目次Contents
この記事のサマリー
・「五月蝿い」の読み方は「うるさい」。
・「耳障りだ」「邪魔でわずらわしい」「精通している」などの意味がある。
・「五月蝿い」には、いい意味も悪い意味も持つ。
「あの人、仕事は雑だし、五月蝿いわね…」あなたはこの文章を目にして、「五月蝿い」を読むことはできますか?
この記事では、「五月蝿い」の読み方や由来、使い方、そして類語や英語表現まで、具体的な例を交えて解説します。
「五月蝿い」の読み方と意味|「五月蠅」とは?
まずは「五月蝿い」について、正しい読み方と意味から確認していきましょう。

「五月蝿い」の読み方は?
「五月蝿い」は「うるさい」と読みます。辞書の記載を確認しましょう。
うるさ・い【▽煩い/五=月=蠅い】
[形][文]うるさ・し[ク]
1 物音が大きすぎて耳障りである。やかましい。「隣の話し声が―・い」
2 注文や主張や批評などが多すぎてわずらわしく感じられる。細かくて、口やかましい。
3 どこまでもつきまとって、邪魔でわずらわしい。また、ものがたくさんありすぎて不愉快なさまにもいう。しつこい。
4 いやになるほどにすぐれている。
5 いやになるほどに、こまごまといきとどいている。
6 技芸がすぐれている。
引用(一部抜粋):『デジタル大辞泉』(小学館)
現在では、主に1・2・3の意味で使われることが多いでしょう。詳細については後述します。
「五月蝿い」3つの意味
「五月蝿い」という言葉には、大きく分けて3つの意味があります。いい意味も悪い意味もあるため、使い方を間違えると相手に不快感を与えてしまう可能性もあります。それぞれの意味を確かめてくださいね。
「隣の会議室が五月蝿い」
「五月蝿い」を最も使う場面が、「騒音」を表すときでしょう。ただし、ビジネスシーンでは「五月蝿い」とストレートに表現するよりも、「騒音が大きい」や「音が響く」などの表現に言い換えた方が無難です。
「スマホの通知が五月蝿い」
人や物事に対して、「面倒だ」「邪魔でわずらわしい」と感じる場面でも使います。例えば、「母の小言が五月蝿い」といった使い方です。
「コーヒーには五月蝿い」
この使い方は、ある分野のことをよく知っている、精通していることを指します。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「五月蝿い」の由来は?
「うるさい」という言葉が「五月蠅い」と表記されるようになった理由について、明確な資料は見つかりませんでした。ただし、この表記には古い日本語の背景が関わっていると考えられています。
「五月蠅い」を構成する「五月蠅」は、「さばえ」と読み、旧暦5月ごろに大量に発生し、群れ騒ぐ蠅を指す言葉です。この「さばえ」は『日本書紀』にも登場するほど古い語で、人々の暮らしに深く根づいていました。
五月の蠅が盛んに飛び回る様子が「騒がしい」「わずらわしい」という感覚と結びつき、やがて「うるさい」の漢字表記として「五月蠅い」が用いられるようになったのではないか、と考えられています。
「五月蝿い」と「煩い」の違いは?
『日本国語大辞典』や『デジタル大辞泉』の「うるさい」の項には、「煩い/五月蠅い」と併記されています。また、『角川類語新辞典』(角川書店)などの用例を見ても、特に区別をしていませんでした。
このことから、「五月蠅い」と「煩い」の表記に区別はなく、同じ意味で用いられていることがわかります。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)、『角川類語新辞典』(角川書店)

「五月蝿い」の類語や言い換え表現|角を立てない表現集
「五月蝿い」という言葉をそのまま使うと、どうしても感情的できつい印象を与えてしまいます。そこでここでは、シーンごとに使える柔らかい言い換え表現をまとめました。メールや会話で言葉選びに迷ったときに、ぜひ参考にしてください。
「音が気になる」ときの表現
たとえば「工事の音が五月蝿い」「話し声が五月蝿い」と感じた場合、直接「五月蝿い」と言うと相手にきつく響くことがあります。そんなときは、以下のように表現を工夫してみましょう。
「工事の騒音が大きく、打ち合わせの声が聞き取りにくくなっています」
「隣の会議室の声が騒がしく、集中して発表できません」
このように、「五月蝿い」という主観的な言葉ではなく、「騒音」「声」「音」といった客観的な名詞を使うことで、冷静に状況を伝えることができます。結果として、角を立てずに相手へ配慮ある伝え方が可能になりますね。
「指示が細かい」と感じたとき
上司や同僚からの指示が細かかったり、度重なると「五月蠅い」と感じませんか? そんなときは感情的に受け止めず、冷静に状況を言葉にすることが大切です。
「追加事項が多いため、業務に遅れが生じています」
「修正指示が頻繁に入るため、作業を一時中断しています」
相手を「口五月蠅い」と評価するのではなく、事実を客観的に伝えることで問題点が共有しやすくなります。結果として、双方が納得できる改善策を話し合えるきっかけにつながるでしょう。
参考:『類語例解辞典』(小学館)

「五月蝿い」の英語表現
「五月蝿い」を英語で表現する方法を確認します。フレーズを押さえておけば、職場のやりとりや日常会話でもスムーズに自分の気持ちを伝えることができますよ。
“noisy”
“noisy” は、「五月蠅い」を最もシンプルに表現する言葉です。
例文:“The construction is too noisy.”
(工事の音がうるさすぎます。)
“troublesome”
書類やルールが複雑で面倒なときは、“troublesome”が使えます。
例文:“The procedure is troublesome.”
(この手続きは面倒です。)
“particular about”
相手のこだわりを客観的に表現する場合は、“particular about” が丁寧な言い方です。
例文:“She is particular about quality.”
(彼女は品質にこだわりがあります。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「五月蝿い」に関するFAQ
ここでは、「五月蝿い」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「五月蝿い」は正式な漢字表記ですか?
A. はい。
辞書でも「うるさい」の項に明記されています。
Q2. ビジネスメールで「五月蝿い」を使っても大丈夫ですか?
A. 直接的すぎて失礼にあたる場合があります。
代わりに「騒音が大きい」「通知が多い」など客観的な表現に言い換えましょう。
Q3. NGな使い方はありますか?
A. はい。
相手の態度や性格を直接「五月蝿い」と言うと、強い否定と受け止められ、人間関係を悪化させてしまうでしょう。状況や自分の感じ方を客観的に表現することをおすすめします。
最後に
「五月蝿い」という言葉は、ただ「騒がしい」という意味だけでなく、状況や対象によって大きくその意味を変えます。いい意味・悪い意味の両面を持っていることを覚えておきたいですね。
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