「筆舌に尽くし難い」の意味と読み方
「筆舌に尽くし難い(ひつぜつにつくしがたい)」とは、文章や言葉では、とても表現しきれないほどの状況や感情を表す言葉です。
「筆」は文章を書くこと、「舌」は話すことを指し、それらを尽くしても足りない状態を意味します。
おもに、深い感動や悲しみ、衝撃など、人の心を大きく揺さぶる場面に適した表現です。「筆舌に尽くし難い」を使うことで、出来事の大きさや感情の深さを言い表せます。
やや改まった印象があるものの、その場の状況や感じた思いが、より印象的に伝わる言葉といえるでしょう。
筆舌に尽くし難・い
出典:小学館 デジタル大辞泉
あまりにはなはだしくて、文章や言葉ではとても表現できない。「この無念さは―・い」
「筆舌に尽くし難い」の使い方
「筆舌に尽くし難い」は、感動的な場面だけでなく、悲惨な出来事や大きな苦難を表す際にも使用できます。よい出来事にも、悪い出来事にも使える点が大きな特徴です。
以下のように、状況の重大さや感情の深さを伝えたい場面で活用してください。
・長年の努力が実った瞬間の喜びは、筆舌に尽くし難いものがあった
・その壮大な景色は、筆舌に尽くし難い美しさだった
・闘病生活を支えてくれた家族への感謝は、筆舌に尽くし難い
・戦争の悲惨さは、筆舌に尽くし難いものがある
・彼女が経験した苦労は、筆舌に尽くし難いほど大きなものだった

「筆舌に尽くし難い」の類義語や言い換え表現
「筆舌に尽くし難い」には、以下のような類義語や言い換え表現が挙げられます。
・得も言われぬ
・言語に絶する
・桁外れ
・此の上無い
・すこぶる
どれも「言葉では表現しきれないほどの状態」を表す点は同じといえます。ただし、使う場面やニュアンスには細かな違いも。
ここでは、それぞれの意味と使用例、「筆舌に尽くし難い」との違いなどを確認していきましょう。
「得も言われぬ」
「得も言われぬ(えもいわれぬ)」は、言葉ではうまく言い表せないほど素晴らしい様子を表す言葉です。おもに、美しさや感動を伝える場面で用いられます。
言葉で表現できない状態を示す点は「筆舌に尽くし難い」と同様です。ただし、悲しみやショックを表す場面にはあまり使われません。
「得も言われぬ」は、あくまでも美しさや魅力などを強調する言葉であり、何かを褒める場面で使うと押さえておくとよいでましょう。
・山頂から見た景色は、得も言われぬ美しさだった
・彼女の笑顔には、得も言われぬ魅力がある
・春の庭には、得も言われぬ風情が漂っていた
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「言語に絶する」
「言語に絶する(げんごにぜっする)」は、「筆舌に尽くし難い」と同様、言葉では表現できないほどの状況を指す言葉です。非常に強い衝撃や悲惨さ、驚きなどを強調できます。
以下のように「言葉にできないほどすごい」、「想像をはるかに超えている」というニュアンスで使用してください。
・事故現場の状況は、言語に絶するものだった
・山を登り切った先に広がる光景は、実に壮大で言語に絶するものだった
・事件を知ったときの言語に絶する衝撃は、今でも頭から離れない

「桁外れ」
「桁外れ(けたはずれ)」とは、程度や規模が普通の範囲を大きく超えていることです。
数値や能力などが、一般的な水準とは比べものにならないほど大きい様子を表します。
「筆舌に尽くし難い」が感情や状況を指すのに対し「桁外れ」は、価値や規模などに対して用いるという違いがあります。以下のように、金額の規模なども表現できる言葉です。
・彼の桁外れな発想力は、いつも周囲を驚かせている
・その企業は年々業績を伸ばし、今では桁外れの売上を誇るまでに成長した
・夢を達成した彼女の努力量は、周囲と比べて桁外れなものだった
「此の上無い」
「此の上無い(このうえない)」は、とても素晴らしいことや、程度が非常に高いことを表す言葉です。「これ以上は存在しない」と感じるほどの状態を表します。
「筆舌に尽くし難い」と異なるのは、おもに喜びや満足感など、肯定的な感情を表す場面で使われることが多い点です。
「筆舌に尽くし難い悲しみ」と言うことはあっても、「此の上無い悲しみ」と言い表すことは、さほどありません。
以下のように「喜び」や「幸せ」、「光栄」といったポジティブな言葉が後に続くことを押さえておきましょう。
・長年の努力が実を結び、此の上無い喜びを感じています
・長年の夢を実現できたことは、私にとって此の上無い幸せです
・このような場でご挨拶の機会をいただき、此の上無い光栄に存じます
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「すこぶる」
「すこぶる」には、2つの意味があります。1つは「筆舌に尽くし難い」のように、程度が普通の度合いをはるかに超えていることです。この場合、「とても」や「非常に」のようなニュアンスが含まれます。
もう1つは、数量や程度がわずかなことを表す「少し」という意味です。会話やメール文などでは、前後の流れから意味を把握する必要があります。
以下のように「すこぶる満足している」「すこぶる評判がよい」と表現する場合、前者の意味を指すのが一般的です。漢字では「頗る」と書くことも、知識の1つとして覚えておきましょう。
・新商品の売れ行きは、発売当初からすこぶる好調です
・新しいプロジェクトは関係者の協力もあり、すこぶる順調に進んでいる
・新システムの導入により、作業効率がすこぶる向上した
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「筆舌に尽くし難い」や類義語を会話に取り入れよう
「筆舌に尽くし難い」は、言葉では表現しきれないほどの感情や状況を表す言葉です。強い感動や悲しみ、衝撃などを印象的に表現できます。
「得も言われぬ」や「言語に絶する」などの類義語を覚えれば、場面に応じた使い分けが可能です。言葉にできないほどの喜びには「此の上無い」を使うなど、より豊かな表現力が身に付きます。
正しい意味や使用例をふまえ、「筆舌に尽くし難い」や類義語を会話に取り入れていきましょう。
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