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守銭奴の意味、語源
「守銭奴」と聞いて、あなたはどのようなイメージを抱きますか? 具体的に「あの人」でしょうか、お金に意地汚い感じでしょうか、それとも貯蓄をしっかりしているイメージでしょうか?
今の時代、「守銭奴」であることは損でしょうか、それとも得でしょうか? はたまた周囲からはどのように受け止められるのでしょうか? その特徴や深層心理を挙げていきますので、あなた自身のことや周囲の気になる人のことをチェックしてみてください。
◆守銭奴の意味
「守銭奴」(しゅせんど)とは、「お金をため込むことに異常な執着を持つ人」、「貪欲でありけちな人」のことを指します。「銭を守る奴」と書く、漢字通りの意味ですね。
「守銭奴」という言葉は、いい意味として使われることはありません。ですから、無駄遣いをせずにお金を貯めている人を肯定的に表現したい場合には、「倹約家」と表すのがいいでしょう。
はたして、「守銭奴」と「けち」の違いはわかりますか? 「けち」な人とは、金品を惜しむ人のこと。お金を使うことは嫌いという共通点はありますが、お金をため込むことへの執着があるのは、守銭奴のほう。この点が大きく異なります。
◆守銭奴の語源
守銭奴の語源となったのは、1668年に初演が行われた、モリエール原作の戯曲「守銭奴」(原題L’Avare)だと言われています。この作品の主人公が、まさしく金銭欲に取り憑かれた人物でした。このことから、お金に異常な執着を持つ人のことを「守銭奴」というようになったと言われています。
守銭奴認定される人の10の特徴的な行動
「守銭奴」の言葉が分かったところで、「守銭奴」とは具体的にどのような特徴を持っている人なのかを探っていきましょう。自分や周囲の気になる人に当てはまるかどうかも、あわせてチェックしてみてくださいね。
お金を貯めることに快感を覚える
守銭奴は、お金に執着をする人のことです。それゆえ、自身がお金を持っている・持っていないにかかわらず、お金を貯めていくことに大きな喜びを感じる傾向に。増えていく貯金残高やポイント残高を見るのも好き。
損得感情が強い
守銭奴の判断基準の大きな柱は「お金」。お金を軸に、損得を測ってしまいがち。そのため、お金を出す場合、出した以上の価値を求めるけ傾向に。恋人を作ることや、子どもを作ることに対しても、「お金」が先に立つため、慎重な人が多かったりします。
「無料」とおごられることが大好き
守銭奴は「無料」という言葉に、非常に敏感です。ですから、お得なアプリやクーポンなどは上手に使いこなしますよ。「自分がもしお金を出していたとしたら、どれくらいの費用が発生したか」ということを反芻して、喜びを噛み締めたり。
同様に、経費で落ちる飲み会やおごられるのは大好き。自身で支払うときには頼まないような高価なメニューを、ここぞとばかりに注文する傾向にあります。
おごることは大嫌い、1円単位で割り勘
おごられることは大好きでしたが、おごることは大嫌い。例え自分以外、後輩しかいない飲み会だとしても、おごることはをしぶってしまうことも。自分のお金を他人に使うという発想自体が希薄なのです。
また、お金を支払うにしても、1円単位までしっかり計算をして割り勘が基本。例えば飲み会などで割り勘にするとしたら、他の人の飲み食いの量まで事細かにチェックして、できるだけ自分が支払う金額を抑える方向に話を持っていきます。その上で、ちゃっかりお店のポイントは自分のものにしていたりしますよ。
「コト消費」に意味を見いだせない
ブランド品やアクセサリー、車など物の消費を中心とした「モノ消費」から、旅行や習い事、スパなど体験を消費する「コト消費」に消費スタイルは変化したと言われ久しい昨今。しかし、守銭奴の中には、一瞬で終わってしまうかのように見える「コト消費」に大きな価値を見出せない、という人も。物質として残るもの以外のモノ消費には消極的。
誕生日プレゼントや結婚式のご祝儀などを出し渋る
守銭奴は、自分以外の人のためにお金を使うことに強い拒否反応を示します。自分のお金は、自分だけのものだからです。たとえ少額だとしても、誕生日プレゼントやちょっとした訪問先への手土産などにお金を出すのには、抵抗を感じてしまう傾向に。このようなメンタリティーですから、親友や親族の結婚式に出すご祝儀も出し渋りがちです。
最安値で買うことに喜びを感じる
少しでもお金を出したくない守銭奴は、WEBやアプリの知識に精通しています。ですから、ITを駆使して最安値の商品を探すのは大得意。買い物をするなら、「1円でも安く、ポイントのリターンは大きく」が基本です。商品のコストパフォーマンスは気にしますが、デザイン性などは重視しない傾向にあります。
お金の話が大好き
守銭奴の思考の大半はお金に占められているため、当然お金の話には強いアンテナをはっています。不動産投資や株、仮想通貨などお金に関する情報は、素早くキャッチ。自分の貯蓄を増やすことに邁進しています。
人付き合いは悪いが、お金持ちとの付き合いは大切にする
先述したとおり、守銭奴の判断基準は「お金」。そのため、守銭奴にとってお金を持っている人は価値が高く、お金を持っていない人は価値が低い、という思考になりがち。お金持ちの人=価値のある人との付き合いは自分にとって「得」だという判断が働くため、非常に積極的です。反対に、お金のない人に対しては、冷淡な傾向にあります。
お金に関しては、親友や家族相手でもシビア
親友や恋人、家族がお金に困ったときに「お金を貸してほしい」と懇願されたとしても、基本的に守銭奴が貸すことはあまりありません。貸すとしたら、高利貸し並の利息を相手に要求してしまったり…。さらに、お金を確実に返してもらうために、契約書もしくは覚書などへの署名を求めることでしょう… 。
守銭奴の深層心理3つ
守銭奴な人の心のうちはいったい、どうなっているのでしょうか? 「守銭奴」というわかりやすい面が表に出てきているだけで、心の奥底には大きな原因があるのかもしれませんよ。自分がそういう要素を持っていないかどうか、照らし合わせながら、読み進めてみてください。
幼少期にお金で苦労した経験がある
自分の力ではどうすることもできない、幼少期。そんな時期にお金で苦労していたり、周囲の家庭に比べたときに金銭面で劣等感を持っていると、お金に対する執着が強くなる傾向があります。
「お金がすべて」という価値観
物語の悪役のセリフではないですが、「世の中、お金。お金さえあれば、なんでも思い通りになる」と本気で思っている節があります。すべての判断基準は「お金」です。
将来への不安が大きい
守銭奴は、若いうちから本気で老後資金の心配をするなど、自分の将来に対して強い不安を持っています。ですから、いつだって「何かあったときのために」と貯蓄する執着から離れられません。
守銭奴だと気づいたときの改善策3つ
もし、自分が周囲から「守銭奴」だと思われることを不本意だと感じるなら、下記にご紹介する3つの方法を試してみてはいかがでしょうか?
お金について考える時間を減らす
気づくと、お金のことばかり考えていませんか? まずは、自分がお金に執着しすぎていることを認識しましょう。守銭奴な人は「お金」が趣味みたいなものでしょうから、考える時間をなくすことは難しいでしょう。しかし、例えば貯金残高を見るのは1日1回にするとか、割り勘の端数はおごってみるとか、少しずつお金に対する執着を外してみてはいかがでしょうか?
お金を一つのツールと捉え、貯金する目的を明確にする
この社会の中で、お金はあくまでもツール。生きていくために必要なものではありますが、それ以上でもそれ以下でもありません。貯金をすることを目的とするのではなく、貯金をして何をしたいかをはっきりさせると、人生の幅が広がるかもしれませんよ。
将来への不安をなくす
将来への不安は、お金がすべて解決してくれますか? 老後資金の問題は貯蓄をしていたら、解決してくれるかもしれません。ですが、孤独についてはどうでしょう? 昨今頻繁に起きる災害が起きたときに、助けてくれる人はいますか? 生きがいは?
お金を貯めても貯めても不安感がなくならないのは、深層心理で「お金」だけでは不足していることをわかっているからかもしれませんよ。
生きていくには、お金の柱とともに、人間関係の柱、仕事を通した社会性の柱など様々な支えが必要です。そうした支えを増やしていけば、将来への漠然とした不安は自ずと小さくなっていくのではないでしょうか。
守銭奴の類義語と対義語
「守銭奴」の類義語と対義語を知ることで、守銭奴という言葉の理解も深まりますよ。
類義語:「金の亡者」「銭ゲバ」
「金の亡者」とは金銭欲に取り憑かれている人のこと。
「銭ゲバ」の「銭」はお金のことですね。「ゲバ」はドイツ語の「ゲバルト」(gewalt)の略語で、武力闘争を意味します。つまり、「銭ゲバ」はお金のためならなんでもする人のことを指します。ジョージ秋山の漫画作品『銭ゲバ』(1970年)が発表されて以来、使われるようになりました。
対義語:「浪費家」
「守銭奴」の明確な対義語は存在しませんが、「お金を無駄遣いする人」という意味で「浪費家」が挙げられるでしょう。
守銭奴なキャラクター
守銭奴なキャラクターというと誰を思い浮かべるでしょうか?『クリスマス・キャロル』のスクルージや『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉が挙げられますね。最近では、「守銭奴」がタイトルにも入っている『守銭奴騎士が俺を泣かせようとしています』のアドヴァルドもいます。
最後に
あなたや周囲の気になる人が、守銭奴かどうかチェックできたでしょうか?
守銭奴はお金を貯められるかもしれません。しかし、お金に執着をし過ぎるばかりに、いつの間にか周囲から嫌厭されて、気付いたらお金しかなかったということもあるかもしれませんね。
お金はツール。ツールは上手に使ってこそ、生きるものです。自分にとっての豊かさとは何かということを、守銭奴という言葉を通して、改めて考えるきっかけになれば幸いです。
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