識者からの意見は?
したくなくなるのは自然なことだけど一度もしないのはリスキー(小島慶子さん)
私にとってセックスは「相手のことを知りたい」という気持ちの延長線上にあるもの。ふだんは見られない、本性が現れやすい行為だから。ただし「ずっとし続けるのが正しい」風潮には疑問があります。
こじまけいこ●元TBSアナウンサー。現在は家族の住むオーストラリアと日本を往復しながら執筆活動やメディア出演を続けている。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。
愛情とセックスは必ずしも一致しない(森林原人さん)
同じ相手に欲情し続けるのは、男女とも至難の業。挿入せずに心で通じ合うセックスもあれば、肉体の快楽を満たすものもある。行為自体に意味があるとは限らないし、セックスのない幸せもあるんです。
もりばやしげんじん●筑波大学附属駒場高校を卒業。専修大学中退後、性欲の強さが高じてAV男優に。『イケるセックス』(扶桑社)など著書多数。オンラインサロンも開設。
今はしたくなくても、将来したくなる可能性があります(三松真由美さん)
日々忙しい30代は、性へ意識が向かない時期。でも女性の性欲は40代にピークを迎えるなど波があります。「しなくていい」と考えていてもいいけれど、いつでもスイッチを入れられるよう備えておいて。
みまつまゆみ●マーケティング会社運営後、’03年、悩める夫婦を支える「恋人・夫婦仲相談所」を開設。著書に『抱かない男の見分け方』(二松まゆみ名義、スターツ出版)など。
折り合いがついているなら無理にすることはない(小堀善友さん)
男女の性欲が違うのは当然。結局は、お互いの言い分や欲求をすり合わせて、折り合う方法や頻度を探すしかありません。その結果が「しない」でも、お互いが納得しているなら問題ないですよ。
こぼりよしとも●獨協医科大学埼玉医療センター勤務。射精障害など男性不妊を専門とする。著書に『泌尿器科医が教える オトコの「性」活習慣病』(中央公論新社)など。
■私たちが考えました!
「したい派」既婚エディターA(40歳)
出産を機に夫と寝室を分けたことでレス気味になって早8年。これまで数回、第2子を考えて復活を試みたが、最近はあきらめモード。
「しなくていい派」独身エディターM(37歳)
年下の彼と交際4年目。セックスは1〜2か月に1度と交際当初よりぐっと減ったが、仲がいいこともあり特に不満はなし。Aの後輩。
エディターM(以下M) 今回の取材で何が印象に残りました? 小堀先生をはじめ、識者4人は全員「お互いにしなくていいならセックスレスは〝全然あり〟」と言っていましたね。
エディターA(以下A) 森林さんの「同じ相手にずっと欲情し続けられるのは、1000組に3組しかいない特殊能力だ」という言葉は、レス気味な私にとっても救いになった(笑)。でも同時に、「パートナーと信頼関係を築くために、一度はガッツリ向き合ったほうがいいし、避けては通れないものだ」という小島さんや三松さんの指摘にはギクッとしたな。
M 確かに「私にとってセックスとは?」って考えたり、彼と話したりは、なかなかしないですよね。たとえば彼が「したくない」となったとき、その理由を突き詰めると自分が傷つきそうで怖いし。モヤモヤしつつも「そのうちなんとかなるんじゃないか」って結婚して、子供が欲しくなってもやっぱりレスは解消できなくて不妊治療に通っている、なんてケースも聞きました。
A 問題を先送りにしている人も多いのかも。ちなみに、男性のほうが〝草食化〟は進んでいるってね。ネットでAVが見られるようになって、リアルの女性とセックスしなくても満足できちゃうから。
M リアルな女性を誘って断られたり、他の男性と比較されるのを恐れて、セックスしないことで自分のプライドを守ってるみたいですよ。本音のコミュニケーションをとるのが怖くて避けてしまうのは男女共通かも。私も彼とのセックスはだいぶ減ったけど「仕事が忙しいしないほうがラクでいっか」と自己完結してる。彼がどう思ってるかは知りません(苦笑)。
A 私は今は、一緒に寝ている子供のぬくもりで満たされているような気がするけど、それもあと数年…。途端にすごく人肌恋しくなったらどうしよう(笑)。
M 「したくなったときのための備え」ができていない典型じゃないですか。そういえば、三松さんが取材時に言っていた「相手に触れず何十年も過ごすと、介護するとき、嫌悪感が先にたって苦労する」という指摘は衝撃的でした。
A セックスレスが老後に影響するとは思わなかった。せめてスキンシップくらいはしておこうと思ったよ(笑)。
M 肌に触れるだけでも愛情は感じますしね。「愛情=セックス=挿入」だけが正解というのは、ただの思い込み。
A カップルの数だけセックスの数もある。本当に個人的で繊細なことだからこそ、まずは自分がセックスに何を求めているのか、考えようと思ったよ。
M その結果、「今はしなくていい」でもいいわけですしね。そうすれば、パートナーとどう関係を築いたらいいかも見えてきそうです。
2018年2月号「あなたは、セックスレス?」より。
構成/酒井亜希子・佐々木 恵・平澤奈々恵(スタッフ・オン)
再構成:Oggi.jp編集部
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