「平成29年 就業構造基本調査」
総務省「平成30年 労働力調査年報」
総務省「家計調査報告−月・四半期・年−」
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ライター/コラムニスト コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。