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2026.01.03

「蜻蛉」←なんて読む? 意味や由来、基本的な生態やトンボとの違いを解説

身近に生息していて、実はとても短命な昆虫の「蜻蛉」 ですが、皆さんは知っていますか? 今回はそんな「蜻蛉」の漢字の読み方から意味、由来、基本的な生態やトンボとの違いを解説していきます!

「蜻蛉」の意味や読み方とは?

意味・読み方

「蜻蛉」は、「カゲロウ」と読みます。そのほか、「トンボ」、「アキツ」、「セイレイ」と読むこともできます。「カゲロウ」と「トンボ」は全く異なる昆虫ですが、「アキツ」は「トンボ」の古名で、「セイレイ」は「トンボ」の別名です。

「蜻蛉」は、「トンボ」と見た目が似ていますが、まったく別の昆虫です。「蜻蛉」は、体長は0.5cm〜2cmほどのカゲロウ目に属する昆虫の総称のこと。早春から秋にかけて羽化しますが、最も多く羽化するのは5月頃です。

「蜻蛉」(カゲロウ)は、トンボと読むこともできますが、「カゲロウ」と「トンボ」は全く異なる昆虫です。

蜻蛉

なぜ「カゲロウ」も「トンボ」も、同じ「蜻蛉」と書くのか気になりますよね。由来は諸説ありますが、もともと「カゲロウ」のことも「トンボ」のことも区別せず、透明の翅と細長い腹部を持つ虫を「蜻蛉」と表記していたことから同じ漢字を使用しているのではないかと言われています。

現在は、「カゲロウ」であれば、「蜻蛉」もしくは「蜉蝣」、「トンボ」であれば、「蜻蛉」と表記するのが一般的です。

由来

次に、「蜻蛉(カゲロウ)」という名前の由来について紹介します。諸説ありますが、代表的なのは、同じ読みの言葉「陽炎」からきているもの。「陽炎」とは、太陽光で熱くなった地面の上や、焚き火越しに見えるものが揺らいで見える現象のこと。「蜻蛉(カゲロウ)」が飛ぶようすが、この「陽炎」のようにひらめいて見えることから、その名前がつけられたといわれています。また、「蜻蛉(カゲロウ)」は、命が短いことからも、「陽炎」のような儚さにたとえられています。

代表的な由来として、「蜻蛉」の飛ぶ姿が、「陽炎」のように見えることから名前がつけられたとされています。

ちなみに、「トンボ」という名前の由来についても紹介しておきます。「トンボ」はもともと、「秋津(アキヅ)」と呼ばれていました。後に、「飛ぶ棒」という別名が生まれ、やがてそれが「トンバウ」、「トウバウ」、「トバウ」、「トンボ」と呼ばれるようになったという説があります。

「蜻蛉」の儚さにちなんだ言葉

また、「蜻蛉(カゲロウ)」の儚さにちなんだ言葉や古典があるので、そちらも紹介します。まずは、「蜉蝣の命」という言葉です。こちらには「蜉蝣」という漢字が使われます。辞書を引くと、以下の通り。

蜉蝣の命のように、人の一生が短いことをたとえていう語。はかない命。(<小学館 デジタル大辞泉>より)

「蜻蛉(カゲロウ)」は、成虫になると、数時間から数日で死んでしまうので、こうした表現ができたのですね。

古典『蜻蛉日記』とは

また、平安時代、藤原道綱(ふじわらのみちつな)の母によって書かれた『蜻蛉日記』という古典があります。

この日記の中に「あるかなきかの心地(ここち)するかげろふの日記といふべし」という文章があります。「蜻蛉(カゲロウ)」のように、儚い身の上であることをあらわしたもので、本の名前はこれに由来しています。

『蜻蛉日記』は、身分の高い人と結婚したものの、自身の社会的な立場は保証されていないことや、一夫多妻制により夫からの愛を一身に受けられなかったことなど、その辛い心情を綴った自伝的な古典です。

「蜻蛉」は秋の季語

「蜻蛉」は秋の季語として使われます。最近は一般的には、「カゲロウ」は「蜉蝣」、「トンボ」は「蜻蛉」という漢字が使われますので、漢字ごとに紹介します。

「蜉蝣(カゲロウ)」

まずは「蜉蝣(カゲロウ)」の季語から見ていきましょう。「蜉蝣(カゲロウ)」は、秋の季語として用いられます。すでに説明しましたが、「蜉蝣(カゲロウ)」は儚さの象徴として使われます。

「蜻蛉(トンボ)」

次に、「蜻蛉(トンボ)」の季語について解説します。「蜻蛉(トンボ)」も「蜉蝣(カゲロウ)」と同じく、秋の季語です。「蜻蛉(トンボ)」が成虫として飛ぶのを見られるのは、早いもので春の終わり頃、夏にはたくさんの「蜻蛉(トンボ)」が飛び交うのを見られます。しかし、「蜻蛉(トンボ)」が最も多く見られるのは8月〜9月頃。「蜻蛉(トンボ)」が飛び交うのを見ると秋を感じられることから、秋の季語として使われているのでしょう。

蜻蛉

「蜻蛉」とはどんな虫?

「蜻蛉(カゲロウ)」は、カゲロウ目の昆虫の総称のこと。細長い胴体に長い尾、透明な翅がついています。「蜻蛉(カゲロウ)」の幼虫は、川の中に棲んでおり、その幼虫期間は平均で1年ほど。幼虫期間が終わると水中から飛び立ちますが、成虫の寿命はとても短く、数時間から数日なのです。そのようすが、「蜻蛉(カゲロウ)」が儚いもののたとえとして使われる所以です。

「蜻蛉」とトンボとの違いは?

漢字も一緒で、見た目も似ていることから、よく混同されがちな「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」。実際にはいくつかの違いがありますので、ここで覚えておきましょう。

分類

まず大前提として、「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」では、分類が異なります。「蜻蛉(カゲロウ)」はカゲロウ目に属しますが、「トンボ」はトンボ目に属します。そのため、見た目は似ていますが全く異なる昆虫です。

寿命の長さ

すでに説明した通り、「蜻蛉(カゲロウ)」の寿命は数時間から数日と、とても短命です。幼虫期間は1年ほどなのに、成虫になると長く生きられないのは、まさに儚い命を象徴するような昆虫ですね。いっぽう、「トンボ」の成虫は、約2か月生きます。ちなみに、「トンボ」の幼虫期間は、たいてい1年〜3年です。

蜻蛉

見た目

「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」ともに透明の翅や長い胴体を持っているため、一見似ているようですが、よく見ると異なる姿形をしています。「蜻蛉(カゲロウ)」の腹部には、細長い尾毛がありますが、「トンボ」にはありません。また、「蜻蛉(カゲロウ)」の眼は、3つの単眼(構造が簡単な目)と1対の複眼(複数の単眼が集まった目)が合わさってできていますが、「トンボ」の眼は1万個〜3万個からなる複眼です。

成長過程

「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」では、成虫になるまでの過程も異なります。「蜻蛉(カゲロウ)」は、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になるのではなく、亜成虫という段階を踏みます。亜成虫とは、幼虫から成虫になる前の段階のこと。見た目はほとんど成虫と同じですが、成虫に比べて、飛ぶ力は弱いです。いっぽう、「トンボ」は亜成虫という段階は踏まず、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になります。

エサを食べるか食べないか

「蜻蛉(カゲロウ)」は成虫になると、口の機能が退化してしまい、エサを食べることができません。そのため、寿命が数時間〜数日ととても短いのです。成虫になった「蜻蛉(カゲロウ)」は、繁殖のためだけに命を使うといえるでしょう。オスは交尾を終えるとまもなく死んでしまい、メスは産卵のために数日間生きます。このように、エサを食べられない「蜻蛉(カゲロウ)」に対し、「トンボ」は、成虫になってもエサを食べます

「蜻蛉」を使う言葉

「蜻蛉」を使う言葉として、蜻蛉玉・蜻蛉返り・蜻蛉切を紹介します。

蜻蛉玉(とんぼ玉)

ガラス製の装飾用ビーズのことです。色とりどりの模様が描かれたガラス玉が、「トンボの複眼」に似ていたことからその名がつきました。

蜻蛉返り(とんぼ帰り)

目的地に着いてすぐ、用事を済ませてすぐに元の場所へ引き返すことを指します。

蜻蛉切(とんぼぎり)

戦国時代の武将・本多忠勝が愛用したとされる、天下三名槍(てんかさんめいそう)の一つです。

【実際のエピソード】「蜻蛉」に関する成功談・失敗談

「蜻蛉」の体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、「蜻蛉」に関して何かしらの気づきや学びを得た実際のエピソードを紹介していきます。

【episode1】「蜻蛉」と「陽炎」の混同による失礼な表現

【episode2】出張の「蜻蛉返り」を戦略的に使う

英語表現とは?

「蜻蛉(カゲロウ)」の英語表現は、「a mayfly」や、「a day-fly」、「an ephemera」です。ちなみに、「トンボ」は「a dragonfly」と言います。

よくある質問

「蜻蛉」について、よくある質問とその回答を紹介していきます。

Q. 「蜻蛉」の読み方は?

「蜻蛉」は一般的に昆虫の「とんぼ」と読みますが、古典文学やはかないものの例えとしては「かげろう」、日本の古い呼称(秋津島)に関連しては「あきつ」とも読みます。

Q. 「蜻蛉」と「かげろう」の違いは何ですか?

「蜻蛉」と「かげろう」の違いは、「漢字が指す対象(虫の種類)」と「言葉が持つニュアンス」にあります。

一言でいうと、「蜻蛉」は本来トンボを指しますが、日本では古くから「カゲロウ」という別の虫とも混同され、独特の文化的な広がりを見せてきたという経緯があります。

Q. 「蜻蛉日記」は昆虫と関係ありますか?

「蜻蛉(かげろう)日記」は、昆虫そのものを観察した記録ではありませんが、昆虫の性質を「人生の比喩」として題名に込めているという点で、深い関係があります。

Q. 「蜻蛉」は季語ですか?

「蜻蛉(とんぼ)」は秋の季語です。トンボは夏から見かけますが、俳句の世界では伝統的に「秋」に分類されます。特に高く澄んだ空を飛ぶ姿や、稲穂の上に止まる姿が秋の象徴とされてきました。

最後に

成虫になると数日しか生きられないため、「儚さ」の象徴とされる「蜻蛉(カゲロウ)」。身近な昆虫からも情緒を感じ、季語や古典の題材としても用いるとは、感性豊かな日本人の心を感じられるような話題でした。今度「蜻蛉(カゲロウ)」を見かけた時には、子孫を残すために命を使うその生き様に、思いを馳せてみてください。

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