「退社」の意味とは?
「○○は退社しました」と聞いたときに、会社自体を退職したのか、今日すでに帰ってしまっただけなのか、どちらなのか迷ったことはないでしょうか。まずは、「退社」の意味を解説していきます!
意味
「退社」には、「会社を辞めること」と、「業務を終えて会社を出ること」の2つの意味があります。単に「退社」と言っても、どちらの意味なのかがわかりづらいですよね。そのため、相手に伝えるときには、前後の文脈でしっかりと説明をする必要があります。
ビジネス等で使うときの注意点
すでに述べましたが、ビジネスの場面では特に、「会社を辞めたのか」「1日の業務を終えて帰ったのか」、どちらなのかがわかるよう、しっかりと補足することが大切です。
たとえば、「会社を辞めること」を伝えたい場合には、下記のように、「○月末をもって」という補足をしましょう。この表現であれば、大抵の場合、「会社を辞めた」ことが伝わるはずです。ただし、会社によっては、「退社」時期を社外の方に伝えるのを禁止していることもあります。その場合は、ざっくりとした時期を伝えるのでも構いません。
・○月末をもって「退社」したいと考えています。
・○○は、○月末をもって「退社」しました。
・○○は、昨年に弊社を「退社」しました。
いっぽう、「業務を終えて会社を出ること」を伝えたい場合には、下記のような表現がいいでしょう。
・本日の業務が終わったので、「退社」いたします。
・○○は、本日はすでに「退社」いたしました。
「退社」と間違いやすい言葉
「退職」「退勤」「離職」「帰社」など、「退社」に似ている言葉は、いくつかあります。これらは、ビジネスの場面で使うことが多い言葉です。そのため、いざというときに恥ずかしくないよう、一つひとつの意味をしっかり覚えておきましょう。ここでは、言葉の意味と一緒に、対義語も紹介します。
退職
「退社」と似ている言葉として、最初に思い浮かぶのは「退職」ですよね。皆さんも、「退社」の挨拶や、「退社」のメッセージを書くときに、「退社」か、「退職」か、どちらの言葉を使えばいいのか迷ったことはないでしょうか。
「退職」は、「会社と従業員の雇用契約が終わっていること」を意味します。簡単に言うと、「会社を辞めること」。つまり、「退職」と「退社」に違いはありません。ただし、「退職」の場合は、意味は1つしかないため、もし「会社を辞めたこと」をあらわしたい場合には、「退社」ではなく「退職」を使うと誤解が生まれないでしょう。
<対義語>入社
帰社
「帰社」は、「外出先から会社に戻ること」という意味。取引先から会社に戻るときや、休憩から会社に戻るときにも使える言葉です。たとえば、社外の人から、現在外出している社員がいつ戻るのか(=帰社時間)を聞かれたときに、「○○は、15時に帰社予定です」などと使えます。なお、「帰社時間」以外に、「帰社日」という表現も。この場合は、別会社に出向している社員が、自社に出勤する日のことをさします。
ちなみに、「帰社」は、目上の方に対して使うと、失礼にあたってしまうので要注意。部長や課長などの上司、先輩に「帰社時間」を聞く場合は、「何時にお戻り予定でしょうか」という表現を使うようにしましょう。
<対義語>出社
退勤
「退勤」は、勤怠管理のためのタイムカードに打刻をするときや、システムに入力をするときによく使われる言葉ですよね。「退勤」は、「勤務が終わり、勤め先から出ること」を意味します。「退社」は、「業務を終えて会社を出ること」という意味もあるので、ほとんど同じ言葉といえるでしょう。
<対義語>出勤
離職
「離職」は、退職や解雇、失業などで職務や職業から離れている状態のことをさす言葉。「解雇により、離職することになった」「健康上の問題により離職中です」などと使われます。
<対義語>就職
使い方を例文でチェック!
「退社」には、「会社を辞めること」と「1日の業務を終えること」の2つの意味がありますので、それぞれの例文を紹介します。
1:「申し訳ございませんが、○○は3月末日をもって弊社を退社しております」
皆さんも一度は、社外の人から、すでに退職した社員に対しての電話を受けたことがあるのではないでしょうか。この例文は、「会社を辞めたこと」を伝えたいときに使います。社外の方に、「退社」の連絡が行き渡っていなかったことが考えられるため、謝罪の言葉を添えておくといいでしょう。
2:「せっかくお電話をいただいたのに恐縮ですが、○○はすでに退社しております。明日は9時に出社予定です」
この例文では、1日の仕事が終わったことをあらわしています。「退社」の対義語である「出社」を使うと、「業務を終えたこと」という意味が伝わりやすいですね。また、この場合の「退社」は、「退勤いたしております」や、「失礼しております」に言い換えることもできます。
英語表現とは?
すでに説明したとおり、「退社」は「会社を辞めること」と、「業務を終えて会社を出ること」の2つの意味を持つ言葉。そのため、英語で表現したいときにも2通りの意味を使い分ける必要があります。一つひとつ見ていきましょう。
1:retire
「retire」は、「退職する」という意味ですので、「会社を辞めること」というほうの意味で使えます。そのほかにも「辞める」や「辞職する」という意味の「resign」も使えるでしょう。「retire」と「resign」は比較的フォーマルな表現ですので、友人などに話す場合には「quit a job」という表現を使うのがおすすめです。
例文:My boss is going to retire.(上司は退職する)
2:leave the office
「leave the office」という表現で、「(1日の業務を終えて)退社する」という意味になります。「leave」だけでは、単に「去る」という意味になりますので、必ず「会社」を意味する「office」と一緒に使うようにしてください。このほかにも、「get off work」という表現を同じ意味で使うことができます。
例文:She’ll leave the office at the usual time.(彼女は定時で退社する予定だ)
最後に
「会社を辞めること」と「1日の業務を終えること」の2つの意味がある「退社」。「退社」という言葉だけだと、どちらの意味なのかがはっきりしませんが、しっかりと説明をすれば、誤解は生まれません。今回紹介した例文を参考に、正しく使い分けられるようになりましょう。
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