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「気づいたら、つい…」そんな行動に心当たりはありませんか？ 例えば、スマホの通知音を聞くとすぐにスマホに手が伸びる。懐かしい匂いに胸がきゅんとする。あるいは、誰かの名前を聞いただけで気持ちが揺れる…。それらは、もしかすると「条件反射」かもしれません。
この記事では、「条件反射」の意味や日常とのつながりを紐解いていきます。
「条件反射」とは？ 基本の意味と「無条件反射」との違いを確認
ここでは、「条件反射」の基本的な意味や「無条件反射」との違いを整理していきます。
「条件反射」の意味
まずは「条件反射」という言葉の定義を辞書で確認してみましょう。
じょうけん‐はんしゃ〔デウケン‐〕【条件反射】
引用：『デジタル大辞泉』（小学館）
ある反射を起こさせる刺激と、それとは無関係な第2の刺激を同時に与えることを繰り返すと、ついには第2の刺激だけで初めと同じ反射を起こす現象。犬にえさとベルの音を同時に与えつづけると、ついにはベルの音だけで唾液（だえき）や胃液が分泌されることなど。ソ連の生理学者パブロフが発見した。→無条件反射
「条件反射」とは生まれつきの反応ではなく、経験の積み重ねによって後から身につく反射のことを指します。
「条件反射」と「無条件反射」の違い
「無条件反射」とは、生物が先天的に持っている反応のことです。例えば、酸っぱいものを口にすると自然と唾液が出たりする反応がそれにあたります。
それに対して「条件反射」は、もともとは関係のなかった刺激と反応が、繰り返しの経験によって結びついた結果として現れる行動です。つまり、学習の結果として形成される反射といえるでしょう。無条件反射が「備わっている」反応であるのに対して、条件反射は「習得された」反応だといえます。
「パブロフの犬」の有名な実験例
「条件反射」という言葉を語るうえで欠かせないのが、ロシアの生理学者パブロフの実験です。
パブロフは、犬に食物を与えると唾液が分泌されることを観察しました。これは本来の生理的な反応であり、「無条件反射」と呼ばれます。
次に彼は、食物を与えるときに毎回ベルの音を鳴らすという手順を繰り返しました。すると、やがて犬はベルの音だけで唾液を出すようになりました。この新しい反応が「条件反射」です。
参考：『日本大百科全書』（小学館）
「条件反射」の身近な例とは？
「条件反射」は、日常生活の中でもふとした場面で見られる現象です。以下に、身近でわかりやすい例を紹介します。
スマートフォンの通知音で画面を見る
この反応は、「通知音＝重要な情報」という経験を何度も繰り返すことで形成されます。最初はただの音でも、何度も通知が気になる体験をすることで、音が鳴るだけで画面を見たくなる条件反射が起こるのです。
例文：通知音が鳴るたびにスマホを手に取ってしまう。
ある曲を聴くと、特定の人を思い出す
このような情緒的な結びつきも条件反射の一種です。音楽と記憶、感情が結びつくことで、ある刺激（音楽）によって特定の感情や記憶が引き出されるようになります。
例文：若い頃の恋人とよく一緒に聴いていた曲を耳にすると、そのときのことが思い浮かぶ。
チャイムの音で席に着こうとする
小学生のころの習慣によって、チャイムと行動の切り替えが結びつきます。意識していなくても、音を合図に行動が変わるのは典型的な条件反射です。
例文：会社の昼休みが終わるチャイムが鳴ると、無意識にデスクに戻っていた。
「条件反射」の類語や英語表現は？｜「脊髄反射」との違いもチェック
ここでは「条件反射」に似た意味を持つ言葉と英語表現を紹介します。「脊髄反射」についても見ていきましょう。
類語｜条件反応
「条件反応」とは、条件反射のように身体の自動的な動きに限らず、動物や人の行動が後天的に身についた反応のことを指します。
例えば、犬に「おすわり」と言い、実際にすわったときだけ褒美を与えることを繰り返すと、「おすわり」という言葉だけで座るようになる。このように、言葉と行動が結びついた反応が「条件反応」と呼ばれます。
参考：『日本国語大辞典』（小学館）
英語表現｜“a conditioned reflex”
「条件反射」は英語で “a conditioned reflex” と表現します。心理学や生理学の文脈でよく使われる表現です。
参考：『プログレッシブ和英中辞典』（小学館）
「条件反射」と「脊髄反射」の違い
「脊髄反射（せきずいはんしゃ）」とは、脳を経由せず、脊髄が中枢となって起こる反射のことを指します。
例えば、膝のお皿の下を軽くたたいたときに足が跳ね上がる「膝蓋腱（しつがいけん）反射」や、「アキレス腱反射」「屈筋反射」などがその代表例です。これらは刺激に対して即座に反応する、生まれつき備わった身体の仕組みとされています。
つまり、「脊髄反射」は意識とは無関係に体が自然に反応する仕組みであるのに対して、「条件反射」は繰り返しの学習によって身につく行動や反応を指す点が異なります。
参考：『日本国語大辞典』（小学館）
エンタメ・音楽と「条件反射」
「条件反射」という言葉は、音楽やエンターテインメントの世界でも印象的に用いられています。ここでは、実際に「条件反射」が使われている楽曲に注目してみましょう。
楽曲『条件反射で泣けて来る』とは？
『条件反射で泣けて来る』は、櫻坂46が2022年8月にリリースした楽曲です。メロディーの美しさとともに、どこか切なさを含んだ歌詞が印象的です。懐かしい記憶にふれた瞬間、言葉にできない感情があふれる─そんな心の動きを「条件反射」という表現で描いています。
有名アーティストと「条件反射」
「条件反射」というタイトルの楽曲は、他のアーティストの作品にも見られます。例えば中森明菜さんは1982年に、伊野尾慧さんは2018年に、それぞれ『条件反射』というタイトルで楽曲を発表しています。
どちらの曲も、「条件反射」という言葉が、聴き手の心に響くモチーフとして効果的に使われています。
「条件反射」という一見専門的な言葉が、創作の中では感性を刺激する表現として生きていることに気づかされます。作品の背景を知ることで、言葉の世界がより広がっていくのではないでしょうか。
最後に
「条件反射」という言葉は、少し専門的に感じられるかもしれませんが、私たちの身のまわりには多くの場面で存在しています。日常のふとした行動や感情の動きの中にも、意識せずに繰り返される反応があるのかもしれませんね。
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