項垂れるとは?読み方や意味を例文で解説
「項垂れる」とは失望や悲しさ、恥ずかしさなどのために力なく首を前に垂れることです。「うなだれる」と読みます。
「項」は「項垂れる」や「項髪(うなかみ)」のように「うな」と発音し、首や首の後ろの部分を指す漢字です。また、「うなじ」や「こう」「たてくび」と読むこともあります。
うな‐だ・れる【▽項垂れる】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[動ラ下一][文]うなだ・る[ラ下二]失望や悲しさ・恥ずかしさなどのために、力なく首を前に垂れる。うつむく。「悲しみに—・れる」「—・れて説教を聞く」
例文1. 失望して「項垂れる」
何かに失望したときに、項垂れることがあります。いくつかの例文から見ていきましょう。
・意気揚々と合格発表を見に行ったものの、番号がなく、思わず項垂れた
・彼の発言に項垂れたのは、少なからず彼に期待していたからでしょう
・郵便受けを確認したが、今日もまた朗報は届かなかったらしい。可哀想に項垂れた様子で家の中に戻ってきた
実際に首を前に垂れることもありますが、比喩的な意味で使われることもあります。
例文2. 悲しくて「項垂れる」
悲しいときも、首を前に垂れて項垂れることがあります。
・項垂れていても道は開けない。顔を上げて前に進もう
・立て続けに不幸があったように項垂れている
・学校に行っている間におばあちゃんが家に帰ったと知って、娘は項垂れた
うつむき加減に頭を下げた様子は、本人にそのつもりはなくても、悲しそうに見えてしまうことがあるでしょう。
例文3. 恥ずかしくて「項垂れる」
恥ずかしさから項垂れることもあります。例文を見ていきましょう。
・ミスをしたことが、あっという間に職場に広まった。恥ずかしさのあまり項垂れた。
・項垂れていると、何かやましいことがあるように見えてしまうよ
・「試験には合格したの?」と隣家のおばさんから尋ねられ、思わず項垂れてしまった
恥ずかしさのあまり相手の目を見られないときは、頭が下がり、項垂れた様子に見えることがあります。
項垂れると類似する意味で使われる表現
「項垂れる」のように、悲しみや恥ずかしさといったネガティブな感情を持ったときの様子を指す表現としては、次のものが挙げられます。
・落ち込む
・くじける
・うつむく
・落胆する
それぞれの表現の使い方やニュアンスの違いを、例文をとおして紹介します。

落ち込む
「落ち込む」とは、気持ちが滅入ることやふさぎ込むことです。次のように使います。
・悪いことが続いて、さすがの彼も落ち込んでいる
・落ち込んだように下を向く彼女は、どうやら三年来の恋人と別れたらしい
・落ち込んでいても始まらないよ。元気を出して
「落ち込む」は気持ちが滅入ったときだけでなく、実際にものや体が落ちて、中のほうに入ったときにも使われます。
・穴に落ち込み、這い上がるのに時間がかかった
・遅刻をしたのは落とし穴に落ち込んだからです
・皺(しわ)に落ち込んだチークは、メイク落としシートでは落ちない
また、周囲よりもその部分だけがへこんでいるときにも「落ち込む」と表現します。
・昨日空き地でボーリング調査をしていました。落ち込んでいる部分に足を入れないようにしてください
・円盤の中央部分が落ち込んでいるように見える
成績や業績などが悪い状態になっているときも、「落ち込む」と表現することがあります。
・景気が落ち込んでいる
・営業成績が落ち込んでいることを部長から指摘された
・三年生になってから急に成績が落ち込んだ
「項垂れる」は頭部が下がったときに使う表現ですが、「落ち込む」は頭部に限らず、気持ちやもの、地面などさまざまなものや状態が下がったときに使える表現です。
くじける
「くじける(挫ける)」とは、手足の関節に無理な力が加わり、関節やその周りを痛めることです。捻挫(ねんざ)するともいいます。また、医学的に挫けないときでも、勢いや意欲が削がれたことで精神的に「くじける」こともあります。
・気持ちがくじけてしまい、これ以上は挑戦できない
・どんなときでもくじけずに、前を向いて歩こう
・一時的にくじけるのは悪いことではない
比喩的に「くじける」を使うときは、おもに気持ちが落ち込んだ状態を指すといえます。「項垂れる」も実際に首を前に垂れるときにも使われますが、落ち込んだ様子を表現する際に比喩的に使われることがあります。

うつむく
「うつむく(俯く)」とは、顔が下のほうへ傾くことや下を向くことです。反対語は「あおむく(仰向く)」です。
・恥ずかしそうに彼女はうつむいた
・うつむいてばかりでは何もできないよ
・困惑してうつむいた
「項垂れる」と同じく、下を向くときに使われます。
落胆する
「落胆する」とは、期待や希望どおりにならず、がっかりすることです。「うつむく」は気持ちとは関係なく、単に下を向いているときにも使われますが、「落胆する」は明らかに気持ちが落ち込んでいるときに使われる言葉です。
・結果を見て、落胆した
・彼は落胆を隠さなかった
・これ以上、落胆させることは言わないでください
状況や心情を的確に表す言葉を使おう
状況や心情を表現する言葉には、「項垂れる」や「うつむく」のように体の状態を示す表現や、「虚脱する」や「くじける」のように病気・ケガを指す表現もあります。シチュエーションに合った言葉を選び、的確に状況・心情を表現するとよいでしょう。
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