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そもそも「ささやかですが」の意味とは?
「ささやかですが」は、なにげなく使われる機会が多い言葉ですが、ここには日本ならではの価値観が込められています。
簡単にいえば「ささやかですが」は「大したものではありませんが」という意味を持つクッション表現。
「ささやか」には、“小さい”“わずか”“控えめ”などの意味があります。
なお、辞書で意味を調べると、次のように書かれています。
ささ‐やか【▽細やか】
出典:デジタル大辞泉/小学館
1 形や規模があまり大げさでなく、控えめなさま。「細やかな商売をはじめる」「細やかに暮らす」
2 形ばかりで粗末なさま。わずかなさま。多く、謙遜して用いる。「細やかな送別会」「細やかな贈り物」
ただし、実務で使われるときには必ずしも「安いもの」「価値が低いもの」という意味ではありません。
日本には自分から渡すものを控えめに表現することを通じて相手への敬意を示す文化があり「ささやかですが」は品物そのものを低く評価するわけではなく、自分がへりくだることで相手を立てる敬語表現として用いられています。
【例文あり】「ささやかですが」がよく使われるシーン

「ささやかですが」は、実務上さまざまな場面で使われています。
代表的なシチュエーションをチェックしておきましょう。
♦︎手土産を渡すとき
もっとも代表的な場面のひとつが、手土産を渡すシーン。
仮に高価な菓子折りであっても、このひと言を添えることで押しつけがましさがなくなりますので、相手も気兼ねなく受け取りやすくなるでしょう。
<例文>
「ささやかですが、お召し上がりください」
♦︎お礼の品を贈るとき
お世話になった相手にお礼を渡すときにも、よく使われています。
贈り物の値段に関係なく「感謝の気持ちを十分に込めています」という控えめなニュアンスを伝えやすいフレーズです。
<例文>
「日頃の感謝の気持ちを込めて、ささやかですがお贈りします」
♦︎退職・異動・送別の場面
異動や転勤、退職や育休前後などの挨拶をするシーンでは、菓子折りなどを配る際にこのフレーズが使われがちです。
控えめながらも、温かみを感じさせる言葉として使いやすい表現です。
<例文>
「皆さまには大変お世話になりました。
ささやかですが、お菓子を用意しましたので召し上がっていただければ幸いです」
「ささやかですが」を使うときの注意点

「ささやかですが」はとても便利な表現ですが、どんな場面でも万能というわけではありません。
Oggi世代が特に気をつけておきたい点を整理します。
♦︎注意点:高級品を贈るときに、何度も「ささやか」と言わない
たとえば、明らかに高級なワインやブランド品を渡しながら「本当にささやかなのですが…」などと何度も繰り返すのは、かえって不自然です。
謙遜をするのは悪いことではありませんが、過剰になった時点でわざとらしさを醸し“マウント”とも受け取られかねず、むしろ印象が悪くなる傾向にあります。
♦︎注意点:品物がない場面では用いない
「ささやかですが」は、基本的に実際に贈る品物が存在する場面で使う言葉です。
そのため「ささやかですが、感謝申し上げます」や「ささやかですが、報告いたします」のように“物”がないのに使うのはNGです。
【疑問】「つまらないものですが」と同じ意味? 違いはある?
ところで「ささやかですが」によく似たニュアンスとして使われている言葉に「つまらないものですが」があります。
実は、昔は「つまらないものですが」が、広く一般的に使われていました。
しかし現在では「つまらないものを渡すの?」と言葉通りに受け取る人も少なくないことから、失礼な言い回しと捉える風潮もあり、ほとんど見聞きしなくなっています。
「ささやかですが」の言い換え表現

「ささやかですが」は使いやすい言葉ではありますが、状況によっては別の言い回しのほうが自然に聞こえる場合もあります。
使いやすい言い換え表現を整理しておきましょう。
♦︎「心ばかりですが」
「ささやかですが」に近いニュアンスの表現です。
品物の内容よりも、贈る“気持ち”を強調したいときに用いやすいでしょう。
♦︎「お口に合えば幸いです」
食品を渡すときに、よく使われている言い回しです。
押し付けがましさを感じさせにくく、やわらかい印象を与えるフレーズです。
♦︎「お納めいただければ幸いです」
フォーマルな場面で好まれている言葉です。
取引先や目上の人にも適していて、食品に限らず用いることができます。
♦︎「ほんの気持ちですが」
ややカジュアルな言い回しなので、親しい相手にも使いやすい表現です。
ビジネスシーンでも、普段からカジュアルな間柄であれば違和感がありません。
【実例】謙遜しすぎて大失態!? アラサー世代がやりがちなNGって?

ところで、筆者の部下だったとある女性(仮にEさんとしましょう)は、取引先への手土産を渡すときに謙遜しすぎて、違和感を生じさせてしまったことがありました。
そのときのエピソードを紹介しましょう。
Eさんは、人前に出るととても緊張してしまうタイプで、取引先に手土産を渡すときには「大したものではありませんが…」「本当にささやかですが…」などと、過剰に繰り返していました。
すると、大抵の場合に相手はだんだんと困惑したような表情になってしまい、場が気まずい雰囲気に…。
かえって相手が気を遣っているようなシーンも少なくありませんでした。
そこで筆者が「そんなに恐縮しちゃうと、かえって相手が気を遣ってしまうよ」と軽く指摘をしてみたところ、Eさんも心当たりがあったようで「確かに必要以上にへりくだるのは、よくないですよね。わかってはいるのですが、ついクセで…」と共感をしてくれました。
それ以降、Eさんは「ささやかですが、皆さまで召し上がってください」と意識的にひと言だけで済ませるようになり、短くても気持ちを伝えられるコミュニケーションができるようになったと喜んでいました。
自分でも「ちょっとやりすぎかな」と思っていても、ついクセが抜けないこともありますよね。
「ささやかですが」は便利な言葉ですが、過剰に使いすぎないよう心得ておきましょう◎。
「ささやかですが」にまつわる疑問を解決♡

「ささやかですが」に関連する疑問に、専門家がアンサー!
ワンポイントで解説します。
♦︎Q1.「ささやかですが」は目上の人にも使えますか?
A1. 謙遜表現ですので、使って問題ありません。
「ささやかですが」は謙遜表現なので、上司や取引先、お客様にも問題なく使用できます。
♦︎Q2.「心ばかりですが」との違いは?
A2. 似た表現ですが、ややニュアンスが異なります。
どちらも、贈り物に添える表現である点は同じ。
「心ばかりですが」は感謝や気持ちをより強調し「ささやかですが」には品物を控えめに表現するニュアンスがあります。
♦︎Q3. メールで使ってもいいですか?
A3. 実際に品物を贈る場合には使えます。
メールでも、実際に品物や贈答品を送る場合であれば使えます。
品物がないメールでは不自然な表現になるため、別の言葉を選びましょう。
♦︎Q4.「つまらないものですが」はもう使わないほうがいいですよね?
A4. 厳密には間違いではないけれど…。
厳密には“間違い”ではありませんが、「品物を否定している」と受け取られる可能性も低くありません。
ビジネスシーンでは「ささやかですが」や「心ばかりですが」のほうが、現代の感覚に合った表現といえるでしょう。
「ささやかですが」は思いを込めるフレーズ
「ささやかですが」は「大したものではありませんが、お受け取りください」という謙遜と気遣いを表す日本らしい表現。このフレーズには、贈り物の価値を下げるのではなく「品物以上に、感謝やお祝いの気持ちを受け取ってほしい」という思いを伝える意味が込められています。
ビジネスでは、手土産やお礼、退職・異動時の贈り物などの幅広い場面で活用できます。
ただし、使いすぎると不自然になったり場面によっては不適切になったりするので、適切な使い方を心がけて。
「ささやかですが」を上手に取り入れながら、心の伝わるコミュニケーションを心がけていきましょう◎。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



