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「自暴自棄」の意味
「自暴自棄」になるきっかけにはどんなものがあるのでしょうか。なりやすい人はいるのでしょうか。考えてみましょう。
「自暴自棄」の意味
自暴自棄:[名・形動]《「孟子」離婁上の「自ら暴(そこな)う者は、ともに言(かた)ること有るべからず。自ら棄つる者は、ともに為すこと有るべからず」から》不満や失望などが原因で、やけになって自分の身を粗末に扱うこと。また、そのさま。「事業に失敗して―に陥る」
(小学館 デジタル大辞泉より)
上記意味にあるように「自暴自棄」とは、やけくそになることです。身のまわりすべてに失望し、自ら自分をダメにしてしまうのです。「自暴」は無茶をして自分の体を損なうこと、「自棄」は自分自身を捨ててしまうこと。このふたつが組み合わさっていることからも、その意味がよくわかるかと思います。
「自暴自棄」になる原因
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「自暴自棄」になる原因として考えられるシチュエーションをいくつか挙げてみましょう。
失恋をしてしまったとき
「長年付き合ってきて、さらには結婚の相談もしていた彼に突然振られた」とか、「ずっと片想いしてきた人に思い切って告白したけれど、あっさり振られてしまった」など、大きく落ち込むような失恋をしたとき、「自暴自棄」になってしまうことが。
がんばっても何ひとつ報われないと感じたとき
仕事で一生懸命に頑張ってきたのに一切評価されない、急にリストラされてしまったというような状況の場合に「自暴自棄」になることが。文字通りやけになって、希望を持てなくなってしまうからです。
信じていた人に裏切られたとき
信じていた夫や友人などに裏切られたとき、人は「自暴自棄」になりやすいもの。何を信じていいかわからなくなり、すべてがどうでもよくなってしまうということが。
劣悪な家庭環境により
親が不甲斐なく、自分のことを全く考えてくれていない… と感じたとき、子どもが「自暴自棄」になることも。必要とされていると感じられないと、人は自分の価値がわからなくなってしまいます。
「自暴自棄」になりやすい人の特徴とは?
「自暴自棄」になりやすい心理的な特徴はあるのでしょうか。いくつか考えられることを挙げてみます。
欲求不満である
欲求が満たされていないことが考えられます。「満たされない」という気持ちが積もり積もって爆発し、反動で「自暴自棄」に陥ってしまうのかもしれません。
寂しい
一方で、すべてにおいて「満たされている」と感じている人はいません。たとえ「満たされない」と感じていることがあったとしても、誰かに必要とされていたり、仕事でなくてはならないと思われていたりすると、「自暴自棄」になっている場合ではありません。人に必要とされていないと感じ、そのことが寂しいと思っている場合に「自暴自棄」になってしまうのです。
忍耐力がない
「自暴自棄」に陥りやすい人は、我慢ができない傾向があります。同じ状況にあっても、静かにじっと耐えて状況が好転するのを待てる人もいるはずです。「自暴自棄」な行動を取る人は、じっと耐えることが苦手な人が多いといえそうです。
お酒に頼りがち
ストレス解消にお酒を飲む人は要注意です。アルコールは脳の中で行動を抑制する働きを鈍らせると言われており、普段よりもオーバーな行動に出やすくなってしまうのです。なので、ちょっと滅入っているだけなのに、お酒を飲んでしまったばかりに、絶望的な気分になってしまうことがあるのです。
「自暴自棄」な状態から立ち直る方法とは?
では、もし「自暴自棄」になってしまいそうだと感じたら、どうしたらいいのでしょうか。
冷静になる
まずは、場所を変えて深呼吸。冷静になりましょう。「自暴自棄」になっても、解決することは絶対にありませんし、むしろ状況は悪化します。やけになりそうなときは、その場を離れてみたり大きく深呼吸をしたりして冷静になる努力をしましょう。
ほかのことに目を向ける
やけになるほどひどい状況なのですから、急に状況が良くなることも考えにくいもの。そんなときは、まったく違うことをしてみるのも一つの手。たとえば、失恋をしたのなら、疲れて寝てしまうまで運動をしてみるとか、凝った料理に取り組んでみるなど、どんなことでもいいので気持ちを違う方向に向けてみましょう。
視点を変える
冷静になり、気持ちを一旦反らすことができたら、問題に立ち向かいましょう。そのときに大切にしたいのが「視点を変えること」です。信用していた人に裏切られていたことを知ったとしたら、「悔しい」「なんで気がつかなかったんだろう…」と悔やむのではなく、「今、気づいてよかった」などと視点を変えてみるのです。
人に話す
信頼できる人に話を聞いてもらうことも有効です。人に話すだけでも、頭の中が自然と整理されますし、自分では思いつかないような考え方を提案してもらえるかもしれません。
ゆっくり休む
頭の中が整理されてきたら、一度ゆっくり休みましょう。最初に休めるようならそれもいいのですが、「自暴自棄」になりそうなときは往々にしてじっとできないものです。あれこれ考えずに、一旦頭の中を空っぽにしてゆっくり休むことで、鋭気も養われるでしょう。
「自暴自棄」になっている人へかけたい言葉や接し方
逆に、身のまわりに「自暴自棄」になっている人がいる場合には、どんな風に接したらいいのでしょうか。相手を刺激しないよう接し方には注意が必要です。
優しくする
「自暴自棄」になっている人には、とにかく優しく接しましょう。本人のためにと助言や忠告をしても聞く耳を持たないばかりか、「火に油」ということにもなりかねません。相手の言うことに耳を傾け、落ち着くまでは「そうだね」「辛かったね」と同調してあげましょう。
そばにいてあげる
「自暴自棄」になっている人がいる場合、ひとりにするよりは、一緒にいてあげるほうが早く落ち着きを取り戻します。明るく、いつも通りの調子で、さりげなくそばにいてあげましょう。
必要としていることを伝える
「やっぱり、あなたじゃなきゃだめね」「あなたがいてくれて本当によかった」と、相手がいてくれてよかったという気持ちを伝えてあげましょう。
無理をせず自分を追い込みすぎないで
「自暴自棄」に陥りそうになったときは、無理に頑張ったりしないようにしましょう。体の傷と同じように、心が傷ついているときにはそれが癒えるまで待つか、なんらかの手当をしたほうがいいのです。無理をすると、余計に辛くなってしまいます。自分を追い込みすぎないようにしてください。
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