「五月蝿い」の意味や語源とは?
日常会話で頻繁に使われる「うるさい」という言葉。漢字で「五月蝿い」と書くことを、不思議に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、「五月蝿い」の意味や語源、「煩い」との違いや、英語表現などを紹介します。
意味や読み方
「五月蝿い」は、「うるさい」と読みます。意味は大きく分けて3つあり、「物音が大きすぎて耳障りである」「どこまでもつきまとって邪魔。わずらわしい」「いやになるほど優れている」です。日常生活で大きい音を嫌がっている時に「うるさい!」ということが一般的な使い方ですね。それ以外にも、周囲の人からあれこれと口出しをされたり、付き纏われてわずらわしいと感じた時にも「五月蝿い」といいます。
語源
「五月蝿い」という言葉、なぜ「五月」と「蝿」という漢字が使われるのか疑問に思いませんか? 「五月蝿い」は文字通り、五月にハエが飛ぶ様子に由来があります。かつて日本で旧暦が使われていた頃、「五月」といえば梅雨の時期。雨が多くジメジメとした気候は、ハエが好む季節でもありました。
人にとって梅雨の時期とは、屋内で静かに過ごす機会が多くなるもの。そんな時にブンブンと羽音を立てて飛び回るハエの姿はまさに「五月蝿い」ものであったことでしょう。そんなことから、「うるさい」という言葉にこれらの漢字が当てはめられたとされています。
使い方を例文でチェック!
「五月蝿い」には、大きく分けて3つの意味があることを先述しました。ここでは、それぞれの意味にあった例文を紹介します。
1:「工事の音が五月蝿くて夜も眠れない」
「五月蝿い」は、大きい物音を耳障りに感じている時に使われます。隣近所の話し声が大きかったり、工事現場の騒音が気になってイライラしていたりする時に思わず「うるさい!」といいたくなることはありますよね。日常生活で一番よく使うパターンといえるでしょう。
2:「職場の規則が五月蝿くてうんざりする」
職場のルールが厳しくて「わずらわしい」と感じる時にも、「五月蝿い」を使います。守るべき規則が多すぎて不快に感じる、邪魔くさいと思う、そんなことはありませんか? 耳で聞こえる音だけを指す言葉でないこともポイントです。
3:「彼は日本酒の銘柄にうるさいことで有名だ」
「五月蝿い」には、「いやになるほど優れている」という意味もあります。こちらが口を挟む余地もないほどに、ある分野に詳しい人のことを「あの人は○○にうるさい」と表現します。お酒やグルメ、ファッションなどにこだわりのある人を指すことが多いですね。
ただし、知識があることを尊敬しているというよりは、うんちくを語られて迷惑している時に使われる傾向があります。
「五月蝿い」と「煩い」の違いとは?
「うるさい」と打ち込むと、「五月蝿い」と「煩い」、2つの漢字が表示されます。辞書に明確な違いは記されていませんが、「煩い」の「煩」には、「わずらわしいこと。面倒なこと」という意味があります。このことから「うるさい」の2番目の意味である「わずらわしい」というニュアンスが強い表現であるといえるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「五月蝿い」の類語には、「騒がしい」「いまいましい」「うざったい」などがあります。言葉によってニュアンスも異なるため、微妙な違いを理解して使い分けたいですね。詳しい意味を解説します。
騒がしい
「騒がしい」とは、「盛んに声や物音がしてうるさいさま」を表します。学校の教室でたくさんの子供たちが笑ったり喋ったり走り回っている様子は「騒がしい」と表現されることもありますね。
また、事件が起こって、あたりが混乱していたり平穏でない状況のことも「騒がしい」といったりします。その場がゴタゴタとして乱雑な状況のことを「騒がしい」と表現することが多いですね。
いまいましい
「いまいましい」は漢字で「忌々しい」と書きます。「非常に腹立たしい、しゃくに触る」という意味があることから、ある物事に対して怒っている時に使われる言葉です。「いまいましい奴め」というように時代劇や小説の台詞としても登場します。何かと自分のことを困らせたり、迷惑をかけてくる相手に対して使われることが多いでしょう。
うざったい
「うざったい」は、日常生活でも馴染みのある表現です。「細かすぎてわずらわしい」「くどくて、うるさい」という意味があり、なにかと親が口うるさい時や、異性にしつこく付き纏われる時などに「うざったいからやめて」といったりします。相手に対してイライラしている時につい口から出てしまう、そんな言葉ですね。
英語表現とは?
「五月蝿い」の英語表現は、意味によって異なります。一番よく使われる「大きな物音がしてうるさい」という意味には、「noisy」が適切です。「noisy」は、「騒々しい」という意味で、騒音など不快な音を指します。「He is noisy(彼はうるさい)」。また、静かにして欲しいことを強調したい場合は、「Be quiet!(静かにして!)」と伝えるといいでしょう。
続いて、会社の規則や相手の行動が「わずらわしい」時には、「troublesome」を使います。「うるさい」「面倒な」という意味を持つ英単語です。「She has taken on the troublesome work(彼女は厄介な仕事を引き受けてしまった)」。
それでは、相手が優れている場合の「五月蝿い」はどうでしょうか。知識が格段に豊富である人を表現する時には「格別」「特別」という意味の「particular」がおすすめです。「She is particular about the foods(彼女は味にうるさい)」。
最後に
「五月蝿い」は、文字通り、「五月に飛ぶハエ」に由来していたなんて面白いですね。「五月蝿い」には、「物音が大きすぎて耳障りである」「どこまでもつきまとって邪魔。わずらわしい」「いやになるほど優れている」など3つの意味があります。「五月蝿い」と聞くと、どうしても音がうるさいという意味として捉えてしまいますが、実は様々なシチュエーションで「五月蝿い」という言葉は活用されているのですね。
この機会に「五月蝿い」の漢字の由来も覚えて、語彙力を豊かにしてみてはいかがでしょうか?
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