日本の夫婦共働き世帯の割合は?
かつて女性は、結婚すると家庭に入って家事や子育てに専念することが当たり前とされていました。しかし現代では、夫婦共に働く「共働き」を選択する夫婦の割合が多いといえます。では実際に、日本の共働き夫婦の割合はどの程度なのでしょうか。

共働き世帯の割合やそれぞれの働き方について、公的機関が発表したデータを踏まえて紹介します。
◆共働き世帯の割合の推移は?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「専業主婦世帯と共働き世帯−労働政策研究・研修機構」によれば、2021年の専業主婦世帯は566万世帯。共働き世帯は1247世帯となり、過去10年間を見ても双方の差は開き続けています。つまり、専業主婦世帯が年々減り続け、共働き夫婦が年々増えているということですね。
◆夫婦ともに正社員の場合は?
総務省が発表した「平成29年 就業構造基本調査」によれば、「夫婦とも正規雇用」の割合は32.1%となっています。
最も多いのは、「一方が正規雇用・一方が非正規雇用」の58.4%。そのうち、大半が「夫が正規雇用・妻が非正規雇用」の組み合わせだそうです。
◆フルタイムの共働きの割合は?
総務省が発表した「平成30年 労働力調査年報」のデータを参考に考えてみたところ、週35時間以上働く人をフルタイムとすると、週35時間以上働いている人の総数は4324万人。
そのうち、2人以上の世帯で世帯主とその配偶者が週35時間以上働いている人の数は919万人となりました。
共働きの世帯収入はどれくらい?
総務省「家計調査報告家計調査報告−月・四半期・年−」によれば、2020年の二人以上世帯(勤労者世帯)の1ヶ月の平均実収入は、1世帯あたり607,586円。2019年は589,026円、2018年は565,271円となりました。
夫婦が共働きするのは家計のため? その理由とは?

共働き夫婦はなぜ夫婦共に働くことを選択しているのでしょう。その理由を紹介します。
◆家計のため
夫婦2人が二馬力で働けばその分世帯収入は増えます。その分貯金もできますし、生活費に余裕もできます。万一どちらかが怪我や病気で働けなくなっても、収入が途絶えることはないので安心ですよね。
◆キャリアのため
まだまだ数は多くはないものの、女性が重要なポジションを任され、キャリアを築いていくのが当たり前の時代になりつつあります。これまで築いたキャリアを結婚で諦めるなんてもったいない。家庭と仕事を両立させることも当然の時代になったといえそうです。
◆役割に囚われない生き方が主流になっているから
結婚しても仕事を続けることが当たり前になったことが共働きの理由のひとつに挙げられると思います。結婚をするときに、専業主婦か共働きかを選択するということ自体が少なくなったといえるのかもしれません。
◆働きやすい環境が整った
男性の育休が話題になりつつある昨今ですが、女性の大手企業を筆頭に多くの職場で産休・育休を取得できる環境が整っています。日本の育休制度は世界でも非常に長く、育休後職場に復帰してこれまで通りに働くことができる環境のほか、時短勤務やパートなどで子育てと両立しながら働ける選択肢があることも理由の一つでしょう。
共働きの家事分担のコツ

専業主婦・主夫であれば、収入を得る人と家の中のことをする人というように、ひとまずは明確に線引きをすることができます。でも、共働きの場合は何を基準に家事を分担するべきかむずかしいところ。どのように分担すればいいのでしょうか。ちょっとしたコツを紹介します。
◆家事分担について話し合う
女性は家事をするもの、というイメージが強い日本ですが、共働きの場合女性が家事を一手に引き受けると負担が大きくなってしまいます。働き方や職種、勤務時間の長さ、収入の違い、休日、家事が得意か不得意かなどをいろいろなことを考慮して、家事分担の割合を決めるとよいでしょう。
〈家事分担の基準の例〉
・在宅時間の割合で決める
・収入の割合で決める
・得意不得意の項目で決める
・平日・休日で分ける
家事分担は、家にいる時間が長い方が多めに家事を担当するなど在宅時間を目安に分担を決めたり、ビジネスライクな2人なら収入の割合に合わせて配分を決めたりするのもいいでしょう。他にも、それぞれ得意な家事を得意な方が担当したり、平日はどちらが家事をして休日はもう一方が家事をするなどで分けるのもひとつ。
◆家事の内容を共有する
パートナーが洗い物をしたあとは流し台や床がびちょびちょのまま、トイレ掃除では便器しか掃除をしておらず蓋や床は汚れたまま… などの経験はありませんか? 家事分担に関しては夫婦でたびたび意見の相違が生じることもあります。その理由は、それぞれの家事の内容をきっちりと共有できていないから。
「洗い物」というざっくりとしたものではなく、お皿を洗う、流し台の水滴を拭う、床を拭くという項目全てが「洗い物」という家事に含まれていることをしっかりと共有し、認識を一致させれば揉めることが少なくなります。
◆家事代行サービスを利用する
無理して家事をせず、家事代行サービスを利用するなども視野に入れてみるのはいかがでしょうか。どちらかが体調不良だったり仕事が忙かったりすると、その分パートナーへの家事負担が増えてしまいます。普段よりも家事が増えてキャパオーバーになってしまうようであれば、第三者に家事をお願いするのも賢い選択です。
家事分担については、どの夫婦も少なからず頭を悩ませている問題だと思います。大切なことは、夫婦でしっかり話し合って納得のいく家事分担を決めること。そして、ときには効率的なサービスを利用するなどして、賢く分担していきましょう。
【参考】
労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯」
総務省「平成29年 就業構造基本調査」
総務省「平成30年 労働力調査年報」
総務省「家計調査報告−月・四半期・年−」
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ライター/コラムニスト コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。