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2024.09.11

知っておきたい「紅葉」の種類とは? 色が変わる理由は? 特徴・見分け方・育て方などまとめ

「紅葉」は、冬の直前にハッとするような鮮やかな色彩で私たちを楽しませてくれますが、一体きれいな「紅葉」の条件とは何なのでしょうか。また、お家で「紅葉」を楽しむにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、「紅葉」の種類や見分け方、育て方などについて紹介していきます。

秋になると私たちの目を楽しませてくれるのが、山々や公園を鮮やかに彩る紅葉。「紅葉」の花ことばには、「大切な思い出」「美しい変化」などがあります。秋の終わりから冬までのほんの束の間を楽しませてくれる、「紅葉」にふさわしい花ことばですね。

「紅葉」の語源・読み方

(c)Shutterstock.com

「もみじ」の語源は?

語源は「もみづ」という言葉だと言われています。反物を染めるために植物から色素を抽出する際に、色が水に染み出す様子を表す言葉です。

「紅葉」って「もみじ」? それとも「こうよう」?

「紅葉」は「こうよう」とも「もみじ」とも読みます。実は「もみじ」は紅葉する樹木全般を指す総称で、私たちが、「もみじ」と聞いてすぐに頭に思い描く、手のひらのような形をした小さな葉の木だけが「もみじ」ではないんです!

「イロハモミジ」などは、品種を表す固有名詞なのでそれ自体を指しますが、「もみじ」とひと言で言った場合には、種類全体を指すと覚えておくとよさそうです。

「紅葉」を見に行くことを「紅葉狩り」と呼ぶ由来

「紅葉狩り」の「狩り」とは、「狩猟」の「狩り」ではなく、自然を愛でる、鑑賞するという意味の「狩り」なのだそう。たしかに、紅葉を見に行って「紅葉」の葉を取ってきたりはしませんよね。遠くから山を見ているだけでも、十分秋を楽しめます。

「紅葉(もみじ)」の種類


(c)Shutterstock.com

もっとも代表的な「紅葉」:イロハモミジ

いちばんよく目にする「紅葉」でしょう。太平洋側の暖かい地域が発祥で、葉の長さは6cmほど。5〜7つに切れているのが特徴です。和風の庭園には欠かせない種類で、秋には真っ赤に染まります。葉は薄く、光を通しやすいので木漏れ日もきれいです。

イロハモミジより少し大きい:ヤマモミジ

こちらもイロハモミジ同様、よく見かける種類です。葉はイロハモミジと同じく5〜7つに切れていますが、大きさがイロハモミジより若干大きいのが特徴です。こちらも秋には赤く染まります。

イロハモミジの変種:オオモミジ

イロハモミジの変種で、イロハモミジよりも葉が大きく、約10cmもあります。赤く染まった大きな葉が、秋風に揺れる様子にはとても風情がありますね。

葉の色が変わる原理と条件

(c)Shutterstock.com

なぜ色が変わるの?

紅葉するのは「紅葉(もみじ)」だけでなく、カエデやイチョウなどもありますね。これらの葉は夏の間はすべて緑色。なぜ、秋になると色が変わるのでしょうか。

植物の葉は普段、光合成をしています。光合成とは、空気中の二酸化炭素と水、光を使って養分と酸素を作ることですね。このときに光を効率よく吸収するために、葉緑素という色素が働いています。この葉緑素が、光の3原色である赤・青・緑のうち、主に赤と青の光を吸収して、緑の光を反射するため、植物は緑に見えるのです。

秋になり気温が低くなると、光合成のスピードが遅くなり日光が得られる時間が減ることで、光合成によって作り出せる養分が減ります。植物はさまざまな冬支度を始めますが、そのなかのひとつとして、葉緑素を分解して養分とするのです。

葉緑素が減少すると、もともと葉にあった色素が目立ってきます。多くの葉には黄色や赤に見えるカロテノイドが含まれていることから、気温が低くなる秋に葉の色が変化するというわけです。

さらに「紅葉」の場合、葉緑素が分解される際に、アントシアニンという物質が作られています。聞いたことがありますよね? ワインやブルーベリーなどに含まれる色素です。「紅葉」が赤く染まるのは、このアントシアニンのおかげです。

きれいな「紅葉」の3つの条件とは?

一般的に、紅葉が美しくなる条件には、「昼間と夜の気温差が大きいこと」「直射日光がよく当たること」「適度な湿気があること」の3つが挙げられます。

年によって秋の冷え込みはまちまちですが、夜になると急に冷え込んだり、明け方に一気に気温が下がる年には、きれいな紅葉が期待できそうです。また、適度な湿気がないと、せっかく色づいた葉がチリチリになって落ちてしまいます。みずみずしい紅葉には、適度な湿気が必要なのですね。

「紅葉」の天ぷらって知ってる?

愛でるのが中心の「紅葉」ですが、食べる楽しみもあるのを知っていますか? 大阪の箕面市や京都の高雄などでは、「紅葉の天ぷら」が販売されています。「え? 葉っぱを揚げておいしいの?」と思うかもしれませんが、実際はとても柔らかな葉でクセもなく、おいしいのだそうです。

大阪の箕面市の「紅葉」の天ぷらは、食用カエデを使っているそうで、その種類は「一行寺楓」というそうです。肉厚で切れ込みも浅く、天ぷらに適しているといわれるので、もし身近に「一行寺楓」があれば、試してもみてもいいかもしれません。ただし、食べられるのは落ちる前の葉。落ちたものや、種類がわからないものなどはやめておいてくださいね。

家で「紅葉」を楽しみたいときは?

(c)Shutterstock.com

自宅で紅葉を楽しみたいという人は、盆栽はどうでしょう。「デショウジョウ」は、深い切れ目と葉の小ささが特徴。可憐で美しい見た目に、目が離せません。

実際に木を植えるスペースがあるなら、太平洋側ならイロハモミジ系やオオモミジ系を、日本海側の場合にはヤマモミジ系の中から選ぶといいですね。イロハモミジ系なら「ベニシチヘンゲ」はどうでしょう。最初は鮮やかな赤色ですが、次第に葉の周りがピンク色になり、紅葉が終わると淡い黄緑色になります。見ていて飽きない種類なのでおすすめです。

「紅葉」は種類も豊富で比較的丈夫なので、家庭でも育てやすい木だといえます。注意点としては、乾燥に弱いということ。常に土を湿らせておくことが大切です。地面に植える場合には、大きくなった時の大きさに合わせてスペースを確保してください。

剪定をする際は、葉が落ちた後の11月〜12月ごろに。剪定は植物にとって、とても負担の大きいことですので、剪定の時期には特に注意が必要です。ですが、きれいな紅葉のためには、風通しの良さも重要です。夏になると葉が繁って混み合ってしまうので、夏の間に風通しがいいように少し剪定をしておく場合もあります。

最後に

冬の直前に、ハッとするような鮮やかな色彩で私たちを楽しませてくれる「紅葉」ですが、先程説明したアントシアニンをつくる理由などは、まだはっきりと解明されていません。植物の不思議な営みによって、私たちが四季を楽しめるのは本当にありがたいことですね。今年は、近くの木々の変化をじっくりと楽しんでみましょう。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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