この記事のサマリー
・「朝令暮改」は、命令や方針がひんぱんに変わって一定しない状態を表します。
・相手の判断が安定しない様子を批判的に述べる語として扱われてきました。
・類語には、「二転三転」「朝令暮変」「右顧左眄」などがあります。
職場で「方針が変わってばかりで落ち着かない!」と感じた経験はありませんか? そんな状況を表す言葉のひとつが「朝令暮改」です。「一定しない状態」を象徴する表現として使われてきました。
本記事では、「朝令暮改」の辞書に基づく正確な意味や同義語、用例、読み方を整理しながら、現代のコミュニケーションでどう理解される言葉なのかを丁寧に解説します。
「朝令暮改」の意味を正確に理解する
まずは、「朝令暮改」の意味から理解を深めていきましょう。
「朝令暮改」の正確な意味
「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」とは、朝に出した命令を夕方には改めることを指します。つまり、「命令がひんぱんに変わって一定しないこと」を意味しますよ。
辞書では次のように説明されています。
ちょうれい‐ぼかい〔テウレイ‐〕【朝令暮改】
朝に出した命令を夕方にはもう改めること。方針などが絶えず変わって定まらないこと。朝改暮変。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「朝令暮改」はどんな場面で使われる言葉か?
「朝令暮改」は、「ビジネス」「上司」「会社」「使い方」などと一緒に検索されることが多い言葉です。辞書が示す「方針が一定せず、その日のうちに変わる状態」は、現代の職場でもしばしば話題になります。ここでは、そのニュアンスがどのように受け取られるのか、具体的な場面に当てはめながら整理します。
「社長の意見は朝令暮改だから困る」
会社で「指示がすぐ変わる」と感じるとき、人は戸惑いや負担を覚えるものです。「朝令暮改」は、「また変わってしまった」という気持ちを含め、半ば皮肉を込めて使われることがあります。
「今朝決められた規則が、その日のうちに変更されるなんて…。まさに朝令暮改だね」
朝決まったことが夕方には改められる… 辞書が示す定義とまったく同じ状況です。本来は一定期間続くと考えられる規則や方針が短時間で変わると、周囲も安定しづらくなります。こうした、「変化の速さそのもの」を指摘したいときにも「朝令暮改」が使われます。

「朝令暮改であることは承知しておりますが、変更をお願いいたします」
部署間の連絡や依頼の場面では、「方針がすぐ変わってしまい申し訳ありません」というニュアンスを添えて使われることもあります。
類語や言い換え表現は?
「朝令暮改」と近い意味持つ言葉には、「二転三転」「朝令暮変」「右顧左眄」などがあります。会話の中では、もっともなじみのある「二転三転」を使うことが多いかもしれませんね。それぞれの特徴を簡単に整理してみましょう。
二転三転(にてんさんてん)
「二転三転」は、物事の内容や方針が何度も変わって定まらないことを表す言葉です。ビジネスでも「話が二転三転してしまい申し訳ありません」のように日常的に使われます。状況が落ち着かず、方針が変わりやすい点が「朝令暮改」と共通しています。
例文:
会議の日程が二転三転し、スケジュール調整に苦労した。
彼の意見はすぐ二転三転するので、信用できないと言われていた。
朝令暮変(ちょうれいぼへん)
「朝令暮変」は「朝に決めたことを夕方には変える」という意味で、「朝令暮改」と同じ意味です。
例文:
朝令暮変な教育方針は、現場を混乱させかねない。
先輩の意見は朝令暮変で、これからが少し心配だ。
右顧左眄(うこさべん)
「右顧左眄」は、右を見たり左を見たりして迷う様子を指し、周囲の反応に気を取られて決断できない状態を表します。優柔不断さを指摘したい場面でよく用いられる四字熟語です。
例文:
右顧左眄していては、せっかくの好機を逃してしまう。
兄は父の顔色をうかがい、終始右顧左眄していた。

「朝令暮改」に関するFAQ
ここでは、「朝令暮改」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「朝令暮改」の意味を一言でいうと?
A.方針や命令がひんぱんに変わって一定しない状態を表す言葉です。
Q2. 「朝令暮改」は、いい意味で使われることもありますか?
A.一般的には好ましい状態として扱われません。
Q3. 類語にはどんなものがありますか?
A. 「二転三転」や「右顧左眄」が挙げられます。
最後に
「朝令暮改」とは、「方針などが絶えず変わって定まらないこと」。朝に出したはずの法令が、夕方には変更されてしまう、といった状況を表す言葉です。規則が頻繁に変わることで、多くの人が振り回されるため、自分自身の発言や行動は「朝令暮改だ」と言われないよう注意したいですね。
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