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2024.11.26

ROE(自己資本利益率)を分かりやすく解説! 企業の収益性を見極める重要指標【専門家監修】

ROE(Return On Equity)とは、企業が株主から提供された自己資本を使い、どれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。この記事では、ROEの定義や実践方法を紹介します。

ビジネスの世界において、売上高や利益率、株価、成長率といった数字は、企業の成績や戦略の成否、さらには経済全体のトレンドを示す重要な指標です。こうした数字が示す結果から、その企業の成功や苦戦、新しい戦略の有効性や市場の反応が読み取れるため、数字はビジネスにおいてドラマを語るような役割を果たしています。

その中でも「ROE(自己資本利益率)」は、企業の実力をはっきりと映し出す鏡のようなものです。企業が自分の資本をどれだけ効率よく使い、利益を上げているかを見るための指標で、ROEを理解すれば企業の実態が見えやすくなります。ROEの知識を身につけ生かし、ビジネスシーンで一歩先を行く存在になりませんか?

ROE(自己資本利益率)とは? 基本から解説

ROEは、企業の収益性を評価する上で欠かせない指標です。しかし、その本質や計算方法を正解に理解している方は意外に少ないかもしれません。ここでは、ROEの基本から、その重要性までを詳しく解説します。

分析 手元
(c)AdobeStock

ROEの定義と計算方法

ROE(Return On Equity)は、企業が株主から提供された自己資本を使ってどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。この数値が高いほど、資本をうまく使っていると評価されます。

計算式は「ROE=当期純利益÷自己資本×100」で表します。たとえば、当期純利益が5億円、自己資本が25億円の場合、ROEは20%となります。これは、自己資本に対して20%の利益を上げていることを意味します。

ROEが高いと何がいいの? そのメリットは?

ROEが高い企業は、少ない資本で多くの利益を生み出しているため、投資家から高く評価されます。資本効率がいいということは、それだけ収益性が高く、成長の可能性もあることを示します。

ROEを使った企業分析と投資判断のポイント

ROEを理解するだけでなく、実際に企業分析や投資判断にどう生かすかが大切です。ここでは、ROEを使って企業を評価・比較する具体的な方法と注意点を紹介します。

資料作成
(c)AdobeStock

ROEを使った企業の比較方法

企業同士を比べる際、ROEは有効な指標です。同業他社や業界平均と比較することで、その企業の資本効率や収益性を客観的に評価できます。

また、過去数年間のROEの変化を見ることで、経営の安定性や成長性を判断する材料にもなります。ただし、業界ごとに適正なROEは異なるため、比較する際には同じ業界内で比較することが望ましいです。

例えばA社、B社ともに自己資本は同額だと仮定した場合のROEの比較をしてみましょう。
※売上高、利益、負債などの構成は異なります。

(例)

ROEの例

ROEの計算

ROEは先ほどの「ROE=当期純利益÷自己資本×100」で求めることができます。

A社のROE

• ROE A社=3,000万円÷1億円×100=30%

B社のROE

• ROE B社=2,000万円÷1億円×100=20%

この場合のROEはA社はB社より自己資本をより効率的に使い、利益を上げているといえます。このように、ROEは企業の収益性を評価する際に役立つ指標であり、他社と比較することでどちらが資本を効率的に活用しているかを判断できます。

ただし、ROEだけでなく、負債比率や収益構造など他の要素も併せて評価することが重要です。

ROEと他の財務指標との組み合わせ

ROEだけで企業の全体像を把握するのは難しいため、他の財務指標と合わせて分析することも大切です。たとえば、ROA(総資産利益率)や自己資本比率と比較すると、企業の財務状況や資本構成をより深く理解できます。これにより、資本効率だけでなく、財務の安定性やリスクも考慮した総合的な評価が可能になります。

ROEを高めるための企業戦略と実践例

企業がROEを高めるためには、具体的な戦略や行動が必要です。ここでは、収益性向上や資本効率改善のための対策と、実際の成功事例を通じてその方法を紹介します。

虫眼鏡
(c)AdobeStock

収益性向上のための施策|売上拡大とコスト削減

収益性を上げるには、売上を増やしコストを削減することが基本です。新しい市場への進出や新製品の開発、マーケティング強化で売上拡大を図り、製造プロセスの効率化や在庫管理の最適化、無駄な経費の見直しでコスト削減を進めます。これらをバランスよく実行することで、収益性の向上が期待できます。

資本効率を上げるための取り組み|資産の最適化

資本効率を高めるには、資産を効果的に使うことが大事です。不要な資産の売却や使用していない資産の活用、在庫の最適化などで自己資本を有効に使います。また、過剰な借入金を控え、健全な資本構成を保つことも重要です。これにより、企業全体の資本効率を上げ、ROEの向上につなげることができます。

ROEの限界と注意点|数字に惑わされないために

ROEは便利な指標ですが、その数値だけで企業を判断するのは危険です。ここでは、ROEの限界や注意すべきポイントについて説明し、数字に惑わされないための知識を提供します。

高いROEが必ずしもいいとは限らない理由

ROEが高いからといって、必ずしもいい企業とは限りません。自己資本が少ない場合、ROEは高くなりますが、それは財務リスクが大きいことを意味します。

また、一時的な特別利益によってROEが高くなることもあり、安定した収益性を確認することが重要です。会計上の工夫や業界特有の要因も考慮する必要があります。

ROEを正しく評価するためのポイント

ROEを活用する際には、他の財務指標との組み合わせや業界平均との比較、過去の推移の分析が不可欠です。長期的な視点で企業の成長性や安定性を評価し、経営陣の能力や市場環境、ビジネスモデルの独自性なども総合的に判断します。

これにより、数字の裏にある真実を見抜き、より的確な投資判断が可能となります。

最後に

ROE(自己資本利益率)は、企業の資本効率と収益性を示す重要な指標です。しかし、数字だけにとらわれず、その背後にある企業の戦略や市場環境を理解することが、本当の価値を見極める鍵となります。多角的な視点で企業を分析し、知識を深めることで、ビジネスや投資において確かな一歩を踏み出すことができるでしょう。あなたの未来を切り開くために、ROEの理解を深めてみませんか?

TOP画像/(c) Adobe Stock

監修/芳川宏輔(スマイルライフプロジェクト専属アドバイザー)
1990年生まれ。東京都練馬区出身、茨城県鉾田市在住。AFP認定 ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、大手製薬会社の営業として勤務。子供の誕生やコロナにおける新しい働き方の中で、自分の人生を見つめ直し、独立系FP事務所へ入社。金融商品・保険商品を一切販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして活動中。HP:https://kosukewincome.com/

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