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2024.03.12

正しく知りたい慣用句。「カラスの行水」の意味や使い方、類語もまとめて解説

「カラスの行水」という、ことわざの意味を知っていますか? カラスは実はとても綺麗好きで、毎日のように水浴びをする習性があるのです。ここでは、「カラスの行水」の意味や使い方について紹介していきます。

「カラスの行水」の意味

(c)Shutterstock.com

「カラスの行水」とは、耳にしたことはあっても、詳しい意味は知らないという方も多いかもしれません。まずは、基本的なことわざの意味を解説します。

意味

「カラスの行水」は、<からすのぎょうずい>と読みます。辞書で意味を調べると、「カラス(烏)の行水」とは、「入浴時間が短いことのたとえ」(小学館 デジタル大辞泉より)です。

まるで、カラスが水浴びをするのと同じくらい「お風呂に入る時間が短い人」のことを表す言葉です。「君はまるで“カラスの行水”だね」というように、入浴時間が短い人のことを冷やかす時に使われることが多いです。

ちなみに「行水(ぎょうずい)」とは、「たらいに湯や水を入れ、その中でからだを洗い流すこと、また、その湯や水」「潔斎(けっさい)のため、水や湯で、からだを清めること」という意味があります。

また、漢字のつくりが非常に似ているため、「烏(からす)」を「鳥(とり)」と、間違って読んでしまうケースもよくあります。間違わないよう気を付けましょう。

なぜ「カラスの行水」というの?

(c)Shutterstock.com

それでは、どうして「カラスの行水」といわれるようになったのでしょうか?

カラスといえば、都市部でゴミを漁っていたり、少し汚いイメージをもたれている方も多いかもしれません。しかし、実はとても綺麗好きで、毎日のように水浴びをする習性があります。水浴びをすることで、鳥にとって命ともいえる羽根の汚れや、寄生虫を落としているのです。毎日水浴びをしているため、一回の水浴び時間は、1分〜3分ほどだと言われています。

「カラスの行水」と、例えられるようになった由来は定かではありませんが、カラスの素早い水浴びの姿と、あっという間に入浴を終わらせる人間の姿を重ねて考えたのかもしれません。

カラスについて

カラスは日本のみならず、世界中に生息している鳥です。真っ黒な見た目から「不吉」なイメージを持たれやすく、外国では、「魔女の手先」と言われる事もあります。そんなカラスですが、実は古くから世界中の神話にも登場しています。

日本では、カラスは吉兆を示す鳥とされていました。神武天皇の東征の際には、3本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が松明(たいまつ)を掲げて導いたという神話があります。この言い伝えから、カラスは家紋としても用いられるようになりました。

また、鳥類の中でも極めて知能が高く、人間の顔を覚えたり、言葉を真似するという説もあるほど。社会性を持っており、鳴き声による意思の疎通も行えるとされています。

「カラスの行水」の使い方を例文でチェック

(c)Shutterstock.com

では、実際にどのような時に、「カラスの行水」という言葉を使うのでしょうか? 日常生活でよく用いられる例文を紹介します。

「私の祖父は、“カラスの行水”なので、温泉に行っても楽しむことができない」

上記のように、親しい人に対して使うことは特に問題ありません。しかし、会社の目上の方に直接使ったり、入浴が短いことに理由がある人などには使用することは控えたほうがいいでしょう。

「日頃の疲れを取るためにも、“カラスの行水”をやめて、ゆっくりと湯船につかろう」

仕事などで忙しく過ごしていると、気がつけば毎日シャワーで済ませていたという事も珍しくありません。健康を意識して、日頃の習慣を見直してみても良いかもしれませんね。

「お風呂嫌いの娘は、“カラスの行水”なため、しっかりと体を洗っているのか心配だ」

子供がすぐにお風呂から出てしまう、という場合にもよく使われます。確かに入浴時間が短すぎると、親心としては心配になるものです。

「父の入浴は、“カラスの行水”で、いつも十分もあれば風呂場から出てくる」

「カラスの行水」は、「入浴時間が短い」という意味の他に、「きちんと体を洗っていない」というようなニュアンスを含む言葉です。そのため、相手によっては、言われると不快に感じるケースも考えられます。使う相手や状況を考慮してから使用しましょう。

「カラスの行水」の類語・対義語にはどのようなものがある?

(c)Shutterstock.com

ひと風呂(ひとふろ・ひとっぷろ)

お風呂に一回入ることや、さっと入浴を済ませることを表します。「カラスの行水」が、人から言われることが多い言葉であるのに対して、「ひと風呂」は、自分から言うことが多い言葉です。

例文:「今のうちに、“ひと風呂”浴びてくるよ」「父は晩酌の前に、“ひと風呂”浴びることが毎日の習慣だ」

腰抜け風呂

入浴時間が長いことをあざける時に使う言葉です。お風呂で腰が抜けて、湯船で立ち上がれなくなっているのではないかと心配するほど、長風呂である時に使用されることが多いようです。

例文:「嫁は“腰抜け風呂”なので、できれば先に入りたい」「姉妹なのに、私は“カラスの行水”、妹は“腰抜け風呂”なので、真逆である」

垢も身の内

こちらも、長風呂の人を冷やかす時に使われる言葉です。「垢も体の一部分だから、長風呂して無理に汚れを落とす必要はないよ」という意味が含まれています。「腰抜け風呂」よりは柔らかい表現ですが、やはり人から言われて嬉しい言葉ではありませんよね。

ちなみに、「腹も身の内」ということわざの意味を、もじったことから生まれた言葉です。「腹もからだの一部であるから、大切にして、暴飲暴食は慎むべきであるということ」という意味があります。

例文:「“垢も身の内”と言われたので、長くお湯に浸かることをやめた」「“垢も身の内”という言葉を言い訳に、兄は毎日お風呂に入らない」

使用シーンには注意も

今回は、「カラスの行水」の意味や使い方、類語・対義語などを紹介しました。「カラスの行水」は、入浴時間が短いことを表す言葉。人によっては揶揄されていると捉える人もいるので、使うシーンには注意が必要です。また、この機会に入浴に関することわざを合わせて覚えてみると、表現の幅が広がります。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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