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2026.03.26

「過当競争(かとうきょうそう)」は何が問題? いくつかの例からわかりやすく説明

「過当競争(かとうきょうそう)」とは、企業が市場を独占しようとして起こる過剰な競争状態のことです。日本ではしばしば見られる状態ですが、問題視されることも少なくありません。どのような点が問題なのか、いくつか例を挙げて解説します。

過当競争とは? 意味をわかりやすく紹介

「過当競争(かとうきょうそう)」とは、企業間でシェアや顧客を奪い合う中で、利益を度外視した過度な競争が起こっている状態のことです。

たとえば、各企業が市場シェアの拡大を優先するあまり価格を引き下げ合うと、最終的に関連するすべての企業が正常以下の利益しか得られなくなることがあります。

資本主義経済では自由競争が基本ですが、原価や人件費などを無視した過度な競争状態は、どの企業にとっても望ましい結果を生み出さず、経済の混乱を招くリスクがあるといえるでしょう。

かとう‐きょうそう〔クワタウキヤウサウ〕【過当競争】
同業の企業が市場占有率を拡大しようとして起こる過度の競争状態。価格が引き下げられ、正常以下の利潤しか得られない。

出典:小学館 デジタル大辞泉

過当競争の例文

過当競争は、次のように文中で使われます。

・競争原理を無視した過剰な値下げは、過当競争を生む原因になる
・過当競争を仕掛けられた企業だけでなく、仕掛けた企業もいずれは多大なダメージを受けるだろう

過当競争は、基本的にはメリットを生まないため、ネガティブな文脈で使われる傾向にあります。

グラフなどの資料を用いて会議している人々のイラスト
(c)AdobeStock

過当競争の言い換え表現

過当競争は、次の表現で言い換えられることがあります。

・不当廉売(ダンピング)
・シェア争い
・パイの奪い合い(パイの取り合い)

「不当廉売(ふとうれんばい)」とは、正当な理由なしに原価割れをするような過剰に安い価格で商品やサービスを提供すること。「ダンピング」とも呼ばれます。独占禁止法では、不公平な取引方法として禁止されている行為です。

また「シェア争い」とは、業界内の競合企業間で生じるシェアを巡る争いを指します。たとえば、新たなニーズを生み出さず、同じ商品・サービスのままで価格を下げると、他社の類似する商品・サービスの売れ行きに影響を及ぼすことも。限られたニーズ内でシェア争いが起こり、過度の値下げ競争へと発展する可能性が考えられるでしょう。

シェア争いと同じく、限られたニーズ内で起こる争いを「パイの奪い合い」や「パイの取り合い」と表現することがあります。パイは小麦粉やバターなどでつくる焼き菓子の一種ですが、分割できる利益や費用の総体の比喩として用いられるケースもあります。

過当競争の問題点

資本主義経済は、自由競争の原理に基づいて成り立っているといえます。過当競争も自由競争の一つとはいえますが「利益を度外視した過度な値下げ」という不自然な状態から生まれた競争のため、資本主義本来の自由市場のシステムが成立しなくなり、経済を混乱させるリスクがあるでしょう。

また、次のような問題を生むリスクも。

・同業他社に逸失利益が発生
・売上減少
・顧客主義からの逸脱
・組織力の低下

それぞれの問題点について見ていきましょう。

マイナス、プラスのブロックが乗った天秤の3Dイラスト
(c)AdobeStock

同業他社に逸失利益が発生

過当競争は、特定の企業が過度に市場占有率を拡大しようとすることから始まります。競合企業間で利益を度外視した値下げ競争が起こると、低価格で提供する企業の商品・サービスを購入する消費者が増え、従来の価格で提供する企業は逸失利益が発生する可能性があります。

売上減少

従来の価格で商品・サービスを提供する企業は、価格競争に負けた形となり、売上が減少する可能性があります。また、値下げ競争に参戦した企業も、売上個数自体は増えても、単価が低くなったことから、本来であれば得られた利益(通常価格で通常個数を販売した場合に得られる利益)よりも少ない利益しか得られない可能性もあるでしょう。

顧客主義からの逸脱

本来、企業は 顧客主義に徹することが求められています。顧客が何を求めているかを敏感に察知し、適切な商品・サービスを開発し、顧客が購入しやすい方法で提供することが必要です。

しかし、過当競争が起こると、企業の視線が顧客ではなく競合企業にばかり向くようになる可能性も。もちろん競合企業を意識した経済活動自体に問題はありませんが、顧客より競合企業ばかり意識するようになっては好ましい状況とはいえません。顧客が必要とするものを得られにくくなり、不買の動きが現れると、市場規模の縮小につながる恐れもあるでしょう。

組織力の低下

ある程度の価格の値下げは、消費者にとっては好ましい状態でしょう。必要な商品・サービスが購入しやすくなり、売上全体は低下したとしても消費活動は活発になるかもしれません。

しかし、過当競争に敗北し、企業規模の縮小などを余儀なくされると、その企業の商品・サービスを愛用していた消費者はダメージを受けるばかりか、企業に対して好ましくない感情を抱くようになる恐れも。また、過当競争に振り回されることで企業自体が疲弊し、組織力が低下する可能性もあるでしょう。

過当競争を回避するためにできること

過当競争は一時的な売上増や顧客増を招くことはありますが、長期的に見れば関連する多くの企業がダメージを受ける可能性が高く、できれば回避することが望ましいといえるでしょう。過当競争を回避するための方策の一例としては、次のものが挙げられます。

・棲み分け
・共生

各方策について簡単に見ていきましょう。

棲み分け

棲み分けとは、各企業が異なる市場で経済活動を行うことです。ニーズや価格帯、ターゲットとする購買層などが他の企業と被らない商品・サービスなら、価格をある程度下げたところで他企業の商品・サービスの値下げを引き起こしにくく、過当競争も起こりにくくなるかもしれません

共生

共生とは、各企業が同じ市場で調和のとれた経済活動を行うことです。競合企業のシェアを奪わないように配慮しつつ価格を決定し、どの企業も無理なく経済活動を続けていけるように図ります。

経済の仕組みを俯瞰して見てみよう

消費者目線では、商品・サービスの値下げは好ましいこと。しかし、利益を度外視した値下げは、商品・サービスを提供する企業の体力を低下させ、企業存続を危うくするため、消費者にとっても不利益につながる可能性があるといえるでしょう。

経済の仕組みを俯瞰して見る習慣をつけると、見過ごしがちな問題に気づかされることもあるかもしれません。さまざまな経済事象を「本当に健全な状態なのか」と疑ってみることが大切です。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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