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2024.06.07

「不易流行」とは?意味や「温故知新」との違いをわかりやすくご紹介

「不易流行」とは変わらないものの中に新しいものを取り入れていく考え方です。元々は俳諧の極意として使われた言葉ですが、教育やビジネスの場面でも使われることがあります。どのような意味なのか、また、類語などについても見ていきましょう。



「不易流行」とは松尾芭蕉が示した俳諧の理念

「不易流行(ふえきりゅうこう)」とは、いつまでも変わらないものの中に新しい変化を取り入れることを指す言葉です。また、新しさを求めて変化をすること自体が、世の常であるということも指します。

元々は松尾芭蕉が示した俳諧の理念で、いつまでも変わらないことを指す「不易」と、時代に応じて変化することを示す「流行」という相反する概念がひとつになった言葉です。

【不易流行】ふえきりゅうこう
蕉風俳諧の理念の一。新しみを求めて変化していく流行性が実は俳諧の不易の本質であり、不易と流行とは根元において結合すべきであるとするもの。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

不易流行

「不易」も「流行」も同じぐらい重要

松尾芭蕉は俳諧の理念として「不易流行」を掲げましたが、その解釈はさまざまです。「変わらないものと変わるものをひとつにすることが俳諧なのだ」と解釈されることもあれば、「変わらないものも変わるものも元々は同じで、区別しないのが俳諧」と解釈することもあります。

松尾芭蕉は「奥の細道」の中で、「変わらないものを理解しないで基礎は成立しないが、変わるものを理解しないときには進展がない」と述べました。この言葉からも、「不易」と「流行」はどちらか一方を重視するものではないことがわかります。また「不易と流行を同じ位置に置くからこそ、確かな基盤に基づいた新しい芸術が生まれる」と芭蕉が考えていたとうかがえるでしょう。

「不易流行」の使い方を例文で紹介

「不易流行」の考え方は、俳諧などの文学や芸術においてのみ使われるのではありません。特にビジネスと教育のシーンにおいて、「不易流行」という言葉はしばしば用いられます。実際にどのように用いられるのか見ていきましょう。

【ビジネスシーンでの例文】「不易流行」の原理

ビジネスでは「不易流行の原理」という言い回しが用いられることがあります。変わらないものと変わるものを両方取り入れることが大切であるというビジネスの真髄を指す言葉として、「不易流行の原理」を使うことができるでしょう。例えば次のように使うことができます。

創業者の思いを基礎として、現代ならではの価値観を加えたビジネスを行っていかなくてはならない。それこそ【不易流行の原理】というものだろう。
・【不易流行の原理】は、マーケティングの指針を立てる際にも当てはまる。質の良さに最近注目度が高まっているサステナビリティの要素を加えることで、より多くの消費者の心をつかむことができるだろう。

【教育業界での例文】不易流行の精神

教育の場面では「不易流行の精神」という言い回しが用いられることがあります。昔ながらの考え方を大切にしつつ、現代的な倫理観にアップデートすることで、より望ましい人間へと成長することができるでしょう。例えば次のように「不易流行の精神」という言葉を用いることができます。

・年長者を敬うという昔ながらの価値観は変えるべきではないが、年長者であっても間違っているときは素直に認め、謝ることが必要だ。【不易流行の精神】を持てば、自ずとどう生きるべきかがわかるだろう。
・【不易流行の精神】を習得することで、人間として大切な部分はキープしつつ、柔軟な考え方を持てるようになる。

「不易流行」と「温故知新」の違い

教育の場面において「不易流行」は頻繁に用いられます。学校のモットーや標語に使われることもあるので、意味を正確に理解しておきましょう。

「温故知新(おんこちしん)」は教育の場面でしばしば用いられる類語です。「温故知新」とは、昔について調べることで新たな見方や知識を得ることを指す言葉です。つまり、歴史や古くからの監修を学ぶことにより、新しい何かを発見するということを意味します。

不易流行」も「温故知新」もどちらも古いものを大切にするという精神は同じです。しかし、新しいものを発見するために古いものを大切にする「温故知新」と、古いものを大切にしつつ新しいものを外から取り入れる「不易流行」とでは、新しいものを取り入れる方法や場所が異なります。

また「温故知新」は新しいものよりは古いものを重視していますが、「不易流行」は新しいもののほうに注力している点も異なるといえるでしょう。

おんこ‐ちしん〔ヲンコ‐〕【温故知新】
《「論語」為政から》過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと。
[補説]「故ふるきを温たずねて新しきを知る」と訓読する。「温」を「あたためて」と読む説もある。なお、「温古知新」と書くのは誤り。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

「不易流行」の類義語

「不易流行」の類義語 には「温故知新」や「百世不磨」が挙げられます。それぞれ詳しく解説していきます。

温故知新 (おんこちしん)

温故知新」は中国の「論語」為政を由来とする四字熟語で、過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくことを表しています。「不易流行」と「温故知新」は、古いものと新しいもの、どちらも大切という点で類義語と言えるでしょう。なお、「不易流行」が変わらないものの中に新しいものを取り入れることを指すのに対し、「温故知新」は過去から新しい知見を発見するという意味で使われる言葉ですから、新しいものを取り入れる方法に違いがある点を理解しておくと良いでしょう。また、「温古知新」と書くのは誤りですので注意しましょう。

百世不磨(ひゃくせいふま)

百世不磨」は中国の「後漢書」南匈奴伝が由来の四字熟語で、いつまで消えることなく、後世まで続くという意味。「不易流行」がいつまでも変わらないものを大切にしているという点で類語と言えるでしょう。また、「百世不磨」を目指すためには新しいものを取り入れていく柔軟さも大切でしょうから、「百世不磨」な企業や伝統などは「不易流行」でもあると言えるのではないでしょうか。

「不易流行」の対義語

「不易流行」とは逆の意味で使われる言葉として2つあります。

それぞれ「不易流行」とはどの点が逆といえるのか、また、正確な意味や使い方について例文を紹介しつつ解説します。

不易流行

万代不易(ばんだいふえき)

「万代不易(ばんだいふえき)」とは、常に古いという意味です。万代とは「いつまでも」や「永久に」という意味があるので、「万代不易」と繋げることで、いつまでも変わらずに古いこと、価値観や状態が変化しないことを指します。

あの店は【万代不易】だ。まるで時が止まったかのように、売っているものが変わらない。

万代のほかにも、「千古(せんこ)」や「万世(ばんせい)」も同じく永久にという意味がある言葉です。不易とつなげて、「千古不易」や「万世不易」と表現することもあります。

一時流行(いちじりゅうこう)

一時流行(いちじりゅうこう)」とは、そのときだけ流行すること、もしくはその時代の好みを反映した一時的な新しさを指す言葉です。「不易流行」とは異なり、新しさから永続するものや価値観を得るニュアンスはありません。

最近、最後に「知らんけど」をつける人が多いが、これは【一時流行】だと思う。

「一時流行」も俳諧を由来とする言葉で、現代の流行を察知して取り入れることで、世の中に合わせて変化していくことも意味します。

「不易流行」の意味を理解して日常生活に使おう

「不易流行」という言葉は、昔から変わらないものを理解して基礎を作り、その上で、新しいものを積極的に取り入れて考え方などをアップデートさせることを意味します。芭蕉が唱えた俳諧の極意のひとつでもありますが、普段の生活にも使える優れた言葉です。

人間としての本質は変えず、その時代に応じた正しい価値観を身につけることで、より良い人間に成長することができます。ぜひ日常生活にも「不易流行」という言葉を取り入れていきましょう。

イラスト・写真/(C)Shutterstock.com

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