報奨金とは?言葉の意味をチェック
まず、報奨金という言葉にはどのような意味があるかチェックしましょう。また、似ている言葉「インセンティブ」との関係性も併せて見ていきます。
貢献を評価し、努力を奨励する賞金を指す
報奨金(ほうしょうきん)は従業員の特別な貢献や努力を評価し、奨励するために支給される金銭的報酬です。たとえば、優秀な営業成績を収めたり、画期的な業務改善案を提出したりしたときなどに支給されます。
ほう‐しょう〔‐シヤウ〕【報奨】
[名](スル)努力や行為にむくいてさらにはげますこと。「転作を—する」「—金」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
報奨は、「報いる」と「励ます」というふたつの意味を含んでいます。優れた成果に対して報いると同時に、もっと頑張ってほしいと期待する意味が込められているのです。
企業が報奨金を支給する主な目的は、これまでの従業員の業績を評価し、さらなる創意工夫を促進することにあるといえます。
報奨金とインセンティブの関係
報奨金とインセンティブは、ほぼ同じ意味で使われます。インセンティブは、人々の行動を促す動機付けや刺激を指す言葉です。
インセンティブには金銭的なものだけでなく、昇進や表彰など非金銭的なものも含まれます。金銭によって業績向上への行動を促す報奨金は、インセンティブの一形態といえます。
営業部門で売上目標を達成した社員に対して特別な報酬を与える制度なども、インセンティブプログラムの一種です。この場合、報奨金が具体的なインセンティブとして機能しています。
ボーナス・奨励金・手当との違い
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会社から基本給以外に支給される報酬には、ボーナスや奨励金、手当などがあります。それぞれの意味と、報奨金との違いを解説します。
業績に応じて与えられる「ボーナス」
ボーナスは、企業が従業員に対して支給する臨時の報酬です。一般的には半年や1年ごとに定期的に支払われ、「基本給の何カ月分」という形で支給金額が算出されます。
一方、報奨金は特定の成果や貢献に対して与えられる一時的な報酬です。ボーナスと報奨金の主な違いは、支給の頻度と基準にあります。
ボーナスは、定期的に、会社全体の業績や個人の勤務評価に基づいて決定されます。対して報奨金は、特別な成果や貢献が認められたとき、不定期に支給されるものです。たとえば、営業部門で大型案件を獲得した社員に支給されるケースが該当します。
ボーナス(bonus)
1 賞与。特別手当。期末手当。《季 冬》
2 株式の特別配当金。
3 特別扱いの事物。また、追加の特典。「ボーナスポイント」「ボーナストラック」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
成果は反映されない「奨励金」
奨励金は、特定の行動や活動を促進するために支給される金銭的支援です。たとえば、地方移住を促進するための移住奨励金や、子育て支援のための出産奨励金などがあります。成果や実績に関係なく、条件を満たせば一律に支給されることが特徴です。
一方、報奨金は会社の業績向上に大きく貢献した社員や、画期的なアイデアを提案した従業員に対して支給される報酬。
奨励金は特定の行動をとることが条件となりますが、報奨金は実績や貢献が評価の対象です。奨励金は「行動」に、報奨金は「結果」に焦点を当てているといえます。
しょうれい‐きん〔シヤウレイ‐〕【奨励金】
特定の事業を保護・奨励するために国や団体が交付する金銭。補助金・助成金・給付金など。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
基本給とは別途に支給される「手当」
手当は、基本給とは別に支給される給与の一部です。通勤手当・住宅手当・家族手当など、会社によってさまざまな種類があり、従業員の生活支援や特定の業務に対する補償を目的としています。
各種手当は通常、毎月の給与と一緒に定期的に支給されます。報奨金は特定の成果や貢献に対して支給されますが、手当の支給基準は個人の業績とは無関係です。
通勤手当の場合、自宅から会社までの交通費によって支給金額が変わります。家族手当は扶養する家族の有無で、住宅手当は社宅の有無や転勤の頻度などで決まります。
て‐あて【手当(て)】
[名](スル)
3 労働の報酬として支払われる金銭。「看護人の一か月の手当て」
4 基本の賃金のほかに諸費用として支払われる金銭。「単身赴任に手当てがつく」「家族手当て」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
制度でみる報奨金
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報奨金やインセンティブに関連する制度には、いくつかの種類があります。代表的な制度とそれぞれの特徴を紹介します。
報奨金制度
報奨金制度は、従業員の優れた業績や貢献を金銭的に評価し、さらなる努力を促す仕組みです。冒頭の項で解説したとおり、企業が特定の目標達成や成果に対して報酬を与えることで、従業員のモチベーションや生産性向上を図ります。
たとえば、営業部門で売上目標を大幅に上回った社員へ、特別な報奨金を支給するケースがあります。金額や支給基準については、企業の方針や目標に合わせて柔軟な設計が可能です。
表彰制度
表彰制度は、従業員の優れた業績や貢献を公に認め、称える仕組みです。表彰の例として、年間MVP発表や、長年の勤続に対する感謝などが挙げられます。
表彰制度は、対象となった従業員の社内での評価や地位向上につながります。従業員の自尊心を高め、モチベーション向上にも有効です。
表彰された本人だけでなく、ほかの従業員のモチベーションをアップさせる効果も期待できます。表彰の形式は企業によってさまざまで、社内での表彰式や社内報での紹介・特別な称号の付与・昇進などが代表例です。
中には、表彰と共に報奨金を支給する企業もあります。昇進する場合は基本給も高くなるため、結果的に報酬も増えることになります。
ストックオプション制度
ストックオプション制度は、従業員に自社株式を将来の特定価格で購入する権利を与える報酬制度です。
たとえば入社時に1,000円で購入できる権利を与え、5年後に株価が3,000円となれば、従業員は1株あたり2,000円の利益を得られます。従業員が会社の株価上昇によって利益を得る機会を持つことは、経営者と同じ立場で会社の成長に貢献する動機付けとなります。
ストックオプション制度の特徴は、長期的な視点での貢献を促す点です。即時の金銭的報酬ではなく、会社の将来的な成長に従業員の利益を連動させることで、持続的な努力を引き出します。
リーダー制度
勤続年数にかかわらず、すべての従業員を対象に組織内で優秀な人材を選抜し、特別な権限や責任を与える仕組みです。リーダーに昇格した従業員には、通常の給与に加えて報奨金が支給されることがあります。
一例として、プロジェクトリーダーに任命された社員に、月額で基本給の10%相当の報奨金を支給するケースなどが挙げられます。
リーダー制度のメリットは、従業員のキャリアアップへの意欲が高まることです。ひいては組織全体の生産性向上につながり、リーダーシップスキルの育成や、次世代の経営層の発掘にも効果が期待できます。
一方で、リーダーの選抜基準や報奨金額の設定には慎重さが求められます。公平性を欠くと、従業員間の不満や軋轢(あつれき)を生む可能性があるためです。
報奨金導入のメリット・デメリット

企業が基本給と別に報奨金を出すからにはメリットがあるはずですが、デメリットがないのかも気になるポイントです。報奨金導入のメリット・デメリットを紹介します。
モチベーションの向上が期待できる
報奨金制度の導入は、従業員のモチベーション向上に大きな効果をもたらします。具体的な成果や貢献に対して金銭的な報酬が与えられることで、従業員は自身の努力が正当に評価されていると感じ、仕事への意欲が高まります。
営業部門で目標を大幅に上回る成績を収めた社員に報奨金が支給されたなら、その社員はさらなる成果を目指して努力するはずです。ほかの社員にとっても良い刺激となり、部門全体の業績向上につながる可能性があります。
報奨金制度は、企業の価値観や目標を従業員に明確に伝える手段としても機能します。どのような行動や成果が評価されるのかが明確になることで、従業員は会社の方針に沿った行動をとりやすくなるのです。
手取りが安定しない可能性も
報奨金制度には、従業員にとってのデメリットも存在します。最も大きな懸念は、手取り収入の不安定さです。報奨金は成果に応じて変動するため、毎月の給与が一定ではなくなるおそれがあります。
ある月は大きな成果を上げて高額の報奨金を受け取っても、翌月は成果が出ず報奨金がゼロになることも考えられます。家計の見通しが立てにくくなる要因となり得るため、注意が必要です。
また、報奨金を目当てに過度な競争意識が生まれ、職場の人間関係に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。チームワークが重要な職場では、個人の成果のみを重視する報奨金制度が、協力体制を崩壊させてしまうこともあり得ます。
報奨金に関するQ&A
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実際に報奨金をもらう場合、額面をそのまま受け取れるのか・金額はどのように決まったのかなど、気になる人もいるはずです。報奨金に関するよくあるQ&Aを紹介します。
報奨金に税金はかかる?
報奨金をもらった場合、税金は引かれてしまうのでしょうか。結論からいうと、報奨金には原則として所得税がかかります。
ただし、会社が源泉徴収するかどうかはケースバイケースです。通常の職務範囲内で成果を上げた際の報奨金は給与の一部とみなされ、会社に源泉徴収の義務があります。毎月の給与と同様、税金が引かれた状態で支給されるため、社員は特に何もする必要はありません。
一方、通常の職務範囲外で、何らかの貢献をしたときのみ支給されるような報奨金は、一時所得となります。会社に源泉徴収の義務はなく、社員が自分で確定申告する必要があります。
一時所得には特別控除50万円が適用され、控除後の金額の1/2が課税対象です。たとえば1年間で100万円の報奨金を受け取ったとすると、特別控除後の50万円の1/2に相当する25万円に課税されます。
報奨金の額はどうやって決まるの?
報奨金の額は、企業の方針や業績、個人の貢献度などによって決まります。多くの場合、基本給の一定割合や、達成した目標の重要度に応じて設定されているようです。
例を挙げると、売上目標を120%達成した場合、基本給の10%を報奨金として支給するといった具合です。
企業によっては、個人の評価や部門の業績を考慮し、複数の要素を組み合わせて算出することもあります。プロジェクトの成功や特許取得など、特別な成果に対しては固定額で示すケースもあります。
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